「桑田佳祐 LIVE TOUR 2017 がらくた」ナゴヤドーム公演初日、日本屈指のエンターテインメントショーを見た!

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桑田佳祐 LIVE TOUR 2017 がらくた」ナゴヤドーム初日公演を見て参りました。最高のエンターテイメントショーを徹底的にレポートして参ります。ネタバレ含みます。今後の公演に参加される予定の方はお気をつけください。

ライブ本編の話の前に、まずは会場周辺やお客さんの雰囲気の話から。今回の「がらくた」では黄色いアヒルがフューチャーされていることもあり、アヒルの被り物をした人やお手製のアヒルイヤリングをつけている人も沢山いらっしゃいました。

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ライブ中に後ろの人の邪魔にならない程度なら、こういう雰囲気を楽しむのも良いですよね。桑田佳祐やサザンのライブならではの祭り感というか。来場しているファンの人も年に1回の桑田さんとの逢瀬を様々な形で楽しんでいる様子。

今回僕と一緒にライブに参加したのは中学の時の後輩。僕の影響もあってサザンを聞くようになった後輩は「波乗りジョニー」と「祭りのあと」がお気に入り。

そんなこんなで入場。入場時にはもう恒例になった「がらくたライト」を配布される。なんとアリーナ、前から2つ目のブロック(といっても右寄りではあるけど)。今まで僕が参加したサザン関係のどのライブよりも近い。前回のサザンナゴヤドームの時は豆粒にしか見えなかった桑田さんが100円ライターくらいの大きさに見えるぞ!!と。この時点で緊張でゲロ吐きそう。

開演5分前になると影アナから公演に関する諸注意が。「間もなく開演です!!!」という一言で会場の熱気は一気に高まる。

そして客電が落ち、サポートメンバーが現れ、準備が整ったところで桑田さんがステージ左手から入ってくる。黒の柄物のジャケットと黒のハットに身を包んだ桑田さんは、泉谷しげるにも見えてくる。

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緊張の1曲目は「しゃあない節」。2ndアルバム「孤独の太陽」に収録されたこの曲は、カントリーなアコースティックサウンドに乗る歌詞の強烈な社会風刺が特徴的。意外な選曲!

嗚呼 「平和」の意味が 違って見える

そして愚かなボスがこう言う...

"さあ!! 若者よ人を撃て!!"

20年以上前の曲にも関わらず、今でも、いや今だからこそこの歌詞が響いてくる。
そしてその勢いのまま「男達の挽歌(エレジー)」「MY LITTLE HOMETOWN」と、2007年ソロワークスの名曲たちが並ぶ。「男達の挽歌」の50~60歳ならではのロックンロールは、今作「がらくた」の「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」辺りとも重なる部分がある。「MY LITTLE HOMETOWN」は現在公開中の映画「茅ヶ崎物語」の主題歌。茅ヶ崎の風、匂い、波の音を思い出さずには居られない。間奏の「らーらーらーらーらー」では腕振り。3曲目から既に楽しさが止まらない。2曲とも「おお、最近の曲だなぁ」と思いがちだが、10年前の曲だ。サザン・桑田佳祐ファンをしていると時系列がむちゃくちゃになる。

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ここでMC。「おいーーっす!」と往年のドリフ、いかりや長介の挨拶をもじる桑田さん。ハットとジャケットを脱いでTシャツ姿になると「ヅラが...」と髪の毛を気にする桑田さん。彼の「ウケを狙いに行く」性格が良くわかる一幕である。名古屋は2年ぶりだとか、今日は長丁場だ、なんて話をしてたと思ったら「...質問あります?」なんて、まさかのお客さんに質問を振る大御所。丁寧にマイクまで用意されていたりなんかして。「今日は何を食べますか?」とか「名古屋の好きな食べ物は?」なんて質問が飛ぶ。「今日は鍋を食べる(本人談:意外と質素なのよ)」「好きな食べ物後でネタにするから待ってて!!」と、誠実に質問に答える桑田さん。ドームとは思えない距離感の近さである。親戚の集まりの気のいいオジサンみたいな。ちなみに僕が参加した翌日の公演では「来年サザンは復活しますか?」みたいな質問が飛んだとか。すごいな...。

