【過去記事再掲】「WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」感想【今週土曜全国公開】

Perfume anniversary 10days 2015 PPPPPPPPPP」の一環として行われた「PTA & WORLD PTA限定先行プレミアム上映会」にて「WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」見てきました。


ネタバレありです。





とんでもなく素晴らしいドキュメント映画で、Perfumeがめちゃくちゃ愛おしくなる作品。ファンのPerfumeへの愛、Perfumeのファンへの愛をとても濃く、そのままに映し出している。




映画はWORLD TOUR 3rd後に行われたSXSWでの半ば伝説的ですらある「STORY(SXSW-mix)」のパフォーマンスからスタートする。最新技術とPerfumeの融合はこれまで何度も行われてきたがこれこそがそれらの現地点での最高到達点だといえる。YouTubeで公開されていたものの、やはり映画館の音響・映画館の画質・映画館の画面の大きさで見るのはスマホで見るのとは訳が違う。これだけでもこの作品を見る価値が十二分にあると言える気がする。


その後、SXSW前に開催されたWORLD TOUR 3rdのリハ風景から台湾・シンガポール・ロサンゼルス・ロンドン・ニューヨークの順にドキュメントが進行していく。


まず、今回のワールドツアー最大のトピックは3回目のワールドツアーにして遂にアメリカでライブが開催されるという点である。その挨拶として日本国内でのツアー「ぐるんぐるん」が開催され、台湾やシンガポールでのライブはあくまでアメリカ開催での前哨戦、といった立ち位置だった。NY公演は日本でもライブビューイングが開催された。そのクオリティ、音楽が国境を超える感覚にかなりの衝撃と幸福感を覚えたことを1年以上経った今でも覚えている。

ドキュメントという特性上、こここそが山場だ、というのは正直言って特にないのだが、慣れない土地でのライブに真摯に向き合うPerfume、そしてスタッフであるTeam PerfumePerfumeの来国・ライブの開催に喜び・涙する海外の方々。そのすべての人々が愛に溢れていて、この作品はその愛の記録だ。

例えばPerfumeのメンバー、何度も何度も曲目を変更したり、お客さんの目線に立つためにライブ会場座席の最上段へ上がったり、必死にその国の言葉を覚えたり。当たり前のようで簡単に出来ることじゃない。

そしてスタッフであるTeam Perfume、曲目の変更によって演出の変更や動きの変更、本番になって起きた演出トラブルへの迅速な対応、アメリカでのライブに不安がるPerfumeのメンバーへの激励...。これらもまた、簡単に出来ることじゃない。

何より現地のファンの方々。前日夜10時から並んで開場を待つファン、空港で出待ちをして花束をメンバーに贈るファン、手作りの服を作り着るファン、自分なりの動きで曲を楽しむファン、他の国からわざわざPerfumeを見に来たファン。十人十色だが、その全てのファンがそこまで突き動かされる理由は紛れもない『Perfumeへの愛』が理由なのだ。



Perfumeが舞台に立つ瞬間やリハで悩む瞬間を「オン」だとするならば「オフ」である現地の観光地を楽しむシーンや打ち上げのシーンなども沢山収録されているのも良いポイント。



シーンの1つ1つ、一瞬一瞬にPerfumeの3人の人となりが垣間見得るのだ。カメラが回っていようと何もきどらずに、ありのままのPerfumeが写っている。マキシマムザホルモンのTシャツを着てるのっちや、ポテトを頬張る3人、NYの町並みを歩く3人。下手したら女性アイドルの絵ヅラとしては致命的な物になりかねないのだが、それでもしっかり成立するどころか、エンターテインメントとして面白いものになっているのだ。のっちのフリ間違いなんて本来なら絶対に隠すものなのに、それどころか面白いワンシーンとしてしまっているのだ。きっとPerfumeの3人は気取る必要が無いのだろう。そのままで美しくて、そのままで人に見せることが出来る。そこにどんなに間違いや失敗があろうともしっかり成立してしまうのだ。

