恒例の。今年は新作をあまり聞けてないので付け焼刃感が凄いのですが…。曲だけだとなんなので、アルバムやライブについても書きます~。
まずは上半期ベストソングから。
アルバム「COSMIC EXPLORER」のリード曲…なのだが、アルバム本編に収録されたのはアルバム用にリミックスされたバージョンだった。本来のバージョン(ちはやふるの主題歌として使われ、音楽番組でも披露されていたもの)はアルバムの初回盤特典として収録されていた。その是非はともかく、このシングルバージョンが傑作だった。映画「ちはやふる」とのリンクを散りばめながらも、3度のワールドツアーを経て「COSMIC EXPLORER」という大傑作を創り出したPerfumeの「らしさ」が詰まった楽曲といえるのではないのだろうか。ダンスナブルで、まさに「王道Perfume」なメロディとアレンジ。競技かるたを髣髴とさせるようで、Perfumeのライブもイメージできるような歌詞が俊逸。ダブルミーニング。
乃木坂46からはじまった「坂道シリーズ」第二弾として結成された欅坂46のファーストシングル。「皆がみんな同じことをしている」という、「同調圧力」について歌うという、アイドルグループの、それもファーストシングルとは思えないようなメッセージ性のある歌詞が素晴らしい。
欅坂46「サイレントマジョリティー」凄いな。「普通」という「同調圧力」に支配されたこの国を憂う歌詞。秋元康流石だわ。乃木坂の流れを汲んでるんだろうけど、キャピキャピ王道アイドルじゃないこの路線めっちゃ好き。人間らしさがよく出てる。借りてこよー。
— ふじもと (@fujimon_music) 2016年6月10日
アイドル戦国時代なだけあって、最近のアイドルソングは今までだったら絶対無かった視点がガンガン出てきててスッゲー面白い。アイドルソング舐めちゃダメだなとほんとに思う。引きこもりとかいじめられっ子とか。アイドルだからって馬鹿にできない。
— ふじもと (@fujimon_music) 2016年6月10日
「個性」があるから人なのに、個性は必要のない物だと教育され、また排除されるというのは絶対に間違っていると思ってる。秋元康はこの曲を通じて日本社会への警鐘を鳴らしているのではないだろうか。欅坂、これから期待大。アイドルらしからぬ作品を生み出し続けてほしい。
③心雨 indigo la End
昨年は怒涛とも言えるほどに名曲をリリースし続けたindigo la End。昨年末に記事にしたベストソング2015でも3曲も選ばせていただいた。
今年最初のリリースとなった「心雨」。ジャジーでスローテンポ、まさに「心地よい」音像だ。勢いだけで持っていくような曲作りではなく「聞かせる」ことを念頭に置いて作られたことが窺える。(記事作成時点で発売しているもののまだ聞けていない)アルバムも楽しみである。
④破花 クリープハイプ
ソリッドに研ぎ澄まされまくったクリープハイプ渾身の1曲。自らを鉛筆になぞらえて、尾崎がここ数年抱えていた「自らへの怒り」がテーマになっている。「先が尖ってる芯が少しずつ丸くなる 真っ白な気持ちは書いた分だけ黒くなる」というのはつまり、「インディーズ時代の作品に比べて明らかに『怒り』がモチーフの作品を書かなくなった」ことに由来するのではないだろうか。インディーズ時代の彼の歌詞は売れないことに対する自虐的な自らへの怒りをテーマにしていた。が、ブレイク以降はそういった歌詞が明らかに減った。そりゃあ「売れた」のだから当然なのだが。ファンは勝手だからそういう歌詞を求める。求められる度に自らの気持ちは黒く淀んでいく。序盤のこの歌詞でここまで解釈させられるのは素直にスゴイなと感じる。「動き出した君の歴史 いつも今日に答えがあるから」自分が信じているモノは過去にも未来にもなく、現在に存在するのだと宣言する歌詞に痺れる。
インディーズロックバンド、バックドロップシンデレラがリリースしたカバーアルバム「いろんな曲でウンザウンザを踊ってみた」収録の1曲。国民的童謡である「だんご3兄弟」を自らが提唱する「ウンザウンザ」というバンドサウンドへと見事なリアレンジ。バイオリンがここまでロック的な聞こえ方をするのかと驚き。そこに絡みつくようなギターがたまらん。「踊るやつがエラいのだ」という彼らのスタンス通り、「踊れるだんご3兄弟」になっている。
⑥MUSIC VIDEO 岡崎体育
上半期一番バズったミュージシャンは間違いなく岡崎体育だし、上半期一番バズったMVは間違いなくこの「MUSIC VIDEO」だろう。批評的な視点から自らの半径3m以内のモノを徹底的に「コケに」する姿勢。めちゃくちゃだけど、スゴク納得できる。これからの活躍に期待大。
「王道」に向かわないことで自らの魅力を最大限に発揮している乃木坂46。今回のシングルもまったく王道ソングではないが、確かな魅力と他では感じえない独特の感覚のある作品になっている。欅坂の出現もあり、今後はどういう作品になるのか。注目したい。
