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雑記

カルチャーが好きなだけ。

Music Review Questions

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いつもTwitterでお世話になっている宇宙ネコさん(@sibuyandam)さんのブログ企画 #ノミュラな質問 に参加します!!

cooklike.hatenablog.com

・なぜ音楽レビューをブログに書いたり、またはツイッターに呟くようになりましたか?

小学生の頃から音楽が好きで、中学生時代は友人に音楽を薦めたりすることをよくしてました。高校生になって、中学時代と比べて音楽に対する周りの友人との温度差を感じ始めました。それ故、音楽を薦めるということが出来なくなりました。そんな中でも好きな音楽は絶えずに増え続けました。そうした経緯もあり、Twitterをはじめ、自分の好きな音楽(当時は主にサザン垢でした)のことをつぶやくアカウントを作りましたが、やはりそこでもサザンに限らず、様々な音楽を発信したいと強く思うようになりました。同じ頃、音楽誌「rockin'on JAPAN」の定期購読をはじめ、「音楽レビュー」というモノを知ることになりました。そして周りのフォロワーさんにも音楽レビューをしている方が多いことに気付きました。自分もインプットするだけでなく、アウトプットをしてみよう!と思い、ブログを開設し、またTwitterのアカウントもサザンだけでなく音楽に関するアカウントと幅を広くしました。今では様々な音楽好きの皆様や、音楽ブロガーの皆様と繋がることが出来、毎日有意義に過ごせています。 

・現在レビューの対象にしている音楽のジャンルは何ですか?

 明確なジャンルを定めているわけではありません。自分の良いと思った音楽をレビューしています。なのでどうしても自分の好きな邦楽ロックやJ-POPなどが中心になっています。今後の展望としてはより幅広い対象でレビューできればと思います。

・レビューを書く上で気をつけていることは?

如何に分かりやすい文章を書けるか、その音楽やライブに触れていない人が「聞いてみたい」「行ってみたい」と如何に思わせるかに気をつけて書いています。また、自分だけが書いていて楽しい文章ではなく、読み手も楽しめるような文章作りを心がけています。

・批判的に書くことはありますか? 書く場合はどんな感じにしていますか?

 時にはあります。私は「批判」と「否定」はまったく違うものだと考えています。音楽は生理に根付いた文化である以上、好き嫌いは様々あって当然だと思います。それを押さえつけてキレイゴトだけ語っていても、より深い文章は書けないと考えます。だからこそ、自分の意見として「批判」をすることはあって然るべきです。しかし「否定」はただの「否定」でしかない。意見ですら無い。そのへんに気をつけながら文章作りを心がけています。

・影響を受けた音楽レビューブログはありますか?(Amazonなどのレビュアーさん、ツイッターのユーザーでも構いません)

 ブログではないですが、やはり「rockin'on JAPAN」には影響を受けているのではないでしょうか。あとはTwitterに関してもフォロワーの皆様には毎日影響を受けているといっていいと思います。ことさら音楽レビューに関しては、文章力や書き方以前に「音楽の知識の幅」が重要だと考えていて。そういう意味では本当に様々な方に影響を受けていると言っていいと思います。

・今までレビューを書いた中で一番気合いを入れて書いたアルバム、楽曲を教えてください。

 Base Ball Bear「二十九歳」ですかね。自分自身一番思い入れのあるアルバムです。形の違うレビューを2作書く程度には思いいれの強い作品です。

fujimon-sas.hatenadiary.jp

fujimon-sas.hatenadiary.jp

・あなたにとって音楽レビューとは?

 人に伝えることの素晴らしさを教えてくれた友達、みたいな感覚です。インプットをする意味、そしてそれをアウトプットする意味を音楽レビューを通して教わり続けています。これはなにも音楽に限ったことではなく、いくらインプットを繰り返しても、自分がアウトプットしないことには何も残らない。そういう「インアウトの意味」を教えてくれた僕の友達が「音楽レビュー」です0。

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今だからこそ改めてPerfumeの魅力を振り返ろう

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「ジャンル」という言葉がある。めんどくさい言葉だ。どうしてこうも人は「誰か」や「何か」を枠に嵌めたがるのだろう。花屋の花は争うこともしないでバケツの中誇らしげに胸張ってる、なんて歌があるけど、そのバケツの中身は大体同じ種類の花で纏められているだろう。枠組みがあるから人は争うし、排他的になる。これから先の社会はこんな枠組みをぶち壊せる人こそが強い社会だと思うし、そうなって欲しいとも思ってる。CD屋がカフェやったり、出版社やテレビ局がロックフェス開催したり、アイドルがバラエティ番組のMCしたり。事業でも人間としても枠組みをぶっ壊す人が強い。

「枠組みを壊す」。僕がここから真っ先に思いつくのがPerfumeだ。アイドル、J-POP、テクノポップ。彼女達が収りそうなイメージの枠はザッとこんなもんだろうが、それらの枠を全部ぶっ壊して来たのが彼女達だろう。そんな魅力たっぷりのPerfume、昨年は史上最大規模のツアーを完遂し、現在は新しい展開を模索している最中。このタイミングだからこそ、改めて僕が論じることによって彼女達の魅力に気付いて貰えればと思いキーボードを叩いてる次第だ。先日「関ジャム」でPerfume特集がOAされていたし、振り付けのMIKIKO先生に密着した「情熱大陸」もOAされたばかりだ。今こそPerfumeの良さを知ってもらうには良いタイミングだと思う。【Perfume入門】として是非読んでいただきたい。

彼女達の魅力はそりゃあもう様々あるのだが、やはり一番分かり易いのはサウンド面だろう。中田ヤスタカがプロデュースするテクノポップ。今でこそヤスタカはSMAP椎名林檎、米津玄師など、様々な有名ミュージシャンに作品提供しているが、Perfumeのプロデュースをはじめた頃は自身の音楽ユニット「capsule」の活動のみだった。そんな中でヤスタカにプロデュース依頼をしたPerfumeには先見の明があったのではないだろうか。彼の作る楽曲の特徴は電子楽器を使用したSF・近未来的なサウンド。なによりこのサウンドの特徴は「踊れる」ことだろう。

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2回目のワールドツアーの際の映像だ。特に観客に注目して見てほしい。この盛り上がり様。下手なロックバンドより余程アツいライブを体感できるのがPerfumeのライブだ。バッキバキのテクノサウンドに身を委ねて体を揺らし汗をかく。これこそがPerfumeの最大の魅力だと言ってもいい。跳ね過ぎてライブ後に足を攣ることもある。他のアイドルのコンサート、特にPerfumeの出現当時では考えられなかったことだろう。これもまた一つの「枠組みを壊す」活動だろう。ライブで踊る、汗をかく、足を攣る。マイナスなイメージがつきかねないが、少なくとも僕はPerfumeのライブを楽しんできたなー!!という大きな実感を覚えてしまう。勿論、跳ねるだけがPerfumeのライブではない。

