QUEEN+ADAM LAMBERT「THE RHAPSODY TOUR」をナゴヤドームを見た!

僕に初めての洋楽ライブとなったのはクイーン。1月30日にナゴヤドームで開催されたQueen + ADAM LAMBERD「THE RHAPSODY TOUR」を見てきました。今回はその感想を。

f:id:fujimon_sas:20200218141127j:image

昨年の映画「ボヘミアン・ラブソディ」のヒットから改めて再評価、注目されていたクイーンだけど、「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットの有無なんて関係なく、ただただ、世界的バンドが世界的バンドである理由、クイーンというバンドの圧倒的な凄みを感じたライブだった。

f:id:fujimon_sas:20200218141152j:image
クイーンって、僕らくらいの世代のファンじゃない人間からすると、よくテレビで流れてるちょっと面白いバンドみたいな印象が正直あって。

それはフレディのあのルックス(カップヌードルのCMで流れていたタンクトップ姿)とか、あのあまりにも印象的な「We Will Rock You」のリズム(ドッドッダン!って良く手と足を使って教室で真似したのを覚えている)とか、CMとかドラマ、バラエティでの使われ方(カップヌードルのCMとか、ドラマ「プライド」の「I Was Born To Love You」とか、バラエティで自転車乗るシーンで定番過ぎる「Bicycle Race」とか)によるものなんだろうなーと思うのだけど。

でもそういうイメージなんて吹っ飛ぶくらいの幅広い音楽性、そしてバンドとしての強固な地力を体感したライブだった。
コーラスが印象的な曲、打ち込みが全面に出たサウンドが印象的な曲、ロックンロールなバンドサウンドが光ってる曲。「Killer Queen」は妖艶だし、「Bycecle Race」は瑞々しい疾走感に溢れているし、「Radio Ga Ga」のスケールの大きさに圧倒され、「We Will Rock You」のロックンロールにシビれまくって、「We Are The Champions」の普遍性に涙してしまう。

とにかくクイーンのライブは幅広いサウンドが鳴っていて、同時に改めて「そういえばこの曲もこの曲もクイーンだったのか」という衝撃もあって。そんなクイーンの音楽性の広さや間口の広さは日本のバンドで喩えるならサザンオールスターズっぽくもあり。似たような曲が1曲も無い、濃密な2時間半だった。

QUEEN+ADAM LAMBERT」は、クイーンのオリジナルメンバーであるブライアン・メイロジャー・テイラー、そしてボーカルとしてアダム・ランバートが参加したコラボレーション・バンド。だから厳密に言えばオリジナルのクイーンとは似て違う物になる。クイーンの本来のボーカルであるフレディ・マーキュリーの、言わば「代わり」となってしまうアダムには当然物凄いプレッシャーがあるだろうけど、アダムの歌唱からはそんなプレッシャーは毛頭感じず、代わりにフレディへのリスペクト、最早それを通り越した愛をひたすらに感じた。クイーン、そしてフレディへの愛に溢れたアダムだからこそ、このコラボレーション・バンドのフロントマンを張れてるのだろう。

もちろんこのライブのメインボーカルはアダムなのだけど、フレディへのリスペクトを感じるシーンは随所にあって。例えば中盤でブライアン・メイとフレディが大画面のモニターを通してツーショットになる瞬間があって。それは新しいボーカルを迎えてもクイーンがクイーンである事、そして今もフレディも同じステージに立っているというクイーンの思いを感じる瞬間だった。

フレディに纏わる演出だけではなく、今回のQUEEN+ADAM LAMBERTのライブは全編を通して世界的バンドならではのシンプルに音楽を楽しませる演出による場面が多かった。大胆な演出というのはそこまでなかったように思う。それは彼らが音楽の力だけで十二分に魅せ切ることが出来るからに他ならない。とはいえやはり舌を巻いてしまいそうになるほど驚く演出もいくつかあって、例えば「Radio Ga Ga」の前にブライアン・メイが大スクリーンを使って、まるで宇宙のどこかにある惑星の上で壮大なギターソロを弾いているような演出は圧巻だったし、かなり長尺(5分はやってた)のギターソロだったにも関わらず、全く飽きずに聞くことが出来たのはブライアン・メイの演奏の巧みさと共にあの演出があってこそだろう。

そして「We Will Rock You」の演出にも驚いた。「We Will Rock You」のジャケットに描かれている巨人がメンバーの後ろに設置された大ビジョンに映しだされ、会場中を見渡す演出は度肝を抜かれたし、とてもユニークで印象深い。

やはり今回のライブの白眉は本編最後に演奏された「Bohemian Rhapsody」。

不穏なアカペラ・コーラスに始まり、美しいバラードに心惹かれていると、中盤ではめまぐるしく哲学的なオペラを経て、ハードロックに行き着き、最後はまたバラードに着地する。その曲展開は組曲であり、さながらサーカスか、喜劇を見ているかのようで。ライブでこの曲を再現するのは今でも、そして当時は今以上に大変な作業だっただろうと思うし、それをやってしまうクイーンはやはり圧倒的な地力とファンサービスに溢れたバンドなんだなと思う。

普段はどんなバンドやミュージシャン、例えばサザンオールスターズを見ても星野源を見てもPerfumeを見ても「デケェなあ」と思ってしまうのが僕にとってのナゴヤドームという会場だ。ドームは音楽ライブ・コンサートの会場には向いていないとすら思っている。そんな僕が今回のQUEEN+ADAM LAMBERTのライブで初めて「ナゴヤドーム、ちっせぇなぁ」と思ったのだ。それは他でもなく、クイーンの音楽が世界を股に掛ける圧倒的なスケールのサウンドであり楽曲だからに他ならない。もちろん僕は基本的には邦楽リスナーだし、邦楽が洋楽に劣っているとも勝っているとも思わない(というか劣る勝るという概念は音楽に存在しないと思う)し、どちらも異なる魅力が溢れていると思っている。その上で、音楽そのもののスケールで見る者を圧倒させ、会場の広さまでも錯覚させてしまうクイーンという世界的バンドの途方も無い凄味は、初めて彼らの音楽に触れた僕の心を熱くさせた。

クイーンだけではなく、洋楽自体ライトリスナーな僕だけど、本当に心から楽しめたライブだった。なかなか見れるモノじゃないけど、また見たいなと思う。クイーン、そしてアダムがまたいつか日本に来てくれることを楽しみにしている。

Bohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)

Bohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)

  • 発売日: 2018/10/19
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
ボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

ボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

  • 発売日: 2019/04/17
  • メディア: Prime Video