【祝40周年アニバーサリー】いまさら人に聞けない!?サザンの「まず最初に抑えてほしい!」名曲10選&アルバム3選!
2018年はサザンオールスターズ40周年!1978年のデビュー以来、コンスタントに音楽史に残り続ける作品を世に放ち続ける、誰もが認める「国民的バンド」といえばサザンでしょう。18年現在、メンバーは全員還暦を迎えながらも、未だに精力的に音楽活動を続ける、まさに「化け物バンド」それがサザンオールスターズなのです。
そんなサザンですが、これからサザンの音楽に触れたい!と思っても「有名過ぎて逆にどの曲を聞けばいいかわからない...」「どのアルバムを最初に聞けばいいの?」なんて人も潜在的に沢山いるのではないかと。特に10代や20代前半の若年層はなかなか手を出しにくい側面も大きいと思います。iTunesをはじめとした配信は始まっているものの、YouTubeやサブスクリプションといった現在の若年層が音楽に一番触れるメディアにサザンはまだ進出していないのが現状です。そこで今回の記事では「サザンオールスターズ入門編」として、筆者の独断と偏見で「最初に抑えてほしい!」楽曲とアルバムをピックアップ。まずはここからサザンを知ってもらって、この夏大々的に開催されるであろうアニバーサリー祭に間に合わせてくれればイイじゃない!という趣旨です!
楽曲編
まずは楽曲から。10曲をピックアップしてみました。
勝手にシンドバッド
勝手知ったるサザンオールスターズのデビュー曲。1978年の6月25日、ここからサザンオールスターズがスタートしたと言っても過言ではないだろう。今となっては当たり前なのかもしれないけれど、当時の音楽業界でこういうハチャメチャな音楽は珍しかった。1978年のシングルチャートを見てもこの曲だけが異質。
「今何時?」「そうねだいたいね」の掛け合いは1度は誰もがしたことがあるのではないだろうか。小気味のいいサンバのリズム、「胸騒ぎの腰つき」という意味が分からないようでどこか納得してしまうどこか不埒な歌詞。桑田佳祐の源流のひとつがこの曲に詰まっている。
この曲がキッカケで音楽番組で歌詞テロップが付くようになっただとか、タイトルは元々当時流行していた沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」を掛け合わせただけで、もっと言えばそれも「8時だョ!全員集合」で志村けんが元々ギャグのひとつとしてやっていたものだった、という様々な逸話があったりもする、そういう逸話のひとつひとつにも、今のサザンに繋がる「桑田佳祐流の音楽論」或いは「芸能論」、彼が日本音楽界に与えた影響を感じてしまう。
いとしのエリー
「勝手にシンドバッド」の興奮冷めやらぬ中リリースされた3rdシングル。この曲がリリースされた時点で「勝手にシンドバッド」の1発屋ではないことがこの曲で証明されたと言えるだろう。ある意味では桑田佳祐の市場リサーチの巧みさを表している曲と言ってもいいだろう。しゃがれているけど囁くような、まるで恋人の耳元で語りかけるような歌声は、当時のリスナーとしては「勝手にシンドバッド」の桑田佳祐からは想像が出来なかっただろう。いまや国民的ラブソングとして不動の地位を築いた「いとしのエリー」。サザンのバラードで最初に聞くべきはやはりこの曲ではないだろうか。
栞のテーマ
サザンオールスターズファンに 「好きなバラードは?」と聞いた時に玄人が選びがちな曲ナンバー1(偏見です)。三拍子の軽やかなテンポに乗せて歌われるのは、素直に実直に好きなあの娘を想い、あの娘の一挙手一投足に心奪われてしまう無垢な男心。以前記事にも書いた通り、僕自身特別な思い出に溢れている1曲です。
鎌倉物語
「サザンオールスターズと桑田佳祐ソロ作品の違いってなに?」という疑問は、サザンオールスターズ初心者に関わらず、長くファンをしている人にとってもひとつの大きなテーマなのではないだろうか。ひとつ大きな違いを挙げるとするならば「サザンオールスターズは5人あってのサザンオールスターズ」なのだということであり、それは楽曲にも大きく反映されている。たとえばボーカルである。サザンのボーカルは桑田佳祐だけではなく、パーカッションの野沢毛ガニを除く4名(厳密に言えば2000年までサザンのギタリストだった大森がボーカルを務めた歌もあるので5名)がボーカルを担当する歌がある。その中でもキーボード、そして桑田の妻でもある原由子は毎アルバムで1曲はボーカルを担当する。その中でもこの「鎌倉物語」はサザンの原ボーカル曲を語る上で欠かせない曲のひとつだろう。力のこもっていない、やさしくて軽やかな原由子の歌声、鎌倉の風景を浮かべずにはいられない清さすら漂う歌詞とメロディ。この曲を聴きながら鎌倉ドライブなんてしたらそれはもう最高なのである。
みんなのうた
この記事を執筆している現時点での直近のサザン界隈での大きなトピックスのひとつにめちゃイケ最終回での楽曲使用が挙げられる。自分もリアルタイムで見ていたが、まさかの「みんなのうた」にかなり驚いたし、5時間あった放送時間の要所に、とりわけ残り放送時間5分程度のところで流れた、めちゃイケのこれまでの名場面のスナップと共に流れた「みんなのうた」は「終わることの希望」を感じて仕方が無かった。
いつの日か この場所で 逢えるなら やりなおそう
この曲のリリース当時は、原由子の産休をキッカケにメンバーそれぞれが初めてのソロ活動に突入していて、久々のサザン!という意味合いを含んだ「みんなのうた」でありこの歌詞だったが、まったく逆の立場、視点からこの曲を聞くと(当然かもしれないが)違った聞こえ方をする。