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最新技術とPerfumeのライブパフォーマンスは途轍もない親和性を見せる。2012~13年あたりの「Spring of Life」「Spending All My Time」等のライブパフォーマンスから徐々に最新技術が取り込まれるようになり、2015年のSXSWにて披露された「STORY」は一つの集大成だろう。紅白でも毎年好例になった最新技術との融合。僕なんかはそういう勉強を大学でしているので、彼女たちのしていることが具体的にどう凄いのかは理解できるけど、大半の人は分からない部分も多いと思う。例えば「STORY」の演出の一部は「透けてしまうはずの網戸に映像を投影してしまう」ことがスゴいし、「Spending All My Time」は当時最先端だったプロジェクションマッピングを「体の動きに合わせて投影する」技術が半端なかった...のだけど。漠然と「何かスゲェ」を体験してくれるだけでもいいと思う。Perfumeは最新技術を知る媒体ではない。あくまでも彼女たちの世界観をより強固にするひとつの要素として最新技術を駆使しているのだ。演出家でもあるMIKIKO先生はあくまでも「演者が良く見える」演出を模索しているし、たまたま最新技術とPerfumeの親和性が強かったというだけだ。そんな最新技術との恐るべき融合やアツ過ぎるライブパフォーマンス、とにかく全身で音楽を楽しむことができる。ライブひとつとっても様々な切り口が出来るのがPerfumeの面白さだろう。アイドルでもミュージシャンでもここまで積極的にライブに最新技術を導入するということは少ないだろう。そういう意味でも「ライブの常識」という枠組みを壊しているだろう。是非Perfumeに興味のある人はまずライブに足を運んでみてほしい。

ダンスの振り付けも彼女たちの魅力だろう。振付師は「恋ダンス」やリオ五輪閉会式、BABYMETALも担当しているMIKIKO

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これもまた、先見の明というか、もしくはPerfumeに携わったクリエイターがPerfumeをキッカケに羽ばたいている、とも言えるだろう。サウンドとの融合は音楽に振り付けをする上でなにより重要だが、MIKIKO先生の振り付けはそれ以上に歌詞世界とのリンクを随所に散りばめられている。彼女の振り付けは、ある意味ではPerfumeにとって音源以上に重要な要素だろう。

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Dream Fighter」の「生きている証拠だから」で胸を掴み離す振り付けなんかはまさに「歌詞世界と振り付けのリンク」の典型だろう。

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ワンルーム・ディスコ」の「なんたって少な目」で目を指さす振り付け。こういった細かい歌詞とのリンクの積み重ねでPerfumeの振り付けは完成していると言っても過言ではない。MIKIKO先生にとってはあくまで振り付けは楽曲に付随するものであり、楽曲が完成して曲を聴いてから振り付けを考えるという。その振り付けへのこだわりがダンスや歌詞への求心力になっているし、「Perfume」という世界観をより強固なモノにしているのではないだろうか。

3人のキャラクターもまた、Perfumeの魅力だろう。勿論3人とも見た目も可愛いし、それ以上に中身も可愛らしい。

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テレビに出演し始めた当時こそ、あ~ちゃんの天然キャラがあまりにも先行し過ぎていて、そこばかりフューチャーされていた印象だが、実際のキャラクターは三者三様というか、あ~ちゃんはしっかりもの、かしゆかは小悪魔、のっちはド天然。イメージと実際のキャラが全く違うのも「ギャップ」という意味では大きな魅力になるだろう。「枠組みを壊す」という話なら、イメージという枠を壊しているのかもしれない。ライブのMCやテレビ出演の際には是非、3人の立ち振る舞いやキャラクターに注目しながら見てもらえれたらなと思う。きっと3人の事が好きになるだろう。

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キャラクターの話で言えば、髪形を一貫して変えないのも彼女たちの大きな特徴だろう。一目見ただけで判別がつく。これは「認知される」ためには大きなプラス要素だろう。

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 のっちはショートボブ、かしゆかはぱっつんロング、あ~ちゃんはポニーテール。時期やリリースする曲によっては微妙な変更はあるものの、基本的な髪形は全く崩さない。「覚えてもらうためだ」とメンバー自身公言している。Perfumeを深く知らない人でもこのあたりは割とイメージとして強いのではないだろうか。

先ほど「バッキバキの踊れるサウンド」と記したが、なにもそれだけがPerfumeサウンド・ヤスタカサウンドの本質ではない。

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しっとりと歌い上げるバラードも素晴らしい作品が多い。「マカロニ」の温かみ、「微かなカオリ」の心地よさ、そして「願い」の涙腺崩壊されてしまうような歌詞。J-POPの王道を行くようなサウンドと、バッキバキのテクノサウンド。この緩急こそPerfumeだ、という芸人もいるくらいだ。

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ライブについて話を戻すと、「PTAのコーナー」もPerfumeならではの「枠ぶっ壊し芸」だろう。

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 4分8秒あたりから見てほしい。PTAとは「Pa!と楽しく遊ぼうのコーナー」の略で、要はライブの終わりに向けての起爆剤としてこのコーナーが挟まれるのだが、普通大体のミュージシャンは例えばMCで客煽るとか、言ってもそれくらいなんですけど。Perfumeはもう他人の曲使いまくって本当に客を躍らせてしまうからスゴイ。B’z「ultra soul」、TRF「survival dAnce」、T.M.RevolutionHIGH PRESSURE」はもう毎回のように使うし、サザンオールスターズ勝手にシンドバッド」、ポルノグラフィティミュージック・アワー」などの事務所の先輩の曲を使ってみたり、ついには松平健マツケンサンバ」や「ポケモンいえるかな?」「ハミガキじょうずかな?」などの老若男女問わず国民的に認知されているような曲もバンバン連射されてしまう。他のミュージシャンの曲もさながら、aiko直伝とも言えるようなコール&レスポンスや、その後演じるであろうダンスの振り付けを一緒にしてみたり。これがたまらなく楽しいのだ。ただただ楽しませるための努力を惜しまない。そんなPerfumeの気概を感じる瞬間でもある。常識に囚われない、という意味でも枠組みを壊すPerfumeの姿勢を感じる。

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ロックフェスへの積極的な出演もPerfumeの「枠を壊す活動」だろう。今でこそロックフェスにアイドルが出演するのは当たり前の様になり、昨年末のロックフェスにも欅坂46が名を連ねていたが、その始祖はPerfumeだろう。今やRIJF最終日のトリ、つまり大トリを努める迄に至ったPerfume。ロックフェスはロックバンドのものという既存のイメージをぶち壊したのも彼女達の「功績」だろう。

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ライブグッズもPerfumeの魅力かもしれない。男性ファン以上に女性ファンが多いこともあり、実用的なカワイイグッズが多い。

