【RIJF】ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019 ふじもと的ライブ感想集 ~DAY 5~
全体で言えば5日日、そして僕にとっては2日目、何より誰にとっても最終日となった8月12日のROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019。DAY 4に続き、僕の見た各ステージの感想を記していきます。
- Nulbarich(PARK STAGE 10:30~)
- 大塚愛(PARK STAGE 11:40~)
- 赤い公園(BUZZ STAGE 12:35~)
- indigo la End(LAKE STAGE 14:00~)
- ポルノグラフィティ(GRASS STAGE 15:30~)
- フジファブリック(PARK STAGE 17:30~)
- まとめ
Nulbarich(PARK STAGE 10:30~)
前日の疲れを引きずっていたこともあり、遅めの起床となってしまったふじもと。開演前のいわゆる「朝礼」には間に合わなかったものの、開演後スグにPARK STAGEに滑り込む。
セットリストの大半の曲が「Blank Envelope」収録作から選ばれるという、言葉通り「現在のNulnarich」を如実に反映させたセットリスト。それは同時に彼らの代表曲である「NEW ERA」やMVが製作された「It's Who We Are」「ain’t on the map yet」は組み込まれない、代表曲が無いセットリストだ。フェスでこのセトリを組むということは、例えオーディエンスが知らない曲でも踊らせ、盛り上げることが出来る地力を持っていなければ出来ないし、今のNulnarichはその地力を間違いなく持っている。
Nulnarichは、ボーカルのJQは、至ってクールそのものだ。オーディエンスを煽り立てることもしなければ、飛んで跳ねるような楽曲も無い。でもオーディエンスひとりひとりが自由に、彼のクールの内に秘めた情熱を全身で感じ、身体が勝手に動きだすようなステージ。それはこの令和の時代に、一人一人がの価値観・感覚が尊重される時代にマッチしていると思うことが出来たステージだった。
SET LIST
1.Silent Wonderland
2.VOICE
3.Kiss You Back
4.Ring Ring Ring
5.All To myself
6.Sweet and Sour
7.Zero Gravity
8.Super Sonic
9.Stop Us Dreaming
大塚愛(PARK STAGE 11:40~)
SOUND OF FOREST傍の森のキッチンで、同時刻にSOUND OF FORESTで演奏していたフレンズの音を聞きながら遅めの朝食兼遅めの昼食を食べていたら、すっかり大塚愛のライブが始まる時間に。慌ててPARK STAGEに向かっていると既に大塚愛のステージは始まっていて「PEACH」の音が聞こえてくる。沢山の人が通路でPARK STAGE・GRASS STAGE方面に向けて歩いていたのだが、通路で既に曲に合わせて沢山のハンドクラップが鳴っている。特に僕と同じような20代前半から後半の人たちにとっての大塚愛の沢山の楽曲はDNAレベルで刻み込まれていて「PEACH」だともその中のひとつだということ、そしてヒット曲にはヒット曲の魅力があるのだということを改めて感じた瞬間だった。
大塚愛は00年代におけるいわゆるJ-POPというジャンルを支えてきたシンガーであり、中盤の言ってしまえば有名ではない楽曲達もポップネスなモードが全開だった。
特筆すべきは中盤に披露された新曲。それまでとは一転した、速いテンポ感でパンキッシュに鳴る「Chime」は、ロック好きを唸らせたのではないだろうか。
最後は「Happy Days」そして「さくらんぼ」で大団円。ひたちなかの青空に沢山の「もう一回!!」が響き渡る。やはり僕らには、彼女のポップネスな音楽が刻み込まれている。
SET LIST
1.PEACH
2.kit palette
3.桃ノ花ビラ
4.Chime
6.XOX
7.ボンボン
9.さくらんぼ
赤い公園(BUZZ STAGE 12:35~)
新生・赤い公園として石野理子が加入して以来初めてのROCK IN JAPAN FESTIVALのステージ。そして僕にとっては4月以来の赤い公園。
