毎年年末の風物詩、ベストソング記事でございます。
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今年一年の数ある楽曲の内、僕が良いなと思った曲を厳選して今回は25曲、取り上げさせていただこうと思います。
一応、形として順位のようなものを設定しておりますが、あくまでも形です。
選定の条件として、シングルリリース(配信含)されているモノのみとしてあります。基本的にはMVのある曲から選びましたが、一部例外も含みます。
それでは参りましょう!
㉕「GOOD NIGHT BABY」あいみょん
昨年は破竹の勢いで国民的シンガーの座に登り詰めた
あいみょん。今年はその座に座り続けることが彼女にとっての活動指針になっていたように思う。引き続き「
マリーゴールド」はおもに
サブスクリプション、配信でヒットを未だに続けているし、夏の
ROCK IN JAPAN FESTIVALでは昨年のBUZZ STAGEから一気にGRASS STAGEへと駆け上がってしまった。自身のワンマンツアーではアリーナ公演も順調に数を重ねるなど、彼女の人気は不動のモノになりつつある。
一方で、今年リリースされたアルバム「瞬間的
シックスセンス」は今までの
あいみょんらしさである「大衆性」と「偏屈さ」を損なわない作風になっていた。
そのなかでも「GOOD NIGHT BABY」はとりわけ
あいみょんらしいなーと思える楽曲であった。
さよならのあとに
会いたくなるように
キスは我慢しておこう
「グッドなナイトにしなよベイベー」
Aメロは実に
あいみょん的な偏屈さが滲み出た歌詞だ。ベタなラブソングならばキスの
描写をすることころ、
あいみょんは会いたくなるようにキスを我慢するのだ。
ほらもう君に会いたくて
恋しくてこのまま
走り出したスタート地点に戻って
後ろ姿の君を 見るだけでいいのさ
愛してる人の後ろ姿に
また恋するのさベイベー
その後、サビは切ないメロディに乗せて「君への恋心」を、まるでドラマのワンシーンのように歌う。一度は突き放しながら、最後にはまっさらな愛を歌う。「
ツンデレ」のようでもある。
今年はキャリア初めてのベスト盤リリース、更にストリーミング配信の解禁など、自身の活動を総括するような展開が目立った
Perfume。重量級のベスト盤やストリーミング配信の曲数には、彼女達が如何に地道に活動を重ね、今の大きな存在になったかが現れていたように思う。
そんな彼女達の現在のモードは、前作「Future Pop」や前々作「COSMIC
EXPLORER」と比べても明らかに、
Perfumeの原点に立ち返るような歌モノ方向で在ったように思う。
「Challenger」「ナナナナナイロ」、そして「再生」。いずれも初期の
中田ヤスタカのピコピコとした
テクノサウンドに、しっかりと3人のハーモニーが際立って乗っかる構成に。曲メロも歌メロもシンプルに変化し、「
リニアモーターガール」や「
ポリリズム」といった初期曲のような趣を感じさせる新曲群。
そんな中でもベスト盤リリース後に配信でリリースとなった「再生」は、これからも
Perfumeは続く、生き続けるという覚悟のようなものを感じる詞だったことが印象深い。
最大限界生きたいわ
宇宙全体が手品いやい
正真正銘未来依頼
偶然性さえ運命さ
ベスト盤に収録された「Challenger」が彼女達のこれまでを踏まえた未来を描く歌であったことに対して、「再生」には本当に未来にフルスロットルで向かっていくような気概を感じるのである。これからも
Perfumeは最大限界で生き続けるのだろう。
「通り恋」を含めた一連の「濡れゆく
私小説」楽曲は、
indigo la Endというバンドを総括しているように僕は聞こえてきて。特に「藍色ミュージック」から「Crying End Roll」そして「PULSATE」までの一連の要素、例えばそれは「藍色ミュージック」の
ポップロックバンドらしさとか、「Crying End Roll」の歌
謡曲っぽさとか、「PULSATE」のビート感やヒップホップのエッセンスなどな訳だが、これまではindigoらしさにそういう要素を加えてきた彼らが、そういう今までの要素を全部結合してindigoらしさに昇華している。それがこれまでのindigoと今作のindigoの決定的な違いであり、一層良くなっている部分なのだ。
