私の好きな音楽~サザンオールスターズ編~
素晴らしい記事。僕は常々「音楽の良さを語るときに重要」なのは「その人のその曲への思い」だと思っている。曲自体の批評なんか音楽雑誌に任せておけばいいのだ。誤解を恐れずに言えば、どんなに曲として酷い物だとしても、そこに強い思いや思い出があればどんな曲でも素晴らしいものになる。少なくとも僕はそう信じている。
僕はサザンオールスターズが大好きだ。どんなに新しいアーティストが出てきたり素晴らしい才能を持ったアーティストを見つけたとしてもこれだけは揺るがないだろうと思う。桑田佳祐の作り出す音楽がどうしようもなく好きなのだ。
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「海のYeah!!」は僕にとって一番思い出深い作品だ。 アルバムとしての話をするならば、所謂「王道サザン」しか収録されていない、まさに「サザン初心者向けベスト」であり「大富豪でいえばジョーカーと2しかない」状態といえると思う。そしてこの作品は多くのサザンファンにとっての「出会いの1枚」なのではないのだろうか。かくいう僕もその一人だ。「海のYeah!!」こそサザンの世界にのめり込むキッカケの1枚なのだ。
僕の覚えうる「最初のサザンに関する記憶」は、当時幼稚園か小学生のころに聞いたアルバム「さくら」だ。ディズニーランドに向かう車中、子供向けの選曲がされたMDを母親が再生してくれていた。しばらくして僕は寝てしまい、母親が好きだったサザンを流し始めた。起きた時に全然知らない暗い音楽が流れていて喚いたことをよく覚えている。
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その後、時は流れて僕は小学5年生になった。当時、学校の音楽の時間で「リコーダーでクラシックの演奏」をしていた僕は音楽の先生にそのクラシックの原曲を焼いてもらった。そのMD、どうせならいろいろな曲を入れれば?という話になり、当時流行していた修二と彰の「青春アミーゴ」や平井堅の「POP STER」、DREAMS COME TRUE「JET!!」なんかをレンタルショップで借りてきた。以降、CDシングルを片っ端から借りてきてMDに焼く日々が続いた。MDウォークマンを買ってもらって、MDの枚数も増えた。覚えたてのロイヤルミルクティーを作り、MDを聞きながら宿題を片付ける日々が続いた。それこそが僕の音楽との出会いだった。
暫くして、何度目かのCDレンタル。たまたま手にとったのがサザンの「DIRTY OLD MAN〜さらば夏よ〜」だった。
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中年の悲哀が描かれた歌詞に明るくてどこか切なさも感じるメロディとサウンド。1発で虜になった...は言い過ぎかもしれないが、確実に他の曲と違う何かは感じた。
翌年、サザンはバンドとして活動はせずにソロ活動の年となった。僕はというと中学生になり、今までとは全然違った生活にドキマギしっぱなしだった。そんな中で月9ドラマが学校で流行った。「プロポーズ大作戦」だ。僕も1話からガッツリ見ていた。山ピー演じる超ナヨナヨした男にひどくイライラしつつもちょっと共感したりしていた。山ピーと長澤まさみの幸せをホントに願ったりしていた。流石中学生。そんな「プロポーズ大作戦」の主題歌には桑田佳祐の「明日晴れるかな」が起用されていた。
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このCDは母親が購入してきた。何度も何度も聞いた。表題曲である「明日晴れるかな」もさることながら、「こんな僕でよかったら」「男達の挽歌」も何度もリピートした。すっかりハマってしまったのだ。
その後、前述の通り家にある「海のYeah!!」を幾度となく聞いた。とんでもなかった。「勝手にシンドバッド」に「いとしのエリー」、「真夏の果実」に「涙のキッス」。切なさも盛り上がる曲も全て揃って、なおかつ王道的な楽曲が揃ったこのアルバムは僕にとってまさに「サザンという扉」を開いた瞬間だった。
翌年、2008年。中学2年生になる。今年はサザンや桑田さんはどんな活動をするのだろうとワクワクしていた。5月、サザンの活動休止がアナウンスされた。朝、めざましテレビを見ていた母親が僕を叩き起こした。サザン活動休止のニュースを見せられた。ガッカリとしたのをよく覚えている。休止前最後の日産スタジアムでのライブ、中学2年の俺は当然行けなかった。日産ライブ最終日、たまたまその日家族でキャンプに出かけていた。翌日、部活の都合で1人で電車に乗って家に帰った。その車内で出勤中のおじさん達がスポーツ新聞を読んでいた。1面にサザンがデカデカと載っていた。ああ終わっちゃったんだなと寂しくなったりした。部活が終わった後、家に帰りテレ朝で深夜にやっていたダイジェスト版を録画したものを見た。あの大雨の中での「Ya Ya(あの時代を忘れない)」は活動休止も相まってとても悲しいものに見えた。お客さんがみんな泣きながらサザンを見ていた。それを見てサザンって偉大な人たちなのだなと思い知った。
これがサザンオールスターズと僕の出会いの全てだ。
思い出の曲は山のようにある。中学2年の終わり、訳あって部員と一緒に全校生徒の前に立ち、何故か僕1人で歌わされた「TSUNAMI」と「エロティカ・セブン」。この2曲は僕だけでなく僕の友人をサザンと繋げた曲だった。今でもその頃の友人とサザンのライブに行ったりしているし、「おいしい葡萄の旅」では「エロティカ・セブン」を演奏してくれてはしゃぎまくったりした。「SEA SIDE WOMAN BLUES」は中3の秋に失恋した時に聞いて泣いたりした。「栞のテーマ」は高校1年の冬、大雪でバスが止まってしまい駅で立ち往生していた時に当時気になっていた女の子とたまたま一緒になり、そのまま一緒に学校に遅れて行った際に音楽の話になり、サザンが好きだと話したら「栞のテーマとかいいよね」とその女の子が話してくれたことを今でも覚えている。それからしばらくは「栞のテーマ」を聞くとその女の子が脳裏をチラついていたこともよく覚えている。
他にも僕の人生の至る所にサザンはいた。悲しかった時も楽しかった時も。これから先はどんな思い出にサザンの曲が寄り添ってくれるのだろうか。そして自分の今があるのは間違いなくサザンのお陰なのだ。いろんなアーティストの音楽を聞いたりライブに行ったりしてるけど、その根底には間違いなく「サザンオールスターズ」の存在があるからこそなのだ。これだけは胸を張って言いたい。自分語り全開のブログになってしまったが、たまには良いだろう。読んでくださった皆様、ありがとうございました。