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ミュージシャンのグッズというのは人気になればなるほど(=それはつまり老若男女に愛されれば愛されるほど)だれでも使えるもの、それはつまりまあ割とダサイものになってしまう。のだが、Perfumeはクオリティをどんどん上げている。中には伊勢丹とコラボレーションしたこともあった。音楽をオシャレやファッションにしてしまうのは僕自身あまり良い事とは思わないが、好きな音楽をファッション出来る、というのは素晴らしいなと思う。極めつけは先日発売されたコレ。

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PERFUME OF PERFUME」。Perfumeとは香、という意味ということもあり、香水の販売は前々からファンの間で期待されていた。そしてついに先日、発売に至ったのだ。発売以降、僕も愛用しているが、男女どちらも使いやすい柑橘系の爽やかな香りで使いやすい。アミューズの通販サイトやロフト、タワーレコードなどでも販売されているので是非手に取ってみてほしい。

音楽や芸能という活動に囚われず、多種多様な活動(=事業、とも言い換えられるだろう)を展開している、ということで言えば今年に入ってドラマへの出演も積極的に行っている。あ~ちゃんが「東京タラレバ娘」のレバ役、そして3人で主演した「パンセ」。

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ドラマ主演、というのはアイドルの王道(ドラマ声優というのは些か邪道だとは思うが)で、アイドルという枠をぶっ壊してきたPerfumeの今までの活動とはちょっと違うなぁと、僕自身最初は懐疑的な部分が少なからずあった。しかし僕のような「どうせこういうことはしないだろう」と鷹を括ってるようなファンの「期待を裏切る」事こそ何より「枠組みを壊す」活動ではないだろうか。今後のPerfumeの活動をより幅広くするための、言わば布石の様なものと考えれば今回のドラマへの連続した出演にも合点が行く。これを踏まえてPerfumeはどのステージに駒を進めるのか。期待したいと思う。

Perfumeの魅力は語り尽くせない。この時点で既に5000字近い文章を書いてきたが、Perfumeの魅力の1%も伝えられていないと思う。これはもう音楽や文化的な事を文章化する上で避けられない事ではあるが、誰かのレビューやブログなんかを読むより、実際に触れてみたり聞いてみたりする方が余程魅力を感じることが出来ると思う。今回の記事は改めてその「間口」として、Perfumeに興味の無い人やPerfumeをよく知らない人のキッカケになればと思い今回の記事を執筆した。

Perfumeは既存の枠を壊し続けるグループだ。それは最終的に「アイドル」と「ミュージシャン」という大きな枠をも破壊して、自分自身をノンジャンル化したと言ってもいいだろう。「PerfumePerfumeというジャンル」と、Perfumeファンは口にすることが多い。ソレは誇張でも何でもなく、ありのままの事実なのだ。Perfumeはこれからどんな「枠」を壊すのだろう。

 

TOKYO GIRL(初回限定盤)(DVD付)

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【音楽コラム】桑田佳祐の3.11支援活動に見る音楽と人間の関係性

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2011年3月11日、14時46分。貴方は何をしていただろうか?

僕はちょうどその日入試の都合で高校が休みで自宅に居て、なんとなくネットサーフィンをしてたら眩暈がしてきて。「おいおいパソコンの弄り過ぎかよ…」なんて思って壁に手をついたら家ごと揺れていて、ビックリして急いでYahooを立ち上げたら震源が「東北」って書いてあってドン引きしたことをよく覚えている。ここ愛知だぞって。その後、自分の母校に出かける予定があったんだけど、先生方もそれどころじゃないといった感じで早々に帰宅した。もう随分前の事なのに、今でもはっきり覚えている。

3.11。あれから6年も経つのに、未だにその記憶は鮮明に焼き付いてるし、まだまだ解決しない山積みの問題だらけだし、新たな問題も浮上している。我が国の首相は「復興した」なんて声明を出したみたいだけど、冗談じゃねーぞ。なんて思う。「復興」なんて簡単に口にするもんじゃない。東日本だって、阪神淡路だって、広島や長崎だって。様々な思いを胸にしている人がいる限りは「復興した」なんて、少なくとも僕は口が裂けても言えない。

3.11が日本にもたらした影響は山のように、下手すりゃ星の数ほどある。それは芸術や文化的なモノにも当然言える事で、例えば昨年大流行した「君の名は。」や「シン・ゴジラ」は明らかに3.11が起きなければあり得なかった作品だろう。3.11を経たからこそ、ああいうテーマが映画のど真ん中に据えられたのだろうし、3.11を経たからこそ日本中でヒットしたのだ。こういう書き方をすると「3.11があってよかったって言いたいのか!?」なんて言われそうだけどそんなこと微塵も思ってなくて、もし仮に震災が起きないパラレルワールドが存在したらそこではそこで他の良い作品が生まれているんだろうなって思う。3.11という全ての日本人の心に深く切り刻まれた傷があるからこそ出来るものがあった、というだけの話だ。

音楽業界においても、3.11をキッカケで様々なミュージシャンがアクションを起こした。RADWIMPSは毎年のように追悼曲をYouTubeにUpし続けたし、様々なミュージシャンがチャリティーライブを開催した。斉藤和義は自らの持ち歌の替え歌で「ずっとウソだった」と、東電や政府を批判するような歌を作った。是非はともかく、様々なミュージシャンが様々な方法で3.11を踏まえたアクションを起こした。

そんな中で僕は桑田佳祐の支援の在り方をピックアップすることで、音楽と人間の関係性をも考えることが出来ればと思う。何が正しい、何が間違ってる、これこそが正しいとかそんなことを言いたいんじゃなくて、一つの在り方として桑田佳祐の支援活動を紹介できれば、その先で音楽と人間の関係性を見つけることが出来ればと思い、こういうテーマを取り上げる。時系列に沿って振り返ろうと思う。

