今だからこそ改めてPerfumeの魅力を振り返ろう

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「ジャンル」という言葉がある。めんどくさい言葉だ。どうしてこうも人は「誰か」や「何か」を枠に嵌めたがるのだろう。花屋の花は争うこともしないでバケツの中誇らしげに胸張ってる、なんて歌があるけど、そのバケツの中身は大体同じ種類の花で纏められているだろう。枠組みがあるから人は争うし、排他的になる。これから先の社会はこんな枠組みをぶち壊せる人こそが強い社会だと思うし、そうなって欲しいとも思ってる。CD屋がカフェやったり、出版社やテレビ局がロックフェス開催したり、アイドルがバラエティ番組のMCしたり。事業でも人間としても枠組みをぶっ壊す人が強い。

「枠組みを壊す」。僕がここから真っ先に思いつくのがPerfumeだ。アイドル、J-POP、テクノポップ。彼女達が収りそうなイメージの枠はザッとこんなもんだろうが、それらの枠を全部ぶっ壊して来たのが彼女達だろう。そんな魅力たっぷりのPerfume、昨年は史上最大規模のツアーを完遂し、現在は新しい展開を模索している最中。このタイミングだからこそ、改めて僕が論じることによって彼女達の魅力に気付いて貰えればと思いキーボードを叩いてる次第だ。先日「関ジャム」でPerfume特集がOAされていたし、振り付けのMIKIKO先生に密着した「情熱大陸」もOAされたばかりだ。今こそPerfumeの良さを知ってもらうには良いタイミングだと思う。【Perfume入門】として是非読んでいただきたい。

彼女達の魅力はそりゃあもう様々あるのだが、やはり一番分かり易いのはサウンド面だろう。中田ヤスタカがプロデュースするテクノポップ。今でこそヤスタカはSMAP椎名林檎、米津玄師など、様々な有名ミュージシャンに作品提供しているが、Perfumeのプロデュースをはじめた頃は自身の音楽ユニット「capsule」の活動のみだった。そんな中でヤスタカにプロデュース依頼をしたPerfumeには先見の明があったのではないだろうか。彼の作る楽曲の特徴は電子楽器を使用したSF・近未来的なサウンド。なによりこのサウンドの特徴は「踊れる」ことだろう。

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2回目のワールドツアーの際の映像だ。特に観客に注目して見てほしい。この盛り上がり様。下手なロックバンドより余程アツいライブを体感できるのがPerfumeのライブだ。バッキバキのテクノサウンドに身を委ねて体を揺らし汗をかく。これこそがPerfumeの最大の魅力だと言ってもいい。跳ね過ぎてライブ後に足を攣ることもある。他のアイドルのコンサート、特にPerfumeの出現当時では考えられなかったことだろう。これもまた一つの「枠組みを壊す」活動だろう。ライブで踊る、汗をかく、足を攣る。マイナスなイメージがつきかねないが、少なくとも僕はPerfumeのライブを楽しんできたなー!!という大きな実感を覚えてしまう。勿論、跳ねるだけがPerfumeのライブではない。

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最新技術とPerfumeのライブパフォーマンスは途轍もない親和性を見せる。2012~13年あたりの「Spring of Life」「Spending All My Time」等のライブパフォーマンスから徐々に最新技術が取り込まれるようになり、2015年のSXSWにて披露された「STORY」は一つの集大成だろう。紅白でも毎年好例になった最新技術との融合。僕なんかはそういう勉強を大学でしているので、彼女たちのしていることが具体的にどう凄いのかは理解できるけど、大半の人は分からない部分も多いと思う。例えば「STORY」の演出の一部は「透けてしまうはずの網戸に映像を投影してしまう」ことがスゴいし、「Spending All My Time」は当時最先端だったプロジェクションマッピングを「体の動きに合わせて投影する」技術が半端なかった...のだけど。漠然と「何かスゲェ」を体験してくれるだけでもいいと思う。Perfumeは最新技術を知る媒体ではない。あくまでも彼女たちの世界観をより強固にするひとつの要素として最新技術を駆使しているのだ。演出家でもあるMIKIKO先生はあくまでも「演者が良く見える」演出を模索しているし、たまたま最新技術とPerfumeの親和性が強かったというだけだ。そんな最新技術との恐るべき融合やアツ過ぎるライブパフォーマンス、とにかく全身で音楽を楽しむことができる。ライブひとつとっても様々な切り口が出来るのがPerfumeの面白さだろう。アイドルでもミュージシャンでもここまで積極的にライブに最新技術を導入するということは少ないだろう。そういう意味でも「ライブの常識」という枠組みを壊しているだろう。是非Perfumeに興味のある人はまずライブに足を運んでみてほしい。