時間通り4人がステージに現れると1曲目は「塊」。1発目からド級の赤い公園流のヘビーサウンドがBUZZ STAGEを掌握する。元も子もない言い方をしてしまえば本当にド変態だなというか、十二分なポップセンスを持つ彼女達がそのセンスを踏まえた上でこういうハードコアな曲を歌っているところが半端じゃ無く違和感で、でもその違和感が最高だ。
2曲目は新曲。春のツアーでもセットリストの大半を新曲で占めてしまうという構成だったが、その流れを汲んだものだろうか。
2曲終わってMC。春のツアーではまだあどけなくて、他の3人のフォローが欠かせなかった石野のMCも、今回はバンドマン然とした風格が漂い、フォローが無くともしっかりとバンドマンらしく話し、盛り上げていた。こんな些細な一コマからも、この4か月の彼女の、そして4人の途轍もない成長を感じて止まない。
「Highway Cabriolet」「消えない」とYouTubeでMV公開されている新体制を象徴する楽曲達が立て続けに演奏されると続けて演奏されたのは「西東京」。赤い公園のオリジナルメンバーは立川出身だが、石野は広島出身。そんな彼女が歌う「西東京」は、名実ともに石野理子という人間が赤い公園のメンバーになったことを証明しているようで、アイルネ時代から知っている僕は少し嬉しくなってしまった。
ここで配信シングル「凛々爛々」のリリース、更に11月からのツアー開催の告知が。そして最後に演奏されたのはその「凛々爛々」。こういう今後の活動発表ひとつとっても彼女達が前に進んでいることを感じたし、今回ロッキンで見て圧倒的な成長を感じたからこそ、次にリリースされる音源にも次のツアーも楽しみで仕方がない。赤い公園というバンドが格段に良くなっていく瞬間を、成長していく様を見るのならば今しかない。
SET LIST
1.塊
2.新曲
3.Highway Cabriolet
4.消えない
5.西東京
6.凛々爛々
indigo la End(LAKE STAGE 14:00~)
暑さのピークを迎えたひたちなか。LAKE STAGEには前髪が伸びすぎた川谷絵音を中心にバンドセットが組まれたindigo la Endの姿。ひたち海浜公園の中でも涼し気なこのLAKE STAGEと彼らの音楽はピッタリだと始まる前から確信していたし、その様は灼熱の中で味わう清涼剤のようだった。
初期のindigoならではのセツナ美メロが炸裂する「瞳に映らない」「名もなきハッピーエンド」や、「Crying End Roll」期の歌謡曲的な文脈で作られた「想いきり」と、自身のキャリアから満遍なく過去作が演奏される。そして新曲群として演奏されるのは、BPM早めのタイトな演奏が炸裂する「はにかんでしまった夏」と、メロウなサウンドがまるで人肌の温もりのようにじんわりと身体中を包み込む「結び様」。聞き馴染みの深い曲だろうと、初めて耳にする曲だろうと、indigo la Endの曲はいつだって昔どこかに置き去りにしてしまった感情をメロディに乗せて思い起こさせてくれる。
曲間で挟まれたMCで「スピッツと同日に出演できたことが嬉しい」と語った川谷。indigo la Endという名前はスピッツの名盤「インディゴ地平線」にインスパイアされて命名されたこともあり、スピッツへの思い入れは相当なモノなのだろう。そのスピッツへの想いはセットリストにも反映されたのか、普段はあまり演奏しない「さよならベル」を終盤にドロップアウト。ライブ後、川谷はこんなことをツイートしていた。
久々に、というか3年ぶり?に「さよならベル」という曲を演奏しました。スピッツリスペクトでハイファイという歌詞を入れた曲。スピッツと同じ日だったので歌った。スピッツも最高だったし今日は良い日。https://t.co/jJJuFCxFre
— enon kawatani (@indigolaEnd) August 12, 2019
そして最後は「夏夜のマジック」で締め。リリース当時からずっと大好きだったこの曲を、この特別な夏が終わる前にライブで聴けて本当に良かった。
SET LIST
1.瞳に映らない
2.想いきり
3.はにかんでしまった夏
4.夜汽車は走る
5.結び様
6.名もなきハッピーエンド
7.さよならベル
8.夏夜のマジック
ポルノグラフィティ(GRASS STAGE 15:30~)