①「チーム・アミューズ!!」結成、「Let's try again」リリース

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震災が起きて間もない段階で、福山雅治からのメールをきっかけに、アミューズに所属するミュージシャンや俳優を中心に制作されたチャリティー楽曲が「Let's try again」だ。世の中には様々なチャリティー楽曲があるが、「Let's try again」はエンターテイメントにパロメーターを全振りしたような作品。「勝手にシンドバッド」~「サウダージ」~「島人ぬ宝」~「桜坂」~「ポリリズム」という新旧アミューズベストセレクション!!みたいなメドレー、Perfumeによる「私はピアノ」のカバー、佐藤健仲里依紗三浦春馬とフレッシュな俳優・女優の面々が揃った「Runner」など、文字通り豪華な面々が顔を揃え、エンタメに特化した作風になっている。時折、この作品に対して、それはまあつまるところ制作の中心にいた桑田佳祐に向いたものなんだけど、批判的なコメントを目にする瞬間がある。その大半は「マンピーのG★SPOTを被災地に贈るなんて馬鹿にしてるのか」なんて内容だ。確かに、楽曲後半に岡野昭仁ポルノグラフィティ)、福山雅治比嘉栄昇(BEGIN)がマンピーのG★SPOTを歌う部分があり、それがどうやら「不謹慎」らしい。いや、言いたいことが分からないわけでもない。「マンピーのG★SPOT」って普通の状態でも(ある種)不謹慎な曲だ。何故桑田はこんな構成のチャリティーソングを作ったのか、何故桑田は「マンピーのG★SPOT」なんて曲をチャリティーソングに組み込んだのか。答えは「笑顔」「笑い」「明るさ」にある。3.11のような大災害が起きると笑顔や笑いを忘れがちだ。とりわけ、3.11においてはその最たるもので、各メディアから総じて「笑顔」が消え失せていた。音楽界においてもその例に漏れず、様々なチャリティーソングのどれもこれも「喪に服す」じゃないけど、どこか悲しげな雰囲気が漂っていた。そんな中でこういう「笑顔」や「笑い」をテーマにできるのは桑田ならではだろう。だって「マンピー」面白いじゃん!少なくとも僕は正しい選択の1つだと思う。音楽は人を笑顔にする。人々が忘れかけてた笑顔を桑田は思い出させてくれた。

なによりも、このCDの売上収益のすべてはアミューズ募金を通して寄付された。極端な話をするが、被災地にとって何が一番必要と言ったら、やっぱりお金だろう。曲の内容でああだこうだと揉めることで被災地に何か助けになるのだろうか?そんなことより纏まったお金を寄付する方がよほど被災地のためになるだろう。そういった意味でも僕はこの活動をチャリティーの1つの在り方として素晴らしいと思う。

②「明日へのマーチ」リリース、宮城での復興支援ライブ開催


桑田佳祐 - 明日へのマーチ

「チーム・アミューズ!!」でのCDリリースから4か月後の8月、桑田は1年ぶりのシングル「明日へのマーチ」をリリースする。そして9月10日11日、ちょうど震災から半年の節目の日に「宮城ライブ~明日へのマーチ!!~」を宮城・グランディ21で開催。前年、桑田は大病を患い活動を止めていた。このライブは桑田がライブという場に復帰する瞬間でもあった。また、会場となったグランディ・21は震災直後遺体安置所として使用されていたこともあり、このライブが一般利用再開後初のコンサートとなった。こうした様々経緯があり、桑田佳祐史上でも、日本のライブコンサート史上でも今までに無かったような意味のあるライブになった。そんな中で「明日へのマーチ」はライブの核となる曲として機能した。「マーチ」とは行進曲の意。過去を振り返ることで未来へ思いを馳せるこの曲は、桑田の震災への強い思いが込められている。

 願うは遠くで生きる人の幸せ

 このなんてことの無い歌詞の「遠くで」の部分が「東北で」と聞こえ、実際にライブ会場で歌詞が表示されるときは「東北で」と歌詞が表示されている。この何気ない事がどれだけ東北の人の心を支えたんだろう。

「明日へのマーチ」を含むトリプルA面シングル、「宮城ライブ~明日へのマーチ!!~」、そして公演のライブDVD。このすべての収益の一部は赤十字社を通して被災地に寄付された。前述した通り、被災地にとって必要なものはやはりお金だ。「チーム・アミューズ!!」のように100%とはいかなくとも、被災地にとって必要なものをちゃんと寄付し続けることで、気持ちの持ちようだけじゃなくてストレートに復興の手助けをしているのも、音楽の一つの可能性であり、桑田佳祐だからこそ出来る支援だろう。

ソメイヨシノの記念植樹、そして「約束」

2012年3月10日、桑田は改めてグランディ・21を訪れ、3本のソメイヨシノを植樹した。命のはじまりや新しいスタートをイメージさせる桜の木。先に載せた写真はその桜の写真だ。1年というひとつの節目、たったひとつだけど確かな節目の日に植えられた木。この桜が宮城、ひいては東北の復興の象徴としていつまでも咲き続けることを僕は願う。

植樹の際に、Date FMから生放送で自らのラジオ番組を全国に発信した桑田は「仙台でまたライブをしたい」と話した。その「約束」を桑田は守り続け、12年の9月15日16日、「宮城ライブ」から丁度1年の頃、自らのツアー「I LOVE YOU -now & forever-」の初日及び二日目公演を開催。グランディ・21の舞台に再び立つことになる。そして翌年にはサザンオールスターズとして宮城スタジアムで復活ツアーの千秋楽を開催、15年にはツアーの一環としてグランディ・21に三度サザンとして舞い戻った。ここまででも既に桑田の漢気というか、約束を果たし続ける様に涙腺を刺激されてしまう。だが、桑田の復興支援への取り組みはこれだけに留まらない。

④女川さいがいFMでのサプライズライブ

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女川さいがいFMは、東日本大震災の大津波で流出してしまった防災無線に代わる伝達手段として開局された臨時災害放送局だ。2016年3月29日をもって放送が終了されることを知った桑田が同26日に女川へ訪問、女川温泉ゆぽっぽという町営の温泉(女川町駅舎の2階にある、なんとも珍しい温泉だ)でサプライズライブを開催、その模様はTOKYO FMで生放送され、女川さいがいFMでもサイマル放送されるなど、東北を中心とした日本中のリスナー、そして女川町民を大きく巻き込んだアコースティックライブとなった。

そして29日、女川さいがいFMが閉局する日。最後の放送に女川町長が出演し、最後の1曲としてサザンオールスターズTSUNAMI」が流された。その際町長は「震災後、自粛を余儀なくされてきたが、待ち望んだ1曲」「その曲に罪があるわけじゃない。歌い継がれ、語り継ぐことに意味があり、人々の心に響く」と語ったそうだ。そして、OAに対する抗議や苦情といった手紙やメールは一切なかったという。この両者の関係性に僕は涙してしまう。強い絆のように互いに思い合っている。それは決して最初からそういう関係だったわけではなくて、震災というきっかけがあって、そこから桑田が積み重なてきたものが5年経って、まるで桜の花のように芽吹いた。そんな感慨だ。

