「STAR TRAIN」はPerfumeがPerfumeに捧げる歌だ 〜STAR TRAIN歌詞考察&レビュー〜

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フラゲしました。

初聴での第一印象は「この曲は今までのPerfumeソングとはテーマもその重さも全く違う」のだということ。

今までも確かに、「なんとなくPerfume自身のことを歌ってるのかな?」なんて歌詞は山ほどあった。「Dream Fighter」なんかはまさにその典型だし、春先に発売された「Relax In The City」も「Perfumeとファンの距離を歌ってるのかな?」なんて思っていた。

しかしこの「STAR TRAIN」に関しては「完全にPerfumeのこと」を歌っている。「かな?」なんてもんじゃない。100%Perfumeのこと。



「手探りで夢を見る / 何もない ただ信じて / 宇宙(そら)までが遠いほど / 片道切符を求めて」

広島のアクターズスクールで楽しく、でも必死にダンスを練習していた彼女らは漠然と「SPEEDのようなカッコいいダンサーになりたい」と夢を見ていた。その夢への道標などは何もなく、だからこそがむしゃらに走っていた。自らの青春時代を全て音楽とダンスに捧げ、その時代には当然戻れないという、当たり前ながらも途轍もなく重たいリスクを背負って、それでも走り続けた。

「気付いてくれる人がいる / 誰も見向きもしなくても / 肩を組んで笑ってきた / 僕らはきっと負けない」

秋葉原ホコ天で踊ったこともあった。土砂降りの雨の中で歌い、「マイクが壊れる」なんて理由で中止になったこともあった。それでも3人で楽しくダンスを踊っていた、歌を歌っていた。笑いあっていた。そんな彼女らにも日の目が当たるようになった。気付いてくれる人がいた。辛い思いもしたけど、大切なファンやお世話になった人たちのことを考えれば、私たちに敵なんかいない。

「I don't want anything / いつだって今が / Wow 常にスタートライン / Music is everything / 遥かなユニバース / Wow 走れSTAR TRAIN

私たちはもう何も要らない。音楽が全てだから。音楽こそが私にとっての遥かな万物だから。

「線路のない道をゆく / 想像を超えて進みたい / 歯車のように噛み合う / 力は一人じゃ伝わらない」

芸能活動にレールのような正解なんてあるわけもなく、自分達が進むこの道は合っているのかと不安になることもあった。だけど自分達を信じて愛してくれている人のために期待を裏切らないように、そして驚かせるような演出や活動をし続けていきたい。この道を進むための歯車はメンバー1人1人じゃ進めない。3人いてこそ進める。でもPerfumeという『1人』でも進めない。スタッフという活動をしていく上で自らの進む道を決める手助けをしてくれる存在がいてこそ進める。その集まりこそが『Team Perfume』だけど、『Team Perfume』という団体『1人』でも進めない。彼女らが進めるのは沢山の『ファン』の支えあってこそだ。

「I don't want anything / いつだって今が / Wow 常にスタートライン / Music is everything / 遥かなユニバース / Wow 走れSTAR TRAIN」

私たちはもう何も要らない。あまりに沢山の宝物を音楽によって手にすることができたから。これからは私たちがあなたにお返しする番。



如何だっただろうか。
考察どころか妄想に片足突っ込んでる感は否めないが...。最後のサビのくだりなんかは最近のライブMCにおける3人の(特にあ〜ちゃんの)発言を基に書いている。

TSUTAYAのこのシングルの謳い文句が「この曲で、Perfumeの15年が完成する」だったのだが、ドンピシャな謳い文句考えるなぁと曲を聴いて感心してしまった。この曲こそPerfumeの15年の結晶であり、この15年を端的に描いた物語に近い。

Perfumeらしい「踊れるアガる歌」ではないし、むしろPerfumeの歴史の中でも地味な歌なのは否定できない。しかし、ファンやPerfume本人にとって大切な歌になることは間違いない。それだけ歌のメッセージ性が強く、そこに込められた想いは尊い

この曲は「PerfumePerfumeに捧げる歌」なのだ。15年間の濃い、深い、沢山の想いがギッシリと詰め込まれた剥き出しの愛のかたまりのような楽曲だ。


カップリングの「TOKIMEKI LIGHTS」はピアノテクノ。ピアノの旋律がどっかで聞いたことあるメロディだなと思ったら松田聖子の「青い珊瑚礁」に似てて笑った。ヤスタカ松田聖子に曲提供したらしいからその影響かな~?

初回盤特典のDVDも絶品。MVは今回の楽曲の方向性に合わせた衣装で「大人の色気」すら感じるPerfumeを感じれるし、序盤に徐々にメンバーが集まっていく様は結成当時のオマージュというか、比喩なのだろうかとか妄想、あいや考察が膨らむばかり。「Perfume View」はオフのPerfumePerfumeが撮る、というコンセプト。ってか彼女ら改めてトークとか話してることがめちゃくちゃ面白い。15年以上一緒に、しかも仕事まで一緒なのに、そんなに長い間いてそんなに仲良さそうに話せるのすげえよ。お互いがお互いを尊重して愛しているのかな。いい関係性だよなぁ。

買って・聞いて・見て、絶対損したとは思わせないようなシングル。是非CDショップで手に取って見てください!!