真夏の果実
サザンのラブバラードの中では屈指の人気を誇る「真夏の果実」。EXILE、絢香、中村あゆみ、テレサ・テン等々、カバーしたミュージシャンを列挙するだけで暇がないほどである。Mr.Children、レミオロメン、近年ではback number、SHISHAMOらのプロデュースでも知られる小林武史が今作にも携わっている。個人的に小林武史の作るサウンドは正直好みでは無いというか、彼がプロデュースするとどの曲も曲の全体が重くなりがちな印象があるのだが、その中でこの曲の編曲は本当に天才的と言える。重すぎず、軽すぎずの絶妙なバランス、夜の海を彷彿とさせるようなシットリとした湿度のあるサウンド、どこを切り取っても天才的な作り。勿論、大前提として曲そのものの良さ、つまりは桑田佳祐の手腕の上に成り立っているのだが、彼が作り上げた曲という「食材」を、小林武史が絶妙な配合の調味料で味付けをし、絶妙な加減で火にかけて、絶妙な盛り付けをしたのがこの曲と言えると思う。小林武史ニワカ的には、これが彼の最高傑作のひとつなのではないだろうかと言いたくなるほどであり、同時にサザンとしても最高傑作と(実際に)評される曲のひとつだ。特にback numberやSHISHAMOなどの近年の小林武史プロデュース曲が好きな方にはぜひ聞き比べをしてみることもおススメしたい。
マンピーのG★SPOT
サザン=エロ。この方程式は日本国民誰しもが持っているもののひとつだと思っている(偏見です)が、その最たるものがこの曲。なんだけど、サウンドに注目してみるとめちゃくちゃロック。モッシュありのロックフェスでやったら全然巻き起こりそうなカッコよさに満ち満ちていると思いませんか。邦ロックファンにぜひ聞いてほしい一作。ライブでは恒例のズラ芸や、ご当地キャラを股間に当てて振り回すなど「下世話」という言葉がぴったりの芸(褒めています)を魅せつつも、水着の女性ダンサーとの濃厚な絡みも。ライブでのパフォーマンスを含めて、まさにエンターテインメントの神髄がこの曲に詰まっていると言っても過言ではないだろう。
LOVE AFFAIR ~秘密のデート~
不倫ソングの代表格にして、究極のデートソング。
マリンルージュで愛されて
大黒ふ頭で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない
ボーリング場でカッコつけて
ブルーライトバーで泣き濡れて
ハーバービューの部屋で抱きしめ
また口づけた
つい先日、卒業旅行ということで横浜に同期と2人で出かけた際にこのあたりを散策したのだけど、普通にデートコースとしてめちゃくちゃ優秀。
バーで飲んだり、横浜の海を船で航行したり、海の見える部屋で愛し合ったり。まさに大人のデートという感じ。この曲を聴きながらこの辺りを歩けば、この曲の主人公の気持ちにちょっぴりでも浸れるのではないだろうか。
キラキラした曲調はサザンの代名詞。でもこの曲はそんなキラキラに対して歌詞は「不倫」という一見すると重たいテーマを扱っている。限られた時間に人目を気にしながら愛し合う関係性。歪なようで、どうしようもなくて、でもだからこそ燃える愛。不倫を肯定しようとは思わないけれど、不倫関係だからこその強い愛もある。ことエンターテインメントにおいては不倫関係を描くからこそ面白くなる作品も沢山あって、この曲が主題歌となっていたドラマ「Sweet Season」然り、映画化もした「昼顔」然り、僕の大好きだったドラマ「小早川伸樹の恋」然り、この曲も然り。表向きには「不倫ソング」だけど、本質的には「愛する」ということを描いた極めて普遍的なラブソングである。「今自分が持っているものを投げ打っても愛したい相手」を僕も見つけたいなと思ってしまう。
TSUNAMI
サザン最大のヒットナンバー。国民の誰もが知るであろうラブバラード。
情感豊かなメロディと、揺れ動く思いの中で悩み、愛しい人を想う男性の真っすぐな願いを歌う。日本人的なサウンド・メロディが心を鷲掴みにするよう。この曲に関しては、以前記事をじっくりと書いたのでぜひこちらを読んでもらいたい。
また、3.11以降、この曲はライブでも演奏されていない(2018.04.22現在)。迫るサザン40周年で、ツアー、或いは単発かもしれないが、確実にあるであろうライブでこの曲は演奏されるのだろうか。この曲と震災、もしくは桑田佳祐と震災にまつわる記事も以前書かせていただいたので、そちらも参考にしてほしい。
東京VICTORY
サザンオールスターズの最新シングルにして、最新の代表曲と言えるだろう。2020年に迫る東京五輪に向けて変わりゆく東京、そして日本。一方で、変わらないこと(時が止まったまま)を今なお余儀なくされている場所、そして変わらないからこそ美しいものも日本には溢れている。そんな日本で頑張り続けるすべての人に捧げる「みんな頑張って」という言葉。2020年までの、そしてその先の未来まで。この国の主題歌のように様々な場所、さまざまな場面で歌われ続けてほしい、日本という国がこの曲によって盛り上がってほしい、そんな想いが聞くたびに強くなっていくような歌。事実、リリースから4年経った今年も、TBS系の「2018アジア大会&世界バレー」のテーマ曲として選ばれたことが先日発表された。スポーツとの親和性もピッタリな、東京五輪のテーマ曲にしてもいいんじゃない!?(ファン並感)な1曲。
アルバム編
ここからはアルバム編。サザンオールスターズをまず知るために抑えてほしいアルバムを3作厳選。
海のYeah!!
