ライブハウスは音楽とやさしさの詰まった場所

f:id:fujimon_sas:20200304233354j:image

「ライブハウスってどういうイメージ?」と、ライブハウスに行ったことのない人に聞けば、恐らく大半の人からは「なんだか怖い」という答えが返ってくるのではないだろうか。

暗さだとか、激しさだとか、モッシュだとか、身内感だとか、そういう物に恐怖を抱く人は割と多いのかなと思う。実際僕もライブハウスによく足を運ぶようになるまではそういうイメージを持っていた。

でも、ライブハウスってそんな怖いだけの場所じゃないよなと思うのだ。

今回はそんな話を、ゆるく。

さて突然だが、音楽コンサートが開催される会場は以下の4つに分けられる。

・ライブハウス
・ホール
・アリーナ
・ドーム、スタジアム

下に行けば行くほどキャパは大きくなる。ドームとなれば5万人程の人数が同じ会場でライブを楽しむことになるが、ライブハウスならどれだけ大きい会場でも2000から3000程度の動員数だ。

僕はアリーナやドームでのライブも好きだ。ライブハウスでは出来ないダイナミックな演出はアリーナやドームという大規模な会場あってこそだと思う。

しかし、ライブハウスでのライブにはドームやアリーナとはまた一味も二味も違う魅力があると思っている。

まずは音について。

そしてアリーナやドームと違い、ライブハウスは音楽を鳴らすことが目的として作られた場所である。だからこそ、音は他の会場と比べてもグンと良いのだ。ドームやアリーナではスピーカーからの距離がどうしても遠くなってしまう。しかし、ライブハウスであればそもそもの会場の大きさが小さいので、どこにいようともスピーカーからの距離は割と近い。見る場所によっては目の前にスピーカーがある、なんてこともあるだろう。ライブハウスならではの、ビリビリと空気が震えるあの感覚が好き、という人も多いのではないだろうか。

そして他の会場と比べて個性が出やすいのもライブハウスの特徴と言えるだろう。

これまで、東海地方を中心に沢山のライブハウスでのライブに参加してきたが、アリーナと比べてもライブハウスはそれぞれの個性がハッキリと現れるので面白い。

一番僕が印象的な会場のひとつが松阪M'AXAである。

www.maxa.jp

三重県の国道沿いに忽然と姿を現す木造の建物。一見するとライブハウスというよりはむしろオシャレな洋食屋のような出で立ちである。その中に入れば、外観以上にカントリーを彷彿とさせる装飾品に彩られたフロアが姿を現す。バーカウンターもあり、本当にお店のような(というかM'AXAは料理も出す立派なお店としての側面も持っているのだが)内装だ。僕の参加したこの日のライブは席のある、着席タイプのライブだったのだが、気前の良さそうな店長さんがここにも席がありますよ!とお客さんを誘導していたのがなんだか心地良かった。ZeppCLUB QUATTROのような各地に跨るライブハウスではなかなか店長さんという存在は稀なのだろうが、各地にしかないライブハウスには名物の店長さんが必ずいらっしゃる。その人間味に楽しくなるのもライブハウスの魅力のひとつだろう。

あるいは、距離感。

ドームやアリーナでのライブとなると、観客と演者との距離は自然と遠くなってしまう。場合によっては、演者が米粒当然にしか見えない席も存在するだろう。それほど広大な会場だと、やはり会場全体の一体感は感じにくくなってしまう。

一方、ライブハウスは演者と観客の距離が近い。そして客同士の距離もまた、近い。

だからこそ、ドームやスタジアムにはない一体感がライブハウスの公演には生まれる。

僕はBase Ball Bearのライブによく足を運ぶ。自分の住んでいる場所柄、参加するのは大体名古屋公演だ。バンドメンバーが言うには、名古屋のBase Ball Bearのファンは全国屈指の頭のおかしさ(誉め言葉)であるそうだ。やはり盛り上がりは物凄いし、僕も他のお客さんが盛り上がれば盛り上がるほど、楽しい。ドームやアリーナでは体験し得ない一体感がライブハウスにはあると思う。

fujimon-sas.hatenadiary.jp

そんなライブハウスならではの一体感は、ライブとは直接関係のない時間でも作用する。

僕が以前、岡村靖幸のライブに参加した時、入場を待つ列に並んでいた。天気は生憎の雨で、傘を持っていなかった僕は濡れながら開場を待っていた。すると、隣で並んでいた方が濡れるでしょうと自分の傘に僕を入れてくれたのである。その時はペコペコと拙い言葉で感謝を伝えるしかなかった僕だが、それ以来岡村靖幸のライブは当然ながら、それ以外のどんなライブであろうと、困っている人がいれば助けようと思ったモノである。

fujimon-sas.hatenadiary.jp

打首獄門同好会のライブでは、「うまい棒」が配られたり、「お札」が空を舞うことがある。それらはいわゆる「金テ」と同じようにファンへのサービスとして配布されるのだが、他のどんなライブよりも打首獄門同好会のライブでは供給が皆に行き渡るのだ。さながらバケツリレーのように、前方から札の山を渡されるのには面食らうが、1枚ありがたく頂戴し、また後ろのファンの人に渡すとその人も笑顔になる。素敵な文化だと思う。

fujimon-sas.hatenadiary.jp

どんなミュージシャンのライブだろうと、なにか物が落ちていれば声を掛け合うし、モッシュで倒れそうになっている人が居れば支え合う。人として当然と言われればそれまでだが、ドームやアリーナでは埋もれがちな個々人が、ちゃんと意識的になるのはやはりライブハウスならではの特性だと僕は思う。ライブハウスにはやさしさが詰まっている。

ライブハウスは怖い場所ではない。魅力の溢れる音楽と、そんな音楽を愛する者達のやさしさが詰まった素敵な場所だ。昨今の情勢が収まった暁には、是非ライブハウスで音楽を楽しんでほしい。

 

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴うイベント中止・延期に対する政府による補填を求める署名活動を行っております。ご賛同頂ける方は是非ご署名をお願い致します。

www.change.org