女川でのサプライズライブの直後、熊本で震度7を観測する地震が発生した。東北程ではないにせよ、熊本城の一部が倒壊するなど被害は甚大だった。その後発売されたシングル「ヨシ子さん」の初回限定盤にはには女川でのアコースティックライブの音源が収録された。その初回限定盤で発生する収益の一部は東日本大震災及び平成28年熊本地震における被災地復興支援活動などの資金として寄付された。それはまるで、東日本から熊本への「音楽のリレー」のようだった。今でもなお、東日本大震災の爪痕は消えてなくならない。新たな問題、解決していない問題も沢山ある。熊本にだって目を向けなくてはならない。そんな中で僕は、桑田佳祐の「音楽を通して人を励まし続ける活動」を見習いたいと思わされる。音楽は人を笑顔にする。感傷的な思いにさせる。時には怒りすらも。とても人間らしい文化だと思う。人間の生理に根差した文化だ。世界の終わりと言いたくなるくらい絶望した時にこそ、音楽は人を励まし、立ち上がる手助けをしてくれる。それを桑田佳祐という人は震災を通して実践し続けてきた。日本は今窮地に立たされている。世界情勢はどんどんきな臭くなる一方で、いつ戦争になってもおかしくないだろう。こんな時だからこそ僕は、好きな音楽を口ずさんでいたいと思う。


桑田佳祐 - 愛しい人へ捧ぐ歌

 

ヨシ子さん (初回限定盤)

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【CDレビュー】青春、ふたたび。【Base Ball Bear「光源」】

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「青春」。青くて、キラキラして、儚くて、若い。そんなイメージがこの言葉には(良くも悪くも)取り付いて回る。一面的だなぁと思う。ドロドロした青春時代を送った人だっているし、年老いても尚、学生のように人生を楽しんでる人だっている。「青春」。実に曖昧で抽象的な、まるでイメージ映像みたいな言葉だと思う。そんな「青春」と「Base Ball Bear」は切っても切れない関係だ。バンドの主題としていつだって彼らのそばに寄り添っていたのが「青春」だった。

どうしてもBase Ball Bearについて語ろうとするとまず「ここまでのあらすじ」を書いてしまう。それは別に作品単体で語ることが出来ないとかそういうことじゃなくて、彼らはずっと地続きで作品を作り続けているからだ。「前作はこうだったから次はこうしよう」「こういうことが出来るようになったから次はこうしてみよう」。だからこそ、その変化に気付いて欲しくてここまでの道程から記してしまう。一つの枠に囚われず、様々な試行錯誤を繰り返し続けて、その蓄積の上で作品を作る。つまり「貪欲に変化を求め続ける」。それこそがBase Ball Bearの永遠のテーマのひとつだ。どの作品もやっていることが違っていたい。時々でやりたいことや鳴らしたい音が変質したほうが人間として自然だろう。前作「C2」はまさにその集大成で、青春時代を生きた少年が、青年になり、やがて大人へと成長し切った感覚や気迫に満ち満ちていた。怒りや悲しみ、あの頃の自分の追想。そんなことをファンクやディスコなどのブラックミュージックの手法を使いながら歌い演じる姿はまるで「十七歳」の頃の彼らとは別人のようだった。そんな「C2」から1年半の時間を経て発売されたのがこの「光源」だ。

「光源」で歌われるテーマはズバリ「青春」だ。大人への階段を上り詰めた、もう青春には戻らないだろうのとすら思っていた彼らが改めてこの「青春」と再び向き合う。そういえば、「C2」にも「不思議な夜」という「新しい青春性」の萌芽を感じたし、例えば「どうしよう」という歌の歌詞にはこんなものもあった。

青春が終わって知った 青春は終わらないって事

 

どうしよう

どうしよう

 

「一生青春」なんてろくでもない哲学者か、じゃなかったらチェーン系居酒屋のトイレに貼ってある変な格言みたいだけど。でもあながち間違いじゃない。青春は10代だけの特権ではない。何かにがむしゃらに挑んでみたり、誰かのことを想って胸が高鳴ったり。20代でも30代だろうと40代だっていい。どれだけ年を重ねてようと素直で素敵な心を持っているならそれはもう青春と形容したって僕は構わないと思う。Base Ball Bearのソングライターである小出祐介は、地獄とも言えるような暗く苦しい青春を乗り越えて、音楽を以ってして青春を取り戻そうともがいていた。インディーズ時代から2nd「十七歳」に経る作品郡における青春描写は、彼らがリアルタイムで感じている青春性がどこまでも発揮された作品ばかりだ。それ故にイメージ映像的というか、具体的な「教室」の中への言及はかなり抑えられていた。それは小出自身が「教室」「学校」という場所から抜け出したいと願っていたことも強く影響しているのだろう。今作における青春描写は今までと違い、一層具体的な表現、「教室内」への言及がなされている。例えば、「すべては君のせいで」にはこんな歌詞が出てくる。

ある日突然 幽霊にされた

僕を置き去りに今日も教室は進む

まるで小出自身の過去をそのまま歌詞に落とし込めたような歌詞だ。乃木坂46の「君の名は希望」へのアンサーソングのようでもある。

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上にも記したように、「青春」はなにもキラキラした楽しいだけのものではない。様々な事情を以って、青春に対して複雑な心境を持つ者も少なくない。小出だってその一人だろうし、僕だってそうだ。そんな報われない青春時代を過ごした僕だからこそ、小出曰く「青春ゾンビ」だからこそ、「すべては君のせいで」は心に深く響く。これもまた、「時間」がもたらした「変化」だろう。様々な変化を経て辿り着いた現在地点から自らの青春を再び振り返る事で、新しい「変化」に気付く瞬間がこの歌には確かにある。

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「すべては君のせいで」が、現在地点から見る自らの過去の青春であるならば、「Darling」は「大人の青春」が瑞々しく表現されている。「大人の青春」って、結構いろんな場所で言われているフレーズだけど、そのどこにもないような歌詞になっている。大人になる過程で「あの頃」とは変わってしまうものは沢山ある。「あの頃」に持っていた忘れちゃいけないハズなのに忘れてしまう感情もまた沢山ある。そんな「忘れかけていた何か」を取り戻すように、瑞々しく「君」への想いを吐露するのがこの「Darling」だ。

Darling 指、目、髪 触れるたび あふれた想いが

気まぐれな信号に変わってゆく だけど君は

Darling 強い光 時の女神

マテリアルな僕を琥珀色のリボンで撫でてゆく 

 

Darling

Darling

 

他にも、「Low Way」なんかも「大人の青春」の魅力が存分に発揮されている作品だろう。「不思議な夜」と地続きの世界観のような、「終電後の世界」。「不思議な夜」と決定的に違うのは、その隣には「君」がいないということだろう。1人で深夜に物思いに老けながらひとりぼっちで街を歩く。これもまた「大人の青春」のひとつのかたち。「君」と出会った世界と、「君」と出会わなかった世界。「不思議な夜」と「Low Way」。この両者がパラレルワールドだと考えるとまた1つ面白さが生まれるのではないだろうか。

 

Low way

Low way

 