まだまだ日差しが強い15時半のGRASS STAGE。エレファントカシマシが押した時間を取り戻すべく、スタッフがテキパキとスムーズな手さばきで転換を行う。
ポルノグラフィティとROCK IN JAPAN FESTIVALは今年、共に20周年を迎えた。
ポルノとロッキンの関係性はお世辞にも長く深いと言えるようなモノではない。デビュー早々にブレイクを果たし、テレビへ積極的に出演していたポルノグラフィティと、初年度以来規模を拡大し続け、10年代後半になって「フェス」というものが一般レジャー化するに至るまで地道にこの地でフェスを続けてきたROCK IN JAPAN FESTIVAL。その両者が邂逅したのは2017年のこと。その出演時、自分たちの音楽が沢山の後輩、それもロック畑でゴリゴリやっているような後輩たちに聞かれ、影響を与えていることを知ったポルノのふたりは自分たちの音楽が日本の音楽シーンの一端で根を張っていることに気が付いたと、後に各所のインタビュー等で語っている。この時、それまで交わることの無かったポルノグラフィティとROCK IN JAPAN FESTIVALが交差したのである。
そしてあれから2年が経ち、今度はお互いの20周年を祝うかのように、RIJFに出演が決まったポルノグラフィティ。そのライブが始まる瞬間を今か今かと待ち望む人でGRASS STAGEは溢れていた。
アッと言う間に転換が済んだステージ上に、サウンドチェックのためにサポートメンバー達が顔を揃える。おもむろに演奏しだしたのはなんと「アポロ」!本人達の歌唱・演奏は無かったものの、これから始まるライブの狼煙の如き熱のこもったサポートメンバーの演奏に、ライブ前からGRASS STAGEは大盛り上がりだ。
一旦サポートメンバーが袖に捌け、ステージ両端に設置されたモニターにはライブのはじまりを告げる「ポルノグラフィティ」の文字。ステージ真ん中の特大ビジョンにはこれまでのアーティスト写真やCDジャケット、そして「PORNO GRAFFITTI」のロゴがアメコミ風の映像演出と共に流れていく。「CLAP!!」の文字でハンドクラップの波がGRASS STAGEに巻き起こると、サポートメンバー、そして岡野昭仁、新藤晴一の姿が。
そして始まったのは「メリッサ」!うねるベース、ボーカル岡野昭仁のロングシャウトでアッと言う間にポルノグラフィティの世界観がひたちなかに産まれる。
続く「ハネウマライダー」ではお決まりのタオル回し。しかしここは東京ドームの4倍もの面積を誇るGRASS STAGE。普段彼らが主戦場としているホールやアリーナとは比べ物にならないような光景がそこには広がっていて。時折モニターに映るGRASS STAGEエリアの全景を見ては、その光景に圧倒されてしまう。
MCでは前述した前回出演した際の思い出を語ると「この曲はもしかすると皆一度くらいは聞いたことがあるんじゃないか」と語って始まったのは「サウダージ」。20年近く前の曲とは言え、ミリオンセラー楽曲を「一度くらいは~...」と話す岡野昭仁は謙遜にも程があるし、その姿が僕はカッコいいなと思ってしまう。
そして続けざまに「カメレオン・レンズ」「Zombies are standing out」と最新モードのポルノグラフィティを象徴するような楽曲がドロップされる。洋楽の流行を取り入れた音作りがなされた「カメレオン・レンズ」、そしてポルノグラフィティ史の中でもハードロックに偏った作風となった「Zombies are standing out」。前回RIJF出演以降リリースされたこれらの楽曲は、どちらも「攻めた」内容でありながら、ポルノグラフィティのロック性をいかんなく発揮した、楽曲で、日本最大のロックフェスの空気に触れた彼らが改めて「ロックシーン」に挑戦したのだろう、なんて勝手な推測だろうか。それでも間違いなく言えることは、前回出演時の「ポルノグラフィティヒットチューン祭」のようなセトリから、今回は前回の流れを踏まえた上で「現在のポルノグラフィティのモード」も提示するセットリストに変化していたし、そのキーとなったのは他ならないこの2曲だ。
そしてライブは佳境。ロックチューン「THE DAY」でGRASS STAGEの熱量を一気にドライブさせた後は大名曲「アゲハ蝶」へ。ワンマンライブで育った独特のハンドクラップ、そして「ラララ」の大合唱がGRASS STAGEを包む。タオルを回させ、ハンドクラップに大合唱。ポルノのライブは想像以上に体育会系なのだ。