サウンドは重く歪んでいるが、ギターリフはキャッチーだし、なによりGENのボーカルはどこまでもポップ。そして歌詞には声に反して意地や戦い続ける男臭さがある。様々な角度から楽しめる楽しさがフォーリミにはあり、それが彼らの魅力なのだと思う。
SSAでのワンマンも成功させ、毎年開催しているYON FESも盛況だ。次はスタジアム規模のワンマンが目標だろうが、きっとその日も近いだろう。
今年20周年を迎え、そんな自身の活動を総括しつつもポップスとしても成立させるような楽曲「VS」をリリースしたポルノグラフィティ。
本当に近年のポルノグラフィティは脂が乗りまくっているような印象があって、タダのJ-POPではなく攻めた楽曲を二人(とアレンジャーで)作り続けているのは本当に今の彼らの財産だ。近年の音楽シーンを見ていても「ちゃんと攻めたポップス」を作れるミュージシャンがちゃんと売れるという傾向が出来上がっている。あいみょんも星野源も米津玄師もOfficial髭男dismもKing Gnuも皆そうだ。そんな音楽シーンのメインストリームに、これからまたポルノグラフィティが食い込んでいけるような土壌が、ポルノ自身にもシーンにも出来上がりつつあるのは音楽シーンにとっても彼らにとっても財産なのだ。
なによりも、今年ポルノグラフィティが開催したツアー「UNFADED」で僕が感じた「妥協の無さ」「攻め感」「常套句に囚われないライブ」、そしてROCK IN JAPAN FESTIVALのGRASS STAGEで初見であろう人が話していた「スゴイロックだったね!」の一言が、端的に今のポルノグラフィティのモードを表していると言ってもいいだろう。ポルノには30年、40年と新鮮さを失わず、お決まりに囚われずに活動し続けてほしい。
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⑳「Ca Va?」ビッケブランカ
昨年「ウララ」「まっしろ」などで一気にスターダムにのし上がったビッケ
ブランカ。類稀なるポップセンスには昨年から既に舌を巻いていたが、今年に入ってこんな角度の楽曲をリリースしてくるとは思わなかった。
フランス語で始まるイントロから爆発的な「Ca Va?」のサビ。異国情緒もディスコ感もピアノポップも全部ごちゃ混ぜにした、1曲だけでアルバム1枚分くらいの要素が詰め込まれた痛快な、他では聞けない楽曲だ。
元DOPING PANDAのフルカワユタカが今年リリースしたアルバム「epoch」収録の1曲。フューチャリングゲストに親交の深い、お互いにその存在が無ければ今が無かったというBase Ball Bearを迎えた1曲。
フルカワは「初期のBase Ball Bearっぽい曲にした」と話していたが、一方でBase Ball Bearのメンバーは「むしろドーパンっぽい」と話す、とにかくテンポの速い、近年のフルカワともBase Ball Bearとも違う作風の1曲となっている。途中で流れ込むベボベ小出のボーカルや堀之内関根のコーラスも良い。この曲をまたライブでコラボしてほしいなと思う。
今年はオリジナルアルバム「
三毒史」そして初のベストアルバム「
ニュートンの林檎」をリリースした
椎名林檎。「
ニュートンの林檎」に収録された「公然の秘密」は、ゴージャスな
サウンドが光る1曲。キャッチーなホーンアレンジやフルートの音には
サザンオールスターズのメソッドを感じさせながら、間の取り方も絶妙。近年の「目抜き通り」などの、デビュー当時とはまた違うマスへの向かい方をする
椎名林檎性が存分に発揮されてる1曲だろう。
今年放送された「関ジャム」の
椎名林檎特集回での彼女の言動が賛否両論を巻き起こしたりもしたが、僕はあの「殿方」という感覚はむしろ絶対にこの国にある感覚だと思うし、
椎名林檎にはそういう「殿方」を見事に蹴散らしながら、男女の隔たりを無くしてほしいなと思うのだ。
なによりも来年開催を控える
東京五輪、その開会式での彼女の活躍に期待したいし、囁かれ続ける
東京事変の復活にも僕は期待してしまう。その諸々込みで、来年の
椎名林檎からは例年以上に目が離せない。
人が歩む上で茨の道は誰にだってあって、その道を進む度に体は傷つき、涙が出そうになる。そんな時、自分の涙を肯定することは難しい。負けたようで悔しくなったり、プライドだったり、そういうものが泣くことを常に邪魔するのだ。それでも涙は自分の中に蓄積され、いずれ爆発してしまう。