そしてここからはニューアルバム「がらくた」コーナーである。「愛のプレデュード」のサーフミュージックに乗るささやかな愛の調べ。ここで何故か涙が止まらなくなる私。思い入れがある曲でも何でもない(失礼)なのに、めちゃめちゃ泣いてしまった。この曲の歌詞の良さに改めて気付いたと共に、3曲目まではテンションで抜け飛んでたけど、冷静になると「桑田佳祐が目と鼻の先にいる」という事実に泣いてしまうというか。もはや理屈ではないんだろうなと。何度桑田佳祐を生で見てもいい意味で慣れない。

続いて演奏されたのは「愛のささくれ ~Nobody loves me」。ここはアルバムの曲順通りに進む。アルバム全曲レビューの際も書いたが、やはり「愛のプレデュード」の主人公の15~20年後が「愛のささくれ」なのではないだろうか、と妄想が捗りまくる。桑田さんのシャウトもめちゃめちゃキマってる。なんて素敵なんだろうか。

「愛のささくれ」のアダルトな雰囲気のまま、街並みのSE、映像を挟んで歌われたのは大河の一滴。音源よりもテンポアップした4つ打ちはより切り味鋭い音の刃のように僕らを襲いかかる。「宮益坂登って...」の台詞部分はコーラス・Tigerとの息の合った掛け合いだが、音源とは少し変化させて「...ヤッたよね?」「ヘタクソだった」といった台詞が追加。うーん、この曲はカッコいい曲だからあんまりそういうのはしないで欲しかったかもしれない。

大河の一滴」が終わると、一輪の薔薇が舞台の画面上に咲く。キーボード・片山敦夫の繊細なOverTureを経て演奏されたのは「簪 / かんざし」。「死」をこんなに艶やかに、そして情景豊かに表現されると思わず息を飲んでしまう。2番の「甘くジャズなど歌わずに 粋なブルースで踊らせて」という歌詞がこの歌の一番の聞きどころだと僕個人的には思っているのだが、ライブではここで音源に無かった「ジャズのリズムパターン」みたいなものが追加されていた。僕自身そこまで音楽理論のようなものに詳しくないので、コレがどういうリズムパターンでどんなジャズの名曲に使われているか、というのは正直全く分からないのだが、少なくともこのリズムを挟み込むことで、よりこの歌詞のインパクトが増していた。舞台上の画面に咲いていた花は少しずつ花弁を落としていく。

「簪 / かんざし」が終わると、今度は一転して陽の光のように明るいメロディ・アレンジのOverTureを挟んで「百万本の赤い薔薇」がなだれ込んでくる。金原千恵子のバイオリンや、西村浩二のトランペットなど、豪華でキラキラしたサポートミュージシャンの演奏が胸を熱くさせる。

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そして「あなたの夢を見ています」。90年代サザンのような、懐かしさのある打ち込みサウンドが心地よい。ダンサーもここで初めて登場。...はいいんだけど、めちゃめちゃパンツ見えてた。見せてた。そんな曲じゃないのにな...と少しげんなり。

ギター・斎藤誠の激しいギタープレイを挟んではじまったのは「サイテーのワル」。「がらくた」収録曲の中でもとりわけ異彩を放つこの曲。打ち込み音によってサイケデリックさも兼ね備えたロックサウンドと、現代社会をバッタバッタと薙ぎ倒すような歌詞は、誰もが身に覚えのある「有名税」を強烈に描いている。舞台上の画面にはLINEのトーク画面(「おいしい葡萄の旅」の「バラ色の人生」みたいな可愛いものじゃなくて、もっとエグ味のある感じ)今回唯一の炎による特効(炎玉がポンポン出てくるアレ)も飛び出てきてナゴヤドームには一気に緊張感が走る。桑田のシャウトも木霊する。