ダンスの振り付けも彼女たちの魅力だろう。振付師は「恋ダンス」やリオ五輪閉会式、BABYMETALも担当しているMIKIKO

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これもまた、先見の明というか、もしくはPerfumeに携わったクリエイターがPerfumeをキッカケに羽ばたいている、とも言えるだろう。サウンドとの融合は音楽に振り付けをする上でなにより重要だが、MIKIKO先生の振り付けはそれ以上に歌詞世界とのリンクを随所に散りばめられている。彼女の振り付けは、ある意味ではPerfumeにとって音源以上に重要な要素だろう。

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Dream Fighter」の「生きている証拠だから」で胸を掴み離す振り付けなんかはまさに「歌詞世界と振り付けのリンク」の典型だろう。

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ワンルーム・ディスコ」の「なんたって少な目」で目を指さす振り付け。こういった細かい歌詞とのリンクの積み重ねでPerfumeの振り付けは完成していると言っても過言ではない。MIKIKO先生にとってはあくまで振り付けは楽曲に付随するものであり、楽曲が完成して曲を聴いてから振り付けを考えるという。その振り付けへのこだわりがダンスや歌詞への求心力になっているし、「Perfume」という世界観をより強固なモノにしているのではないだろうか。

3人のキャラクターもまた、Perfumeの魅力だろう。勿論3人とも見た目も可愛いし、それ以上に中身も可愛らしい。

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テレビに出演し始めた当時こそ、あ~ちゃんの天然キャラがあまりにも先行し過ぎていて、そこばかりフューチャーされていた印象だが、実際のキャラクターは三者三様というか、あ~ちゃんはしっかりもの、かしゆかは小悪魔、のっちはド天然。イメージと実際のキャラが全く違うのも「ギャップ」という意味では大きな魅力になるだろう。「枠組みを壊す」という話なら、イメージという枠を壊しているのかもしれない。ライブのMCやテレビ出演の際には是非、3人の立ち振る舞いやキャラクターに注目しながら見てもらえれたらなと思う。きっと3人の事が好きになるだろう。

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キャラクターの話で言えば、髪形を一貫して変えないのも彼女たちの大きな特徴だろう。一目見ただけで判別がつく。これは「認知される」ためには大きなプラス要素だろう。

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 のっちはショートボブ、かしゆかはぱっつんロング、あ~ちゃんはポニーテール。時期やリリースする曲によっては微妙な変更はあるものの、基本的な髪形は全く崩さない。「覚えてもらうためだ」とメンバー自身公言している。Perfumeを深く知らない人でもこのあたりは割とイメージとして強いのではないだろうか。

先ほど「バッキバキの踊れるサウンド」と記したが、なにもそれだけがPerfumeサウンド・ヤスタカサウンドの本質ではない。

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しっとりと歌い上げるバラードも素晴らしい作品が多い。「マカロニ」の温かみ、「微かなカオリ」の心地よさ、そして「願い」の涙腺崩壊されてしまうような歌詞。J-POPの王道を行くようなサウンドと、バッキバキのテクノサウンド。この緩急こそPerfumeだ、という芸人もいるくらいだ。

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ライブについて話を戻すと、「PTAのコーナー」もPerfumeならではの「枠ぶっ壊し芸」だろう。