NakamuraEmiの「雨のように泣いてやれ」は、ゆったりとしたビートとギターの軽やかな音色、そして軽快なリリックで涙を肯定する。これまで常に前を進む音楽を前に進みながら歌い続けた彼女にとって、これは何でもない変化である。でも、それでいい。彼女が涙を肯定することで泣くことが出来る人がきっとこの世界には沢山いるはずだ。
今年ハマりだした女性シンガーソングライター、竹内アンナ。浮遊感のある打ち込みっぽい
サウンドに乗る彼女のアコギの音色と透明感のある歌声は軽やかで心地よく、夏に聞くとそれだけで涼やかな気持ちにさせてくれる。特にこの「
Free!Free!Free!」は彼女の魅力が一番詰まった1曲だ。「自分らしさ」を肯定する歌詞も、2019年ならではなのではないだろうか。
洗練されたアーバンな
サウンドとグルーヴ、打ち込み
サウンドにスラッピングギターの組み合わせ。まさしく新しい形を生み出したと言えるのではないだろうか。来年はきっと今年以上の躍進を見せるはず。
⑮「Same Thing feat.Superorganism」星野源
アルバム「POP VIRUS」でポップスの定義を根底から覆した
星野源。その「POP VIRUS」を引っ提げたドームツアーを冬から春にかけて開催し、今年は穏やかな活動になるだろうと誰もが思っていた折にリリースした「Same Thing」は、またも日本中を引っくり返すような楽曲だった。
誰しもが昨年の段階で
星野源に対して「行き切ったな」という感想を持ったと思う。彼は国内で頂点を極めてしまった。あとはこれをどう持続さえるか、そう思っていた。しかし
星野源は行き切った国内シーンから国外へと場所を移すワールドツアーを敢行。その足掛かりとしてストリーミング配信を開始。更に自身の直近のライブ作品を動画ストリーミングサービスで公開するなど、明確な理由を持って活動を展開しだす。そしてそのタイミングでリリースされたEP「Same Thing」、特に表題曲である「Same Thing」は全編英語詞で、国民的シンガーとなった彼の今の目線の先に何があるのかを感じさせる1曲となっていた。
I've got something to say
To,everybody,fuck you
みんなに言いたいことがあるんだ
ファッキューってね
「ア
イデア」で「にこやかに 中指を」と歌っていた
星野源だったが、「Same Thing」では「fuck you」と歌う。綺麗な言葉ではない。しかしその言葉の裏側にある意味を考えることが出来るのが人間だ。中指も、Fuck youも認め合うことの出来る愛の満ちた社会を、
星野源は音楽を通して作り出そうとしているのではないのだろうか。
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⑭「Lovin'You」佐藤千亜妃
「踊Foot Works」のTondenhey (Guitar) が、アレンジ、トラックプロデュースを務めた佐藤千亜妃「Lovin'You」。アーバンで聞けば聞くほど心地よいサウンドでありながら、細かな部分を聞くと例えば水滴の落ちる音や、鍵の開く音のような生活音を随所に配置してみせたり、違和感を感じさせるアレンジでもある。
違和感と心地よさ。2つの相反する要素が合わさった先にあるのは「ふたり」の恋物語。「重なるLovin'You」はサウンド自体のことを指してもいるのではないだろうか。
昨年末の紅白出場という、日本音楽シーンの頂点の”ひとつ”を極めた
Suchmos。紅白を経て今年リリースとなったアルバム「THE ANYMAL」、そしてこの「WATER」は、これまでのアーバンでオシャレという
Suchmosのイメージであるシティポップではなく、ブルースやジャズという泥臭く、難解さすら漂う作風となった。
思い返せば、
Suchmosは元々
茅ヶ崎出身で、彼らの代表曲である「STAY TUNE」はそんな
茅ヶ崎出身の彼らから見た東京という街の違和感を曲とした作品だった。そんな彼らの曲が「オシャレの代表」として消費されていることに、彼ら自身違和感を感じていたのかもしれない。そして人気が頂点となったこのタイミングでその違和感を払拭する「自分たちのやりたいこと」を突き詰めた結果が「THE ANYMAL」であり「WATER」なのではないだろうか。
