【CDレビュー】岡村靖幸「幸福」の「幸せって、青春じゃん」

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買いました。ついでに買ったBase Ball BearPERFECT BLUE」も写っておりますがお気になさらず。
 
岡村ちゃんのオリジナルアルバムのリリースはなんと12年振り。サザン「葡萄」の10年振りも長いなーと思ってたけどそれ以上。サザンは桑田さんのソロとかがあるからアルバム作品自体はコンスタントにリリースされてたけど、マジで12年空いてのリリースってスゴイな。俺はつい最近ファンになった身分だからその実感ってのは正直全く無いけど、ずっとファンやってる人にとってのこの12年は本当に長かったんだろうなと。色々あったし。
 
アルバムに収録された全9曲のうち完全新作は3曲。6曲は既にシングルとしてリリースされているもの、あとは配信されていた「ぶーしゃかLOOP」のリアレンジバージョン。確かにこうやって文章に起こすと「えー新曲少なすぎ」とか思いがちだけど(っていうか実際少ない訳だけど)、個人的にはシングルを全て追っていた訳でも無かったから全然楽しめたし、岡村ちゃんの世界観ってめちゃめちゃ濃いからこれくらいが割と丁度いいなーと全編通して聞きながら思ったりもした。
 
①の「出来るだけ純情でいたい」はしっとりとした、下手したら「ドロッ」という喩えの方が似合いそうなブラックミュージック的な楽曲。岡村ちゃんの囁くような息を吐くだけのような歌声とサビのファルセットが心地よい。
②の「新時代思想」は「Baby 今いい時代でしょう?絡まってる心に勝つには新時代思想 明らかに定まってる? 君次第でしょう いつの時代も必要なのは 新時代思想」の歌詞に鳥肌。大切なのはいつだって今この時代がいい時代だと思うことこそがどの時代にも必要なのだ。過去を振り返ったり未来を憂う事が如何に無価値で無駄な事なのかを岡村ちゃんが説いてくれている気分になる。
③は30thシングルとして発売された「ラブメッセージ」。ひたすらポップサウンド。「青春」と「恋」という単語を彷彿とさせるような歌詞にキュンとしてしまう。「恋」は人が生きていく上で欠かせない要素だし、人が1番恋する時期が「青春時代」なんだよね。その時代の気持ちを今でも持てていたら(それは青春時代を振り返ることとは別モノ)いいよね・幸せだよねという岡村ちゃんの「ラブメッセージ」を感じる1曲。
③のフェードアウトが突然切れ、畳み掛けるように流れる④は新曲の「揺れるお年頃」。アコギのサウンドと伴に「揺れる感情」を包み込むような岡村ちゃんの歌声。そして歌詞。「何でも話しておくれ」っていい言葉だなー。
⑤は岡村靖幸w小出祐介名義でシングル発売された「愛はおしゃれじゃない」。「君だけにモテたい」がコンセプトのまさに究極のラブソング、でありながらも重さを感じさせず、「好きな食べ物と特技は君と書きたい」「季節とは君のために用意された絵の具」「マスカラつけたなら僕も君のように泣けるのだろうか」「君と同じ口紅つけたならその唇が何味か分かるのかな」なんて童貞かよ!!みたいな歌詞のオンパレード。「でも本当は電話も出来ない」あたり絶対童貞だろ!!!って思ってしまう。でもその童貞感がスゴい好き。ヤリチンの歌なんて共感出来ねーもん。
⑥は「ラブメッセージ」のカップリングでもあった「ヘアー」。「TOUR 愛の意味」では1曲目に歌われてたけど、アルバムに収録されて改めて聞くと音の数が半端じゃないのね。沢山楽器使ってんだろうけどとにかく音の厚みがスゴイ。岡村ちゃんの歌声すらも一つの楽器のように聞こえてくる。
⑦は「ビバナミダ」。不祥事による活動休止期間を乗り越えて発売された27thシングル。「久しぶりだね」「我が身を五分反省して」「胸が痛い どうかしてたよ」なんて不祥事を彷彿とさせるような歌詞もあるが、メロディの気持ちよさやその他の歌詞の幸福感でマイナスな歌詞も覆い隠されてる印象。涙すらも「ビバ(=バンザイ)」としてしまうめっちゃ幸せな歌。
⑧は「彼氏になって優しくなって」。アッパーだけどジャジー。まさに岡村ちゃん節。俺も切なくても絶対常識の範囲内で上手に生きたいなぁと思う。
⑨は公式サイトで無料配信されていた「ぶーしゃかLOOP」のリアレンジバージョン。クリック音が特徴的だった配信verに比べ、シンセのジワジワとした音や子供の歌声が取り入れられ、全く違った聞き味の作品になっている。勿論個性的過ぎる歌詞は健在だ。個人的には配信バージョンのあの特徴的なクリック音と無限に続くんじゃないかとすら思うような歌詞のループが好きだったので配信バージョンそのまま入れて欲しかった感じもする。
 
全編を通して岡村靖幸の変態的とも言える音楽性は健在だ。と、同時にポップでしなやかな⑤や⑦もしっかりと名曲として刻み込まれている。そのどちらも岡村靖幸の音楽性なのだ。
何より50歳となった今でも「青春」的なソングライティングをしているのが素晴らしい。人生、いつまでも青春でいることが幸福であるという岡村靖幸のメッセージなんじゃないかなと思わされる
岡村ちゃん、だいすき!!
 

 

 

 

幸福

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