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 4分8秒あたりから見てほしい。PTAとは「Pa!と楽しく遊ぼうのコーナー」の略で、要はライブの終わりに向けての起爆剤としてこのコーナーが挟まれるのだが、普通大体のミュージシャンは例えばMCで客煽るとか、言ってもそれくらいなんですけど。Perfumeはもう他人の曲使いまくって本当に客を躍らせてしまうからスゴイ。B’z「ultra soul」、TRF「survival dAnce」、T.M.RevolutionHIGH PRESSURE」はもう毎回のように使うし、サザンオールスターズ勝手にシンドバッド」、ポルノグラフィティミュージック・アワー」などの事務所の先輩の曲を使ってみたり、ついには松平健マツケンサンバ」や「ポケモンいえるかな?」「ハミガキじょうずかな?」などの老若男女問わず国民的に認知されているような曲もバンバン連射されてしまう。他のミュージシャンの曲もさながら、aiko直伝とも言えるようなコール&レスポンスや、その後演じるであろうダンスの振り付けを一緒にしてみたり。これがたまらなく楽しいのだ。ただただ楽しませるための努力を惜しまない。そんなPerfumeの気概を感じる瞬間でもある。常識に囚われない、という意味でも枠組みを壊すPerfumeの姿勢を感じる。

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ロックフェスへの積極的な出演もPerfumeの「枠を壊す活動」だろう。今でこそロックフェスにアイドルが出演するのは当たり前の様になり、昨年末のロックフェスにも欅坂46が名を連ねていたが、その始祖はPerfumeだろう。今やRIJF最終日のトリ、つまり大トリを努める迄に至ったPerfume。ロックフェスはロックバンドのものという既存のイメージをぶち壊したのも彼女達の「功績」だろう。

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ライブグッズもPerfumeの魅力かもしれない。男性ファン以上に女性ファンが多いこともあり、実用的なカワイイグッズが多い。

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ミュージシャンのグッズというのは人気になればなるほど(=それはつまり老若男女に愛されれば愛されるほど)だれでも使えるもの、それはつまりまあ割とダサイものになってしまう。のだが、Perfumeはクオリティをどんどん上げている。中には伊勢丹とコラボレーションしたこともあった。音楽をオシャレやファッションにしてしまうのは僕自身あまり良い事とは思わないが、好きな音楽をファッション出来る、というのは素晴らしいなと思う。極めつけは先日発売されたコレ。

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PERFUME OF PERFUME」。Perfumeとは香、という意味ということもあり、香水の販売は前々からファンの間で期待されていた。そしてついに先日、発売に至ったのだ。発売以降、僕も愛用しているが、男女どちらも使いやすい柑橘系の爽やかな香りで使いやすい。アミューズの通販サイトやロフト、タワーレコードなどでも販売されているので是非手に取ってみてほしい。

音楽や芸能という活動に囚われず、多種多様な活動(=事業、とも言い換えられるだろう)を展開している、ということで言えば今年に入ってドラマへの出演も積極的に行っている。あ~ちゃんが「東京タラレバ娘」のレバ役、そして3人で主演した「パンセ」。

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ドラマ主演、というのはアイドルの王道(ドラマ声優というのは些か邪道だとは思うが)で、アイドルという枠をぶっ壊してきたPerfumeの今までの活動とはちょっと違うなぁと、僕自身最初は懐疑的な部分が少なからずあった。しかし僕のような「どうせこういうことはしないだろう」と鷹を括ってるようなファンの「期待を裏切る」事こそ何より「枠組みを壊す」活動ではないだろうか。今後のPerfumeの活動をより幅広くするための、言わば布石の様なものと考えれば今回のドラマへの連続した出演にも合点が行く。これを踏まえてPerfumeはどのステージに駒を進めるのか。期待したいと思う。

Perfumeの魅力は語り尽くせない。この時点で既に5000字近い文章を書いてきたが、Perfumeの魅力の1%も伝えられていないと思う。これはもう音楽や文化的な事を文章化する上で避けられない事ではあるが、誰かのレビューやブログなんかを読むより、実際に触れてみたり聞いてみたりする方が余程魅力を感じることが出来ると思う。今回の記事は改めてその「間口」として、Perfumeに興味の無い人やPerfumeをよく知らない人のキッカケになればと思い今回の記事を執筆した。

Perfumeは既存の枠を壊し続けるグループだ。それは最終的に「アイドル」と「ミュージシャン」という大きな枠をも破壊して、自分自身をノンジャンル化したと言ってもいいだろう。「PerfumePerfumeというジャンル」と、Perfumeファンは口にすることが多い。ソレは誇張でも何でもなく、ありのままの事実なのだ。Perfumeはこれからどんな「枠」を壊すのだろう。

 

TOKYO GIRL(初回限定盤)(DVD付)

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