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雑記

カルチャーが好きなだけ。

Base Ball Bear「不思議な夜」の不思議

Base Ball Bear「不思議な夜」がめちゃめちゃ良い出来だったのでレビューを。タイトルに深い意味はないです。

 

何度となくブログにも書いてきているけど、「Base Ball Bear」というバンドは「青春」をテーマにしてるバンド、みたいなイメージを抱きがちだ。しかしその本質は「ボーカル小出祐介の報われなかった青春を歌でアウトプットすることによって取り戻している」のであり、さらには「青春だけがBase Ball Bearのすべてではない」とし、直近のフルアルバムである「二十九歳」では「青春」をかなぐり捨て「二十九歳の等身大の自分」「小説に近い構造」をテーマとして制作された。その出来は確かに素晴らしいモノだったし、間違いなく2014年でもかなり上位を争う名盤だったと言える。もう「檸檬」なバンドではなくなっていた。

 

「二十九歳」以降、2本のツアーと日比谷野音公演を経て「3ヵ月連続エクストリーム・シングルの発売」が決定した。「不思議な夜」はその最後のシングルであり、11/11に発売となるアルバム「C2」の事実上の先行シングルだ。

 

「不思議な夜」の話の前に、この前に発売された2枚のシングルについて記述しておく。まず「「それって、 for 誰?」part.1」。これは言ってしまえば昨今のSNSを批判するような曲なのだが、歌詞のメタ的構造を含め、的確なモノとなっている。まさに「それって、for 誰?」な書き込みや呟きが溢れるSNSに、そしてそれを操る人間が逆に操られている様に対して明確に怒りや疑問をぶつけていく様はこれからのBase Ball Bearの新機軸になっていくだろう。音も重厚さを増し、ロック然としている。続いて、「文化祭の夜」。文化祭の情景をファンクに落とし込む、かなりメチャクチャな事をしているのだが、それが癖になる。本来、Base Ball Bearはギターロックでポップなものを創り出していたバンドだったが、「二十九歳」あたりからかなりカッコイイもの、それはつまりポップとは程遠いものも創れるバンドになってきていて、これぞその集大成的な作品だと思う。

 

さて、「不思議な夜」だ。
3枚連続のうち、1枚目がSNS批評の社会風刺的な作品、2枚目がファンク。「こりゃあ次のアルバムはポップな物は期待出来ないかもなぁ」なんて思っていたのだが、その矢先にとんでもなくポップで、「キュン」としてしまうような楽曲がリリースされた。

 

 


まず歌詞だ。

 

 

終電逃し 明日休みだし ちょっと散歩してみないかい?
真夜中の探検楽しそう!なんて賛成する君にキュン
車少なし シルエットの都心 目標どのあたりまで
築地でお寿司!24時間営業のチェーン店でも市場クオリティーなの
はしゃぎながら軽く汗ばんでる首筋に
へばりついた君の髪を初夏の風がはがしたのを見た

 

不思議な夜が僕らをつつんでくよ
子供みたいな 無邪気で無垢で無駄で永遠で
素敵な夜だ 左を見ればほら 君が「ん?」って顔してる
不思議な夜が僕らをつつんでくよ
ドラマみたいな 奇跡めいて何気なく突然で
ビルの隙間 静かに月が微笑む

 

お腹も満たし 始発前だし なんとなく青春しないかい?
潮の香りの首都高速11号の高架下を海へと下る
別に深い間の僕らじゃないけど
言葉じゃ交換できないあたらしい予感がひとつ灯った

 

不思議な夜が僕らを連れてくよ
子供みたいな 無邪気で無垢で無駄な瞬間に
素敵な夜だ 左を見ればほら 君が「わぁ!」って顔してる
不思議な夜が僕らを連れてくよ
ドラマみたいな 奇跡めいて何気ない瞬間に
見えてきた深い朝の海がきらめく

 

不思議な夜がもうすぐ明けてくよ
都会と空と海が混ざる青と紅茶色
素敵な明日がもうすぐ始まるよ
見上げれば虹の橋

 

素敵な明日が目の前に広がるよ
もう行かなくちゃ 無邪気で無垢で無駄な魔法が解ける
向かいのホーム手を振る君が、微笑む

 

 


完全に「オトナの青春」!!!!そして「オトナの『恋愛の始まり』の始まり」。「オトナの恋愛」って字面からもうとかくドロドロしがちというか、決して爽やかにならない気がするけど、この曲はめちゃくちゃ爽やかに出来てるし、なおかつ子供じみてるわけでもない。ロマンチックでドラマ的な絶妙な歌詞なのです。こういうデートしてみたいなって本当に思うし、絶対楽しいよね。夜中の2時に海沿いの、浜辺じゃなくてお台場あたりをブラブラして、お寿司食べて、レインボーブリッジ見て、夜明けを二人で迎える。みたいなさー。絶対楽しいやつ。めっちゃやりたい。デートしたい。誰かデートしてくれ。頼む。

そして音。これまでの2作の重厚さ・下手したら暗さすら覚える音とは一転して爽やかでポップ。もちろんBase Ball Bearの礎ともいえるギターロックはそのままに。「重厚さ」とか「カッコよさ」だけがギターロックじゃなくて、「かわいらしさ」「ロマンチック」「ドラマチック」「キュンとする」みたいな歌詞や音だって僕はギターロックだと思うし、ベボベは今までもそういうポップさってのをしっかりやってきたバンドだったし、勿論「重厚さ」「カッコよさ」も、そのすべてをべボベはしっかり出し切って、自分のモノにしてしまっているのだ。そのどれもがBase Ball Bear的とも言える。

 

Base Ball Bearは本当に自己の革新を繰り返し続けているバンドだ。どんどん自らを良いモノにし続けている。当たり前のようで絶対に出来ないことだと思う。これを繰り返し続けているBase Ball Bearは絶対的に尊い。

 

ぜひ聞いてほしい作品。アルバムも楽しみ!!!!