勿論、音楽も中田ヤスタカ流のアガるテクノポップサウンドがちょくちょくインサートされる。勿論Perfumeの既発曲もだが、恐らくこのために書き下ろされた国と国との間に挟み込まれるサウンド・そしてそこに付随する映像がめちゃくちゃカッコ良い。ここも見所のひとつだろう。


ここまで書いてもこの映画のいい面の1%も伝えれていないと思う。それだけ濃密で、とても良いドキュメントだった。


逆に「うーん」となった点。良かった点に比べればホントに微々たるものだが敢えて挙げておきたい。
今回のドキュメント、あ~ちゃんと親交の深いハリセンボンの近藤春菜がナレーターを務めている。最初こそ声で角野卓造がチラついたから「おお...どうなのこれ...」となったが、後半になるにつれ気にならなくなった。だからこそなのだが、前半の台湾公演で春菜さんが差し入れたジュースについていたコメントシートみたいなものに「ステラおばさん」や「マイケルムーア」の顔が描かれていて、「マイケルムーア」の名前がPerfumeのメンバー全員出てこない...みたいなシーンがあったのだが、そこでナレーションで「マイケルムーアだよ!!...いや私はマイケルムーアじゃねぇわ!!」みたいな部分があったのだが、正直映画にとってはめっちゃノイズになっちゃってるなぁと思ってしまった。まあ、そういうノイズはその1箇所だけだったから全然許容範囲ではあるのだが。
もう1点。
これは仕方ないといえば仕方ないのだが、それぞれの会場で映し出されるお客さんの1部、しかも最前席とかに日本人っぽい人が写ってたのがなぁ。現地に住んでる人かもしれない以上文句も言えないけど、ワールドツアーのドキュメント感が薄れてしまったなぁという感想。仕方のないことだけどね。仮に日本在住の人でも行く権利はある訳だし。



その2点はちょっと...と思ったけど、それを含んでもドキュメントとして最高傑作だったし、今年見た映画で間違いなくぶっちぎり1番だった。今年見た「BiSキャノンボール」の時も思ったけど『現実は小説より奇なり』なんて言うけど本当だなぁって。下手な創作より本当に起きたことだからこそ心打たれたり、感動出来ることが沢山ある。


最後に「MY COLOR」がフル尺で流れて、各国の「MY COLOR」の映像が流れるんだけど、楽しそうに踊るメンバーと海外の人たちが思い思いにそれぞれ楽しんでいる様が鮮明に映し出される様はマジで泣ける。泣いた。普通やらメンバーを沢山写して欲しい!って思うけど、この作品のこのシーンに関しては最早お客さんだけで構成してもいいんじゃね?くらいに思ってしまった。泣きながら踊っているお客さんをみるとこっちまで心打たれる。もっと心打たせてくれ!!って。


すごいこう、漠然と誰かの手を握りたくなったし、一緒によかったねって言い合いたくなった。Perfumeここまでこれて本当によかったねって。広島のアクターズスクールで、正直言ってお世辞にもキレイとは言えないレッスン着を着て、小さなレッスン部屋で踊ってた彼女らが15年近く経った今、国境を越えてニューヨークの大きな大きな舞台で沢山の人を喜ばせている。キレイな衣装を着てキラキラと輝いている。きっとデビュー前やデビュー直後は沢山辛いこともあってそれでも乗り切って、やっと「ポリリズム」でブレイクした後も辛かったり、しんどいことが多分沢山あったんだろうけど、笑顔を絶やさずにファンのことを真摯に考えて、それが実って世界進出まで果たして、遂にニューヨークでライブを開催。本当に素晴らしいことだし、尊いことだし、愛おしいなぁって思う。本当に。


Perfumeに少しでも興味がある人、音楽が好きな人には是非見て欲しい作品。仮にPerfumeに何の興味もなくて、音楽も大して好きじゃなくても、この愛に溢れたドキュメントを見れば何か変わると思う。その何かが音楽やPerfumeに向いたことかは分からないけど。でも絶対何か変わる。もう一度映画館で見たいな。