音楽は難しい。何故なら正解がないから。自分たちのやりたい「正解」とマスの思う「正解」は必ずしも一致しない。ただ僕は今の
Suchmosの作風も好きだ。それもひとつの「正解」なのではないだろうか。
吉澤嘉代子作詞作曲による私立恵比寿中学への提供曲。「あなた」との関係が徐々に崩れていく様を描く切なて重く響くナンバー。
窓枠が 曇天世界を切り取る
この詞から始まる「曇天」。それは「この2人の関係はもう終わる」ことを示唆している。
今日の空のような 底の見えない
曇りがかった 瞳をしてたの
わたしを映さない
あなたをずっと 見ないようにしたのにな
1番Aメロの時点で「あなた」は私を見ていない。
繋ぎあわせてほつれた
指先がかじかんできた
「あなた」と「わたし」を繋いでいた「わたし」の指先にはもう「あなた」はいない。だから相手を失った指先は剥き出しになり、かじかんでいる。
ねえ ケセラセララ
「ケセラセラ」は「なるようになる」の意味がある。それはあの人を信じ続けたい「あたし」が「わたし」自身を励ます唯一のおまじないなのだ。
私立恵比寿中学がスゴイなと思うのは、作詞作曲の吉澤嘉代子を徹底的にトレースしているところだ。出だしの「夕闇の中」の歌い方はまるで吉澤嘉代子本人そのものだ。同時にそんな中にも確実に、エビ中らしさも感じるのもこの曲の魅力である。来年は私立恵比寿中学、そして吉澤嘉代子の両者がより飛躍を遂げる1年になるのではないだろうか。
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今年は6年振りとなるアルバム「834.194」をリリースした
サカナクション。きっとここにたどり着くまでに様々な壁があったんだろうが、それを飛び越えた彼らによる新曲群、とりわけ「忘れられないの」はある種の吹っ切れ感というか、聴いていてワクワクするような感覚に満ちていた。
80年代リスペクトのMVが話題となったが、
サウンドも徹底して歌
謡曲然。少なくとも
サカナクションと聞いて我々が抱くカッコよさとは随分乖離した姿がそこにはあって、でもこういう曲がヒットすることはきっと山口一郎も分かった上でリリースしていた。そういうマスへ向かっていくことと、自分のやりたいことの折り合いに悩み、苦心したのが
サカナクションのこの6年間であったのだと思う。しかしそれをアルバムの形態によって折り合いをつけ、徹底的にやりつくしたのが「834.194」というアルバムであり、それで生まれた「マスに向かうこと」が「忘れられないの」だったのだと思う。
80年代歌
謡曲へのリスペクトを感じる構成でありながら、間奏のベースラインはブンブン鳴っているし、やはり
サカナクションは様々な取り組みをしながらも根はバンドなのだと思わせられる。
岡村靖幸とライムスターのコラボ曲。ありそうで無かった組み合わせだが、発表があった時になるほどな!と思わされたことを覚えている。
岡村靖幸も、
RHYMESTERも共に幾多ものミュージシャンとコラボしている。そんな二組が遂に邂逅するのだ。良くない訳が無いのだが、そんな高いハードルを容易く超えてくる二組には舌を巻いてしまう。
⑨「Fear」マテリアルクラブ
Base Ball Bear小出祐介主宰の音楽プロジェクト、マテリアルクラブ。昨年はアルバム「マテリアルクラブ」をリリースした彼らだが、今年は配信シングルとして「Fear」をリリース。
小出はオカルト・ホラー好きとしても有名なのだが、本作はそんな小出の「ホラー好き」っぷりが存分に発揮された1作だ。田舎の山奥のオカルトスポットに生配信のために来たYouTuberが見たモノとは?という歌詞は、小出のバンド・Base Ball Bearの「不思議な夜」を彷彿とさせる物語性があるし、まるでホラー映画を見ているようなワクワク感がある。サビは福岡晃子による歌唱で、それまでの物語調とは一転して、哲学的な詞が印象的な展開となる。「小中理論」や「ネクロノミコン」というホラー専門用語も楽しい。余談だが「Fear」から前述の「マクガフィン」と続けざまに聞くのが個人的にはおススメの聴き方だ。
⑧ 「Pretender」Official髭男dism
今年の音楽シーンの顔、Official髭男dism。そして今年最大のヒットソング「Pretender」。