「あの頃の青春性」と「今この瞬間の青春性」の二つが交差するのが「SHINE」だ。1番では「あの頃の青春の日々」を、2番では「あの頃の想いを引きずる僕」を描く。「青春は1,2,3 ジャンプアップ」という歌詞に岡村靖幸の存在を感じないわけにはいかない。岡村靖幸を尊敬するミュージシャンとして挙げていた小出も、今や岡村と毎週ラジオ番組を持つようになった。そんな両者の関係を踏まえてこの曲を聞いているとより一層楽しくなってくる。

 

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SHINE

SHINE

 

「貪欲に変化を求め続ける」ことは彼らの永遠のテーマだもう一つの彼らにとっての大きなテーマが「同期や打ち込みを使わない」ことだった。結成当時からギター、ベース、ドラムの「生音」に拘って作品を作り続けた。今思えばそれは「変化を求め続ける」事と相反することだったのかもしれない。そんな中、昨年3月にバンドからギタリストが脱退した。彼らは初めて「変わらざるを得ない」状況に陥った。それ以来始めての作品リリースとなった今作では、打ち込みも積極的に取り入れられている曲も多い。「Low Way」にはホーンセクションが飛び出てくるし、「寛解」のイントロには波のSEが。「すべては君のせいで」ではシンセの音が曲中通して鳴っている。間違いなく今までのBase Ball Bearでは考えられなかったことだ。「変化」を「1つの変わらないモノ」の中で続けてきた彼らだが、そんな「変わらないモノ」すらも「変化」してしまった。それを理由に今作を批判する人がもしかするといるのかもしれない。でも、もう一度改めて音源を聞いてみてほしい。シンセや打ち込みの使用は最低限に留まってる。それは「不文律を守る」とか、そんな理由じゃなくて、単純に彼らが15年のバンド生活で培ってきたものがあるからこそだろう。前作「C2」を彷彿とさせる音数の少ないブラックミュージック的な切り口の「Low Way」や、ポップスの極地のような「すべては君のせいで」。どんなものにも対応し、また3人の演奏だけでも十分に聞かせることができるのは彼らの経験値があるからこそ。特に僕がおススメしたいのが「逆バタフライ・エフェクト」だ。

 

逆バタフライ・エフェクト

逆バタフライ・エフェクト

 

Base Ball Bearは4つ打ちロックの流行のキッカケを創り出したバンドの1つだが、彼らが当時「4つ打ち」を採用したルーツの1つがTRICERATOPSだ。この「逆バタフライ・エフェクト」は改めて彼らを意識して作られたとされる。同期モノを使いつつも、3人で音を鳴らすことは決して忘れていない。その意識、最早「根性に近い何か」に改めて彼らの音楽へのあくなき執念を感じる。掲げ続けた、拘り続けた不文律を取り払う。それは彼らにとってどれだけ重い意味のあるものなのだろうか。今までは4人で作っていたものを3人で作り出す。その変化はどういう影響を出すのだろうか。結果として「光源」は「ドキュメント性」すらも内包する作品になっている。

彼らが今作を制作するうえで一番気にしたことが「自分たちが楽しく演奏できること」だったそうだ。それは今までシーンと対峙し続けてきた彼らが背負ってきた重石を一度置くことだったのだろう。彼らの演奏はより一層シャープさを増し、体感的になった。「楽しく演奏する」「ウケる音楽を作る」。文字通り満身創痍だった1年前から抜け出した彼らが、こうした命題を掲げること必然だったのかもしれない。

「二周目の青春」。僕自身23をもうすぐ迎えようとして、就職活動真っただ中で、「キラキラした青春」なんか遠い過去のように思っていた。「光源」を経た僕の青春が、また再び訪れる。

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光源(初回生産限定盤)(DVD付)

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参考サイト

www.cinra.net

natalie.mu

東京ソングから見る「東京」という街の魅力

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東京。TOKYO。日本の首都、2020年夏季オリンピック開催予定地、東京。

僕みたいなクソ田舎ファッ〇ン野郎にとっての憧れの地が何を隠そう東京だ。最近なにかと東京に行く機会が増えたが、新幹線に乗る度にワクワクしてしまう。早く着かないかな早く着かないかなとGoogle Mapで現在地を調べては「わ~まだ静岡だ~」とソワソワしてる。完全に5歳児のそれである。地域コンプレックス丸出しだ。「東京?人多くて苦手だな~」と話す地元の友人に「Why!信じらんねぇ!?東京最高やんけ!!」と厚切りジェイソンさながらに東京の素晴らしさを熱弁してる。僕の辞書に地元愛という文字は無いのかもしれない。だって東京なら終電とか日付跨いでも走ってるんだよ?ウチの街の終バス22時前だぜ。飲み会もオチオチ出来ねぇよ。

「東京」「TOKYO」「トウキョー」。表現は様々だが、邦楽には東京をモチーフにした楽曲が数多く存在する。これが果たして日本だけの事なのか、他国に首都をモチーフとした楽曲が多いのかは正直よく分からない。一応、「Washington D.C. タイトル 洋楽」で調べてみたが、曲のタイトルが出てくることは無かった。

そんな「東京ソング」、同じ「東京」がモチーフのはずなのに、その中身は実に多様だ。どうしてこうも同じ「東京」なのに歌う中身は様々なのだろう。今回はそんな様々な「東京ソング」を挙げながら、「東京」という街が持つ魅力を記していきたい。

 ①「ウナ・セラ・ディ東京ザ・ピーナッツ

個人的に「東京」と名のつく歌で一番古いのはこの曲だと(勝手に)思ってる。いや、多分もっと古い曲もあるんだろうけど、ちゃんと僕が知ってたり聞いたことがあるのは恐らくこの曲だと思う。恋人との別離の悲哀を歌ったこの曲の「東京」観は「街はいつでも 後姿の 幸せばかり」という歌詞に集約されているのではないだろうか。この曲がリリースされた1964年といえば(前回の)東京オリンピックの年。今以上に五輪に対する熱が強かったであろう当時の東京はきっと、キラキラして皆が幸せだったのではないだろうか。そんな中で何故自分だけがこんなにも、「あの人がいない」という事実だけで哀しいのだろう。寂しいのだろう。そんな「陽」としての東京と、「影」としての自分。

②「東京砂漠」内山田洋とクール・ファイブ

 「ウナ・セラ・ディ東京」で歌われたの『「陽」としての東京と、「影」としての自分』ならば、「東京砂漠」で歌われるのは『「影」としての東京と、「陽」としてのあなた』であろう。コンクリート・ジャングル東京、空は暗く、河のような 人々の流れは黒い。そんな中でも貴方がいれば、貴方と暮らせるならば幸せだと歌いきる。作詞の吉田旺は福岡の出身。地元から上京した人だからこそ描ける「東京観」なのではないだろうか。

③「東京」くるり

「上京したからこその東京観」といえばくるり、「東京」だろう。上京によって地元の「君」と離れ離れになった「僕」。なんてことのない、さもすれば「わけの解らないこと」の羅列のようで、でもその「わけの解らないこと」にこそ意味がある。そんな人間味の塊みたいな歌だ。

