赤い公園、新体制になって初めてのツアー「Re:First One Man Tour 2019」 を四日市CLUB CHAOSで見た!
赤い公園「Re:First One Man Tour」 四日市CLUB CHAOS公演、見て参りました。
初赤い公園、初CHAOS。キャパ150という数字は伊達じゃなく、激狭ののライブハウス。そんなライブハウスを赤い公園は狭しと、天井がぶち抜けそうな音圧で煌めくポップロックを鳴り響かせていた1時間半でした。
「Re:First」の名前の通り、今回は新体制で行われる初めてのツアー。「新生・赤い公園」のキーマン、18歳の石野理子がフロントマンとして初々しながらも生き生きとした歌声を響かせたと思えば、ギターの津野米咲の独創的なギタープレイやベースの藤本やドラムの歌川のプレイがその歌声をしっかりと支える。石野の加入の際に津野が「妹ができたよう」と話していた記憶があるが、ライブそのものもそんな雰囲気が流れていた。黒髪だった石野は緑がかった銀に髪を染め、メンバーは全員白とデニムのツートンカラーで統一された衣装を身にまとっていた。そんな「おそろい」にも、彼女たちの関係性を感じてしまう。映画「海街diary」の四姉妹にも重ね合わせてみたり。
今回のツアーで最も特徴的だったのは1曲目、そして2曲目と初っ端から連発された新曲群。終わってみればライブの半分は新曲、という結果。そして途中のMCでは「音源になるかどうか、世に出ていく曲になるかどうかも分からない」と彼女たちは話していた。出来たてほやほや、純度100%の「"今の"赤い公園」の証である新曲がライブの半数近くを占める構成は、生まれ変わった赤い公園の初期衝動を強く感じさせる、まさにバンドのファーストツアーっぽさ満載の1時間半。
単純に新曲が聞けることの喜び以上に、新曲も既発曲も全て纏めてその音楽性の幅の広さに驚く。既発曲も含め、似ている曲が全く存在せず、幾多もの音楽ジャンルを全て自らのポップスに還元している。その類まれなるポップセンスは、今で言う星野源なんかにも通じるものがあるとすら思ってしまう。全くポップじゃない音楽性をポップスに還元しているような。そんな演奏他のどこでも見たことない!と驚いてしまう瞬間が何度もあり、津野米咲という人の天才的なソングライティングとセルフプロデュース力に圧倒される。
新曲だけでなく、既発曲もボーカルが変わることで新鮮に聞こえてくる。石野理子の声は決して前ボーカル佐藤千明のように圧倒的なパワフルさのあるものでは無いが、ひとつひとつの声を大切に発してるような、繊細な美しさを纏っていて、赤い公園の今までの既発曲達にも新たな息吹を吹き込む。聞き手を一瞬で惹きこんでしまう儚げな歌声は、赤い公園の情感のある世界観にもビタリと合致する。
途中MCで石野が「何公演重ねても緊張する」と話していたが、そういう「常に初陣」な意味でも「Re:first」なのかと思ったり。敬語を使う石野のMCはアイドル時代の癖がまだ抜けてないというか、お世辞にもバンドのMCという感じではなかったけど、そのたどたどしさを他のメンバーがフォローしてる部分に、生まれ変わって間もない彼女たちにもう既にスゴく良い関係性が出来上がっていることを示していて、何だかこっちまで嬉しくなる。
既にYouTubeで公開されている新曲「Highway Cabriolet」そして「消えない」が立て続けに演奏された終盤の展開は今回のツアーのハイライト。この2曲の演奏が始まった瞬間にライブハウス全体が上気したような熱気に包まれたし、本人達の演奏・歌唱にも一層の力が籠っていたように見えた。
バンドの根幹を成すボーカルが変わっても、全編通してロックサウンドで鳴らされる赤い公園流のポップスは健在だった。どころか、新ボーカル石野理子という魅力溢れる歌い手をボーカルに立てたことで、一層赤い公園は面白くなっている。その独創的な音楽にも、良い意味で先の読めない活動展開も、現在の赤い公園というバンドを織り成す要素全てが面白い。激しく、怪しく、キュートでキャッチーなロックポップ。今音楽ファンが最も見るべきバンドのひとつ、赤い公園の躍進はきっとこれからも止まらない。
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