宇多田ヒカル活動再開の狼煙のような1曲。休止中に彼女に起きた『色々なこと』を踏まえた上で書かれた、人間味の溢れた歌詞が素晴らしい。16歳から日本の音楽シーンの先頭にずっと立ち続けた重圧から解き放たれ、人間味のある生活を送った彼女が書く歌詞は今までのそれとは一味もふた味も違った「泣ける」ものだった。是非CD化に期待したい。
⑨両成敗でいいじゃない ゲスの極み乙女。
アルバム「両成敗」のリードトラック。イントロのうねるギターとベースが絡み合うようなブラックな音像に、サビの切ないメロディー。川谷絵音の才能は底知れないなと思わされる。個人的にはindigo推しだけど、ゲスの新曲も楽しみにしております。
⑩さらば涙 ケツメイシ
これだけ先に言いたい。鈴木ちなみ可愛いよね。
ケツメイシのキャリアを総括するかのようで、その重さを感じさせない普遍的な応援ソング。「胸に咲いた花びら」は「さくら」を連想させるし、「いい波が音もなく~」は「また君に逢える」を連想してしまう。ガッツリファンというわけじゃないからそこまでの知識があるわけではないけど、めちゃくちゃ良いです。素晴らしいです。
というわけで改めてランキング。
③心雨 indigo la End
④破花 クリープハイプ
⑥MUSIC VIDEO 岡崎体育
⑨両成敗でいいじゃない ゲスの極み乙女。
⑩さらば涙 ケツメイシ
続いてアルバム編。
①幸福 岡村靖幸
岡村靖幸12年ぶりのオリジナルアルバム。岡村靖幸特有の変態的ブラックミュージックはやや鳴りを潜め、全編に渡って幸せの塊みたいなキラキラしたポップスが展開される。つまりこれこそが「幸福」だという証。色々な事を経験してきた岡村ちゃんが最後に見つけた「幸せ」がこのアルバムなのだ。「岡村ちゃん流 ポップスのすべて」がここに詰まっている。
「世界レベル」のスケールで描かれる前半と、「大人の女性」へと足を踏み入れたPerfumeを大人らしく描いた後半の流れ。真逆の流れながら、どちらも「Perfumeの今までとこれから」を感じさせる。非常にコンセプチュアルなアルバムながら、全く重さを感じさせない、寧ろあっという間に聞けてしまう。Perfume史の中でも(いい意味で)異端なアルバムであり、新機軸。
③いろんな曲でウンザウンザを踊ってみた バックドロップシンデレラ
ロックとは似ても似つかない楽曲を完全に自らの領域へと連れ込み、全く別の姿に変えてしまうアルバム。勿論原曲の良さはそのままに、バクシンらしさはありったけ込めて。正しいカバーアルバムのカタチだ。どの楽曲も俊逸だが、個人的には「だんご3兄弟」「シュラバ★ラ★バンバ」を推したい。カバーアルバムなのでとっつきやすく、またはじめてバクシンサウンドを体験するにはもってこいなアルバムだ。
というわけでアルバム編ランキング。
①幸福 岡村靖幸
③いろんな曲でウンザウンザを踊ってみた バックドロップシンデレラ
続いてライブ編
①日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2~ @日比谷野外大音楽堂 Base Ball Bear
メンバーの脱退というバンド史上最大のピンチを、「音楽に真剣に向き合う」という圧倒的な正しさで乗り切る彼らをまざまざと見せつけられたライブだった。ここでしか見れなかったであろう豪華なギタリストとの共演も、ラストを飾った3人だけでの演奏も。彼らの「決意」をビリビリと感じさせるライブだった。
②Perfume 6th Tour 2016 COSMIC EXPLORER @静岡エコパアリーナ初日 Perfume
ツアー開催中なので詳しいことは割愛するが、「COSMIC EXPLORER」という非常にコンセプチュアルなアルバムをライブ用に再構築し、さらに沢山の要素を盛り込んだうえで、Perfumeらしさは存分に閉じ込めた素晴らしいライブだった。Perfumeのライブは本当に幸福というか、多幸感を感じるライブを毎回してくれる。
③Base Ball Bear Tour LIVE BY THE C2 @名古屋DIAMOND HALL Base Ball Bear
「日比谷ノンフィクションⅤ」はサポートギタリストの参加もあり、余り「C2」の世界観を感じさせるような構成ではなかったが、地方公演であるツアー本編はサポートギタリストも一人に絞り、あくまでしっかりと「C2」というアルバムを感じさせるライブだった。「美しいのさ」が泣けた。
ライブ編はこんな感じ。
①日比谷ノンフィクションⅤ~LIVE BY THE C2~ @日比谷野外大音楽堂 Base Ball Bear
②Perfume 6th Tour 2016 COSMIC EXPLORER @静岡エコパアリーナ初日 Perfume
③Base Ball Bear Tour LIVE BY THE C2 @名古屋DIAMOND HALL Base Ball Bear
あまりにも聞き込めてなかった&ライブ参戦も少な目だったので全体的に偏りまくりなランキングとなってしまったが、年末までにはもう少し聞き込んでからランク付けしたいと思う。とはいえどの作品も素晴らしいものばかりなので、ぜひ聞いてほしい。