④「東京ハチミツオーケストラ」チャットモンチー

 こちらもまた「上京したからこその東京観」、というかもう完全に「上京ソング」だ。

スーツケース引きずってさ

地下鉄の地図 つっこんでさ

おろしたてのスニーカー

すぐに靴ずれ 頼りないなぁ

田舎からスーツケースを持ってやって来た女の子の、慣れない地下鉄に戸惑いつつピカピカのスニーカーを気にしながら歩く姿が目に浮かぶようだ。東京という街に憧れた女の子にこれから襲う困難と、その先にある夢を一挙に描いた、切なくも甘い「東京ソング」だ。

⑤「東京は夜の七時」 PIZZICATO FIVE

「嘘みたいに 輝く街」、ポップシティ・トーキョーの中で「あなた」に逢いに急ぐ「寂しい」私。そんなハッピーな曲なのに、どこか切なさや寂しさ、孤独さも感じるエレクトロ・ポップ。この2人はもう一生出会えないんじゃないかと感じてしまうのはきっと、この曲が持つ不思議な世界観故の事だろう。繰り返される「東京は夜の七時」が癖になる。リオ五輪閉会式での「東京は夜の七時-リオは朝の七時」も良かった。

⑥「東京」 桑田佳祐

ジャズ風味のビアノのリフ、唸るようなギター、楽器のように伸びやかな桑田佳祐の歌声。描かれるのはドス黒い雨の東京。いくら傘を差そうとも、心の窓には叩きつけるような雨。死後の世界であってもおかしくないような、夢も希望も何もかも棄てられた東京。去来する虚しさ。

Sg「ヨシ子さん」に収録された「Tokyo Big Band Session」バージョンの「東京」も絶品だ。めくるめく絶望の東京を貴方も堪能してほしい。

⑦「東京絶景」 吉澤嘉代子

ここまで色んな曲を挙げてきたが、「美しいキラキラした東京」と「生々しい現実の東京」、どちらも東京という街が持つ本質だろう。そのどちらをも歌詞に出すことで夢と現実の狭間のような空間を作り上げているのがこの「東京絶景」だ。まさに「光」と「影」。相反する2つの要素だが、この2つは片方が消えるともう片方も無くなってしまうように、東京という街に存在する「光」と「影」もまた、絶対的な関係なのかもしれない。

⑧「東京VICTORY」 サザンオールスターズ

2013年夏、それこそサザンオールスターズが復活ツアー真っ最中の頃、2020年に東京でオリンピックが開催されることが決定した。それからというもの日本中で2020年に向けた動きが活発化し、東京の街も様変わりした。それは外ヅラだけではなく、知事も、東京という街にいる人も、様々なモノが一斉に変化したように思う。

桑田佳祐という人は、35年以上東京という街に腰を据えて仕事をしている。(僕の記憶が定かなら)デビュー当時からスタジオは青山のビクタースタジオだ。やれ茅ヶ崎だ、やれ鎌倉だと、湘南なイメージの強い桑田だが、多分時間としては東京にいる時間の方が今や長いのだろう。そんな中で東京五輪の開催が決まり、彼自身思うところが沢山あったのではないだろうか。前回の東京五輪当時、桑田はまだ8歳。まだ物心付くか付かないかといった頃。それから50年近い年月が経った2014年、「東京」を「故郷」のモチーフとして扱った楽曲をリリースした。それがこの「東京VICTORY」だ。変わりゆく街、そして思いもよらなかった未来。みんなイロイロあるけどさ、頑張ろうぜ!桑田はきっとそんなことを思いながらこの曲を作ったんだろう。間違いなく、今の東京に、今の日本に捧げたい曲だ。

 

東京という街は、本当に様々な表情をする。電車で一駅走っただけでまるで別の街のような様相を見せることだってある。だからこそ、様々なミュージシャンは様々な思いを「東京」という街に込めることが出来る。貴方の好きな「東京」は、貴方の嫌いな「東京」は、どんな顔をしているだろう。

 

 

 

里咲りさ「S!NG」が僕の心を惹きつける理由

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里咲りさの新曲「S!NG」。この楽曲が公開されてまだ数時間しか経っていないのに僕の心はこの曲に惹かれっぱなしだ。何故こんなにも惹かれてしまうのだろう。

聴いてもらえばわかっていただけると思うが、様々なジャンルの音楽が所狭しと鳴らされまくるのが「S!NG」の何よりの特徴だ。それはまるで「様々な玩具が入っているおもちゃ箱」のようで、それでいて「組曲」のような圧倒的なパワーすら持っている。元々里咲りさというミュージシャンはアイドル出身の女性SSW兼社長という複雑な経緯を持っているのだが、もはや彼女はいわゆる世間一般で言う「女性シンガーソングライター」という枠に収まっていないことを証明するのがこの「S!NG」という曲なのだ。

「ジャンルも越えて 国境も越えて 性別も越えて」という歌詞が物語るように、「ジャンル」に囚われることなく、音楽をかき鳴らす様は音楽を心から好きで楽しんでいるようにも見えるし、ただただ誰かに届けたいという彼女の想いもものすごく伝わってくる。音楽に造詣が深くなけばこんな曲は作れないだろう。岡崎体育の「MUSIC VIDEO」もそうだったけど、作り手が音楽が好きじゃないとこういう作品は間違いなく作れない。

一つのジャンルを突き詰める、というのはある種正しい姿だと思うし、そうやって上り詰めていったバンドやミュージシャンは何組もいるし、それ自体を僕は否定する気は更々無い。だが、やはり僕はジャンルという誰かが作った枠に囚われずに、常に斬新で革新的な作品を作り続けるミュージシャンが好きだ。逆に同じものの焼き増しでしかなくなってしまったなと感じてしまうミュージシャンからはどうしても離れがちになってしまう。僕は創作は「模倣と裏切り」だと思っている。自分が良いなと思ったものをまずはマネしてみて、自分の色を加えて。そうして作られていくのが作品だと思う。しかし同じものばかりマネしてみても出来上がるのは「似たようななにか」でしかないだろう。聞き手を裏切るのもまた、作品がより良いものになるための大切な要素だろう。そういった意味でこの「S!NG」は、「究極の模倣による裏切り」であり、「ジャンルにとらわれない音楽の究極のカタチ」であることは間違いないだろう。誰にも予想できない、そして誰にもマネ出来ないマネ。そんな「S!NG」を含めた里咲りさのトリプルA面は明日、4月5日発売です。

2017年、流行必死の里咲りさから目を離すな。

fujimon-sas.hatenadiary.jp

S!NG/410/小年小女

S!NG/410/小年小女

 

 