「ノーダウト」でのブレイクは星野源「YELLOW DANCER」以降のブラックミュージック的な文脈の延長線であったかに思われていたが、彼らは昨年の時点でとても腕のあるポップ・バンドであったし、今年「Pretender」でそういったバンドであることがちゃんと世間に知れ渡ったのだと思う。
韻を次々に踏んでいく歌詞は聞いているだけで気持ち良いが、韻を気にせずにしっかり歌詞の意味を噛み砕きながら聞いても明確に切ない恋物語として成立している。イントロの一聴すると馴染みの無いギターリフが、終盤ピアノリフになって再登場する展開によって、歌詞だけでなくサウンドに物語が出来上がっている。
「誰もが分かりやすいコンテンツを作るためには馬鹿になるのではなく、技が必要」なのだということを髭男は示したのだ。
ひとつの音楽性に囚われず、様々な音楽ジャンルを咀嚼した上で自らの音楽性に還元する様にはMr.Childrenやサザンオールスターズといったキャリアを積んだバンド達と同じ風格すら既に感じさせる。星野源や米津玄師と並び、今後の音楽シーンを牽引する存在になれるのかどうかは来年の活動に懸かっている。
昨年40周年を迎え、紅白出演が話題となった
サザンオールスターズ。今年は自身最大規模のツアーを開催。ストリーミング配信を遂に解禁するなど、日本音楽シーンの話題を攫った1年だった。
ツアー各地で新曲として披露された「愛はスローにちょっとずつ」は夏に配信リリース。「俺」と「君」の失恋を歌う「情けねぇ男」な歌詞は、サザンのデビュー当時のままで、いつまでも彼らは恋や愛を歌い続けてくれるのだと安心してしまう。その一方で、一聴すると地味とすら思う、でも聞けば聞くほど深みにハマる芳醇な
サウンドメイクは彼らの40年という長い長い活動の賜物でもある。
今最も勢いに乗るバンド、King Gnu。圧倒的な存在感と巧みな腕が光る楽曲に胸を掴まれた音楽ファンも多いことだろう。
「白日」を始めとして、今年はアルバム、シングルと様々な楽曲を世に放った彼らだが、やはり僕は最初に彼らにしっかりと触れたこの曲が一番印象深かったのでランクインとさせていただいた。
スタジアムバンド級のサウンドメイクでありながらも、バンドメンバーの個も同時に光る、今まで誰もしたことのないアレンジ。自分たち、そして社会や国に対する鋭い視点で歌われる歌詞。どこをどう切り取っても「こんな曲今まで聞いたことが無い」に満ちた「Slumberland」はKing Gnuのテーマ曲のようだ。
これだけ前衛的で攻めていて、パフォーマンスを含めてアートとしても完成されている楽曲が、バンドが、未だかつて日本音楽シーンでこれほどまでの人気を博しただろうか。こういう曲を歌っているバンドは「紅白歌合戦」に出演するという事実。彼らは間違いなく日本音楽シーンの在り方を根底から徹底的に覆してしまった。これは最早King Gnuという革命だ。
来年もこの革命は止まることなく続くことだろう。単調な音楽シーンをぶっ壊せ。
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⑤「のめりこめ、震えろ」Tempalay
サイケデリックロックバンド、Tempalay。伝説のバンド、
ゆらゆら帝国のエッセンスを感じさせつつも、独自のセンスやポップさも持ち合わせる、一筋縄ではいかないバンド。サイケとロック、そしてポップという相反する3つの要素をかき混ぜ、咀嚼し、独自性を持たせて世に放ち続けている。
昨年リリースの「どうしよう」も今年話題となった彼ら。「のめりこめ、震えろ」は彼らの音楽制作を歌った歌詞。音楽にのめりこんだ彼らの脳内が、そのままこの曲になっていると思うとワクワクする。
④「阿吽」ポルカドットスティングレイ
「
テレキャスター・ストライプ」以降、ロックシーンを順調に駆け抜けてきた
ポルカドットスティングレイ。今年は武道館公演も成功させ、勢いはとどまることを知らない。ボーカルである雫の
Twitterの運用の在り方や、
エゴサーチによる作詞作曲法など、なにかとロックシーンをざわつかせてきた彼らだったが、僕としてはどうもハマりそうでハマりきらない感覚があり、同時にそれはハマったら徹底的にハマるんだろうなという思いでもあったのだが、遂にその日がやってきてしまったという感じだ。
「阿吽」は今までの
ポルカのイメージとは異なる、無垢なラブソングだ。切ない恋心をストレートで爽やかなギターロック