昭仁が「まだまだやってもらうことがある」とオーディエンスにまだまだ「課す」旨を話し、横・横・縦・縦の「変な踊り」をレクチャーする。「ミュージック・アワー」だ。やはり6万人の「変な踊り」は壮観で、6万人が全身を使ってポルノの音楽を楽しんでいると思うと、誇らしい気持ちになった。
ポルノグラフィティが出演した最終日のGRASS STAGEには、Dragon Ashや東京スカパラダイスオーケストラ、スピッツにエレファントカシマシと、RIJFとは長い付き合いであり、このフェスを支えたと言っても過言ではない面々が顔を揃えた。そんな中で何故決して長い付き合いとは言えないポルノがブッキングされたのだろう。それはきっとROCK IN JAPAN FESTIVALとポルノグラフィティが、共に20年間別々の場所で音楽シーンを彩り、闘ってきたことを、音楽を通して共に称え合う為だったのではないだろうか。これからも偶にで良いからこんな風に、ひたちなかでポルノグラフィティがライブしてくれる事を楽しみにしている。
ポルノのステージが終わり、転換時に「こんなにロックなんだねー!!」と驚いてる初見の人の声が聞こえてきた。そう、ポルノグラフィティはこれまでも、そしてこれからも、紛うことなきロックバンドだ。
SET LIST
SC:アポロ(バックバンドのみ)
1.メリッサ
2.ハネウマライダー
3.サウダージ
4.カメレオン・レンズ
5.Zombies are standing out
6.THE DAY
7.アゲハ蝶
フジファブリック(PARK STAGE 17:30~)
ポルノグラフィティ後のGRASS STAGEにはスピッツが登場し、RADWIMPSの「前前前世」のカバーや最新曲「優しいあの子」を演奏した。そんな彼らに後ろ髪を引かれながらも、僕にとって最後のRIJF2019のステージになったフジファブリックが立つPARK STAGEへと足を向けた。
「STAR」で始まった彼らのライブは、「Sugar!!」「虹」と往年の名曲を序盤から連発する。
この3日前、フジファブリックはデビュー15年目にして初めて「MUSIC STATION」に出演。15周年と共に、志村正彦没後10年という大きな節目となったこのタイミングのMステ出演とその演出は、彼らの足跡を知る音楽ファンにとっては感慨深い時間となった。
そんなタイミングでリリースされた新曲「手紙」も披露された。普遍的な感謝と別れを歌ったこの曲は、メンバーから志村正彦へのメッセージにも聞こえてくるのだが、それと同じくらいに15年支えてきたファンへの感謝の想いが込められた楽曲なのかなと夕暮れに染まるPARK STAGEを見つめながら思い耽ってしまった。
「LIFE」「カンヌの休日」「東京」と現体制以降の楽曲を連発した中盤は、大阪城ホールワンマンを控えた"今"のフジファブリックを魅せた瞬間だった。フジファブリックに志村という人は欠かせなくて、その意志やエッセンスを継ぎつつも、現在のフジファブリックも同時に突き詰めるその姿は、あまりに眩しかった。
「フジファブリックは絶対に解散しないバンドですから」
最後の曲が始まる前、ヴォーカルギターの山内はこんな言葉を残した。その意味は、理由は、きっと言わずもがな。
最後にフジファブリックが演奏したのは、今や国民的晩夏の名曲となった「若者のすべて」。
最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
僕はきっと、これからもずっと、この夏のフジファブリックを、ひたちなかで過ごした時間を思い出してしまうことだろう。
SET LIST
1.STAR
2.Sugar!!
3.虹
4.手紙
5.LIFE
6.カンヌの休日
7.東京
8.若者のすべて
まとめ
ロッキン最終日は計6組(チラ見しているミュージシャンを含めるともう何組かいるのだが)のステージを見ました。前日の疲れも吹き飛ぶような素敵なアクトばかりで、時間を追うごとにこのフェスが好きになっていくような、そんな時間を過ごすことができました。
来年は五輪の関係で3日間と規模が縮小してしまうこととなりましたが、3日連続なら地方からでも全通しやすいかな...?と今から来年のひたちなかに思いを馳せています。
2日間通して、ステージを見ることが出来たすべてのミュージシャンに愛と感謝を。