データで見る「Base Ball Bear Tour バンドBのすべて 2016-2017」

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昨年の11月から年を跨いで開催されていた「Base Ball Bear Tour バンドBのすべて 2016-2017」が3月29日のZepp Tokyo公演をもって幕を閉じた。昨年起こった悲劇とも言えるメンバーの脱退を経て改めてバンドを続けようという彼らの決意のツアー、結成15周年メジャーデビュー10周年のアニバーサリーイヤーを祝うためのツアー、バンド史上最長にして最大公演数を誇るツアー、そして3人体制になってから初めてのフルアルバム発売前の前哨戦としてのツアー。Base Ball Bearというバンドにとって色々な大きな要素が込められた全国ツアーだった。

今回のツアーは、開催に先立ち楽曲投票企画が開催され、その結果を基にセットリストが組まれるという趣旨で開催された。まずはその投票結果からご覧いただこう。

1位:image club

2位:彼氏彼女の関係

3位:サテライト・タウンにて

4位:初恋

5位:BOYS MAY CRY

6位:senkou_hanabi

7位:short hair

8位:USER UNKNOWN

9位:Transfer Girl

10位:ストレンジダンサー

11位:海になりたい part.2

12位:明日は明日の雨が降る

13位:夜空1/2

14位:4D界隈

15位:不思議な夜

16位:PERFECT BLUE

17位:HIGH COLOR TIMES

18位:君はノンフィクション

19位:SCHOOL GIRL FANTASY

20位:changes

sp.universal-music.co.jp

「changes」「short hair」「PERFECT BLUE」などの定番の王道楽曲から、「image club」「サテライト・タウンにて」「明日は明日の雨が降る」などのファンでも「そこ行く!?」みたいな楽曲まで出揃う結果となった。20位以降もレア曲が多かったこともあり、開催前からファンの間では大きな話題になっていた。

そんな今回のツアー、毎公演セットリストが変化するスタイルを取っており、結果としてどの公演に行くか、どのタイミングで参加するかで大きくライブの色が変化していたように思う。全36公演のセットリストを纏めたのでご覧いただきたい。

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上から初日~降りていくにつれ最終日となる。また、色がついている曲が日替わり曲。2ブロック目、3ブロック目、そしてアンコールが日替わりの対象だった。実際にどの曲が多く演奏されたかもデータとしてまとめてみた。

まずは2ブロック目。「彼氏彼女の関係」以降から本編6曲目まで。

「ストレンジダンサー」 28回

「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」 25回

「BOYS MAY CRY」 20回

「アイノシタイ」 17回

「USER UNKNOWN」 11回

「SCHOOL GIRL FANTASY」7回

シングルのB面楽曲やアルバム楽曲が固まって配置されたこのゾーン、まさに「レア曲放出コーナー」といった感慨。中には今回ライブ初披露の楽曲もあって、ファンであればあるほどこのゾーンにテンションが上がるのではないだろうか。このあたりからも単なるベスト盤ライブではなく、「投票企画を踏まえたライブ」であり、今までのBase Ball Bearを総括するかのようなライブであったことが伺えると思う。なによりも、「この日替わり曲はこの位置で固定」といったことがなく、どの位置に配置しても間に様々なインタールード的なセッションを挟むことで気持ちよく聞くことができたのがこのブロックの特徴だった。2016年中は「ストレンジダンサー」「LOVE LETTER FROM HEART BEAT」「USER UNKNOWN」「BOYS MAY CRY」を入れ替わり立ち替わりといった感じで演奏していたが、年明け3回目の水戸LIGHT HOUSE公演を皮切りに、それまではやってこなかった曲にトライしている様も伺える。これだけのロングスパンで開催されるツアーだと、どうしても中だるみしてしまったりするものなのだろうが、緊張感を持続させるために積極的に新しく曲を替えたりしているのだろうと思うと、改めてBase Ball Bear、そして今回サポートに入った弓木英梨乃の凄みを感じる。

そして3ブロック目。7曲目から「初恋」までのゾーン。

まずは7曲目から。

「Transfer Girl」 28回

「夜空1/2」9回

続いて8曲目。

「short hair(本編)」 19回

「不思議な夜」 15回

このブロック、「Base Ball Bear的ラブソング」なブロックなのだが、7曲目から「初恋」にかけて徐々に「大人な恋」に変化していくというストーリーが完成されていて、途轍もなくエモーショナルなブロックになっている。前作「C2」で「青春が終わって知った 青春が終わらないってこと」と歌いあげていた彼らが、こうしたド青春な曲順でセットリストを組んでくるあたりに、新作「光源」への期待が高まる。

そしてアンコール。まずはアンコール1曲目。

「The Cut」 11回

「祭りのあと」 9回

「夕方ジェネレーション」 7回

「changes」 5回

「short hair(Enc)」 2回

「ELECTRIC SUMMER」 2回

やはりここで大きくフューチャーしたいのは「The Cut」だろう。元々RHYMESTERとのフューチャリング曲で、それ故に披露される機会はかなり限られていた(EX ROPPOMGI THEATERのこけら落としイベント、CDJ、日比谷ノンフィクションⅣなど)のだが、RHYMESTER無しで演じてしまうという最早暴挙にも近いことをやってのけてしまった。

夏頃、それこそ投票企画真っ只中の頃、小出がこんなことをつぶやいていたが、まさかこんなにすぐ実現するとは思ってもみなかった。熊本で披露した後、すっかりこのツアーの定番になってしまった。

そしてアンコール2曲目。

「逆バタフライ・エフェクト」 32回

「SHINE」  4回

どちらもニューアルバム「光源」から。僕は残念ながら「SHINE」をこの目で見ることは叶わなかったが、「逆バタフライ・エフェクト」は2度聞くことが出来た。Base Ball Bearの新曲が遂に完成したのだという事実にまず鳥肌、そして新作の確かな出来を感じさせる1曲だったのは間違いないだろう。

僕は昨年11月12日の名古屋公演、そして2月12日の静岡公演に参加した。同じツアーに複数回参加することで新しい視点でライブを見ることができたのは良い経験になったと思う。曲間のインタールード、弓木英梨乃というギタリストの天才っぷりに気付くことができたのは複数公演参加できたからだろう。何よりツアー二度目の「The Cut」というレアなモノも見ることができた。ベボベみたいに細かく土地を回ってくれるバンドならなるべく複数回参加したいなと改めて感じた。

既に次のツアー開催も発表されている。恒例の日比谷野外音楽堂での「日比谷ノンフィクション」を含めた30公演。そしていよいよ発売が迫ったニューアルバム「光源」。彼らの次なる挑戦・次なる変化にドキドキが止まらない。

光源(初回生産限定盤)(DVD付)

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追記

今回のデータはライブ・セットリスト情報サイト「Live Fans」のデータを基に作成しました。実際のセットリストの違い等には関与しかねることを了承ください。

www.livefans.jp