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ここで再びMC。メンバー紹介。特筆すべきは今回のナゴヤドーム公演のみサポートドラムの方が変わった、という所。本来ならお馴染みのカースケさんなのだが、人気者ということもあり、ナゴヤドーム村石雅行氏がドラムを務めたのだけど、急遽の人とは思えないくらい(そりゃ練習はしてるだろうし、実際桑田さんもそんなような事仰ってたけど)しっかり叩いてらっしゃってビックリ。途中なんかの曲で(忘れちった)ドラムソロもあったんだけど、スゴくカッコよかった。なんでもカースケさんの推薦で決まったとか。なんかどっかで見たことあるなぁと思ったら、どうやらポルノグラフィティのサポートもしていたみたい。納得。

あとはギターの斎藤誠さんを「還暦チェリーボーイ」とイジってみたり、今回の作品に大きく携わった片山敦夫さんに対して「がらくた野郎」と一見罵りに見えて実はめちゃめちゃ感謝しているんだろうな、という暖かいやり取りを見せたり(恒例の柴田恭兵モノマネも振ってた)、バイオリンの金原千恵子師匠に至っては「髪型がダスキン」と言ってみたり、長年サポートとして、バンドメンバーとして支えて合っているからこその息の合ったメンバー紹介。

あと60を超えました、という還暦報告も。そういえば確かに還暦以来はじめての名古屋ライブ。このツアーには還暦の報告巡礼という側面もあるのかなと。

そしてここからは過去曲コーナー。前作「MUSICMAN」より「古の風吹く杜」。鎌倉という街を情景豊かに、かつあの街が持つ長い歴史すらも紐解く、いい意味でポップソングらしからぬ、奥ゆかしい1曲。つい先日鎌倉に行ってきた僕にとって、スゴくタイムリーな曲というか、舞台上で流れている鎌倉の風景は、僕がまさに先日見てきた場所ばかり。ナゴヤドームの筈なのに、鎌倉にいるような気持ちになってしまいました。

次も「MUSICMAN」より。悲しみよこんにちは。ここで僕は2度目の号泣。僕自身、「MUSICMAN」というアルバムにとても思い入れがあって。初めてリアルタイムで体験した桑田佳祐作品であり、彼の「ふとした病」直後の作品であり、当時月5000円貰っていたなけなしのお小遣いから4500円を出して限定版を購入して、もうウォークマンぶち壊れる位何度も何度も何度も何度も学校の行き帰りにリピートしたのが僕にとっての「MUSICMAN」という作品で。その中でもこの「悲しみよこんにちは」は1~2を争うくらい好きな曲で。「悲しみ」「孤独」という、本来であればマイナスな感情や事象を受け入れ、その上で「本当の意味で孤独なんてものは無い」と肯定する、切ない中に確かな希望を見出す歌詞がどうしようもなく好きで。でもこれから先聞くことのない曲のひとつだと思ってたから、まさか歌うとは。「この曲を演奏してくれた!!!」という事実にまず涙、そして自分の大好きな曲を今まさに作った本人が目の前で歌っている、という事実に改めてそこで気付いて号泣、そして歌詞の良さに涙腺ダム大崩壊、みたいなことになってしまい。ホントにこの曲良かったなぁ...

 一転してシックな雰囲気に突入したのはDear Boys。1st「Keisuke Kuwata」の曲なんだけど、なんと29年越しの初披露。ウクレレの音が心地よく、2012年にリリースされた「CAFE BLEU」とも似ているような。自らの息子に向けて歌った歌を29年越しに歌う、というのには、60を越えた桑田さんの中でも色んな感情があったんだろうな、と。

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雨音のSEを経て演奏されたのは「東京」。本来ならピアノの旋律が特徴的な曲なんだけど、なんとサビまではそのピアノを一切排除し、桑田さんによるギターのリズムが「ドッドッドッドッ」と、ピアノの代わりにギターを利用した、今までに無いようなアレンジの「東京」。よりロック、より肉感的なサウンドは新鮮そのもの。「東京」という曲が持つ魅力を落とすどころかより底上げしたようなアレンジに思わず息を止めてしまう。

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緊張感のある「東京」が終わったと思ったら、中村雅俊恋人も