サウンドに乗せて歌う、誰かの恋心に寄り添える歌。様々なテーマを歌う彼女らだけど、僕はこういう歌が一番このバンドの演奏には
似合うのではないかと思う。これからも、こういう歌を歌ってほしいし、こういう歌でより一層マスへと訴えかけてほしいなと思う。
純然なるスリーピースロックバンドとしての音源をいよいよリリースしたBase Ball Bear。EP「ポラリス」そして「Grape」は、昨年1年間を武者修行のように徹底して3ピースでのライブに費やしたBase Ball Bear満を持してリリースした新曲群だった。
4ピース、そして初めてバンドメンバー以外の音を使った「光源」を時期を経て辿り着いたBase Ball Bearのスリーピース編成。編成の変化により、関根史織と堀之内大介によるベース、ドラムのいわゆるリズム隊が担う役割が一層強くなる一方、バッキングとリード、両方のギターの役割を担うこととなったボーカルギター小出。着実にバンドそのものの体質が変わった、変わらざるを得なかった状況で、彼らが苦心したことは想像に容易い。しかしそんな中でもメンバーは心から現在のバンドでの活動を心から楽しんでいるようで、そんな「バンドが楽しい」という音楽家の原点でありながらも、いつしか忘れてしまう感情を以って作られた「ポラリス」「Grape」というEPは、彼らのキャリアに対してあまりにも瑞々しく鳴っていて、それが紛れもない「今のBase Ball Bear」のモードなのだ。
「恋愛」を通して「コミュニケーション」を歌うBase Ball Bearは、やはりクレバーであると共に、いつまでも蒼々としていて、否応なく切なくさせられて、存在そのものがドラマチックだ。1月にリリース予定の「C3」にもきっと、どこまでも蒼々としているBase Ball Bearがいることだろう。
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②「Highway Cabriolet」赤い公園
昨年は新ボーカルを迎えた新体制となり、
YouTube上に新曲「消えない」のMVを公開した
赤い公園。今年は新体制での活動を本格化。満を持した音源リリースとして「凛々爛々」を配信リリースすると、「消えない」「凛々爛々」などが収録されたEP「消えない」をリリース。ツアーも2度開催、各フェスやイベントにも積極的に参加するなど、新体制での活動が波に乗ったのが
赤い公園にとってのこの1年だったと言えるだろう。
そんな中でも2月にMV公開され、前述したEPにも収録された「Highway Cabriolet」は傑作だった。「消えない」が彼女達の極めてパーソナルな、彼女達が活動を本格化させるにあたって必要な作品であったことに対し、「Highway Cabriolet」は彼女達のパブリックイメージに近い、でも新しい、そんな作品となった。
恋をしている男女のドライブを歌う「Highway Cabriolet」はテーマこそガールズポップ的でありながら、ビート感も歪むギターも全然ガールズポップ的ではなく、そこがどうしようもなく
赤い公園的でもある。
彼女達はその類稀なるポップセンスとロックバンドとしての
アイデンティティを持って、令和のバンド業界を牽引する存在になることだろう。2020年も
赤い公園から目が離せない。
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①「だっせー恋ばっかしやがって」忘れらんねえよ
だっせー恋ばっかしやがって
だっせーことばっかしやがって
僕らは愛とか逢いたいだとかそういう類の歌が似合わないから
僕らのラブソングを歌うよ
全ての「不器用な恋をする人類」に刺さって仕方がない歌詞は僕のような人間には涙なしでは聞けない。恋も愛も、それが絡むと途端に人間は痛くてダサい人間になる。僕だってそうだ。そうでしかない。
でもそれが恋や愛の本質なのではないか。好きな人をどうしようもなく想うのだ、ダサくて痛いに決まってる。恋や愛をスマートに済まそうなんて、驕りでしかない。苦しんで苦しんで、最後の最後に愛だの恋だのが素敵なモノになって輝けるんだ。
「だっせー恋ばっかしやがって」は
忘れらんねえよ・柴田が歌うからこそ輝く歌だ。他の誰にも歌えない。そんなこの曲が今年のふじもと的、ベストソングです。
以下改めて25曲をプレイバック。