現在リリースされているサザンオールスターズのアルバムのなかで「サザン初心者」の人がまず手にとって欲しい「海のYeah!!」。楽曲編で挙げた10曲のうち、7曲はこのアルバムで網羅することが出来る。さらに今回惜しくも挙げれなかったものの、サザンを語るうえで欠かせない「夏をあきらめて」「ミス・ブランニューディ」「海」「希望の轍」「涙のキッス」「愛の言霊」あたりもこのアルバムで網羅できる。「夏」「海」をテーマに、「サザン」と聞いて多くの人がイメージするような曲が沢山収録されている。サザン初心者だけでなく、サザンファンなら誰しも1枚は持っておきたい作品であり、夏の暑い昼間のドライブにもぴったりな1作。まずはここから。
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バラッド3 ~the album of LOVE~
ハートマークの夕陽が印象的なジャケット。サザンはデビュー当時から企画盤を度々リリースしており、特にこの「バラッドシリーズ」は3度リリースされた、サザンを代表するシリーズアルバム。本作「バラッド3」は、1990年以降のサザンにおけるバラードを集めた作品になっており、「TSUNAMI」「真夏の果実」「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」などの代表曲から、「SEA SIDE WOMAN BLUES」「女神達への情歌(報道されないY型の彼方へ)」「慕情」「心を込めて花束を」等の、決して世間に大きく知られている訳ではないけれど、サザンの魅力が詰まったバラードが2枚組で28曲収録されている。「海のYeah!!」が夏の昼間のドライブならば、こちらは夜のドライブで聞きたい作品。
- アーティスト: サザンオールスターズ,SOUTHERN ALL STARS,稲村オーケストラ,桑田佳祐,トミー・スナイダー,宮川泰,片山敦夫,小林武史,門倉聡,島健
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
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葡萄
サザンオールスターズの最新オリジナルアルバム。前作「キラーストリート」から実に10年という歳月を経て完成した同作は、ジャケットでもわかるように「和」が中心に据えられつつも、サザン活動休止からの再開の狼煙として2013年にぶち上げられた「ピースとハイライト」、中年男性の哀愁漂う「栄光の男」、平和を祈る「蛍」「平和の鐘が鳴る」、お下劣サザン節炸裂な「天国オン・ザ・ビーチ」、そして未来への希望が込められた「東京VICTORY」など、37年日本音楽業界の第一線で活躍してきたサザンオールスターズが37年目に送り出した「日本音楽業界への解答」のすべてがこの作品にこめられている。今のサザンオールスターズのモードを知るならこの作品だろう。
まとめ
如何だったでしょうか。今年の6月25日でデビュー40周年を迎えるサザンオールスターズだが、冒頭で書いた通り、やはり若年層は少しとっつきにくい存在になりつつある。しかし、40周年を迎えてもなお衰えることなく、ライブを開催すれば大規模会場をソールドさせるし、アルバムを出せば確実にオリコン1位を獲得する。それを殆ど40年ずっと続けているバンドがサザンオールスターズなのである。やはり僕は若い人(僕だって若い方だと思うけど)にも沢山サザンの曲を聴いてほしいし、ライブにだって来てほしい。また若い人に関わらず、今までサザンの音楽と縁が遠かった人も、今こそ、今だからこそサザンオールスターズの音楽に改めて触れてもらえたらと思い、本記事を執筆した。これまでサザンの音楽にあまり触れてこなかった人が、この夏にリリースされるであろう新作を手に取ったり、この夏に開催されるであろうライブに参加したり。そういうことに少しでもなってくれたら、ファンとしてこんなにも嬉しいことはない。
最後に、先日新曲として発表された「戦う戦士(もの)たちへ愛を込めて」を聴くことが出来る、映画「空飛ぶタイヤ」の予告編を。異国情緒が漂うサウンド、何言ってんのかわかんねぇ歌声、社会で働く(戦う)全ての者たちに捧げる歌詞。サザンらしさとサザンらしくなさが混在するこの新曲は、様々な音楽性を持つサザンならではな曲だと言えるだろう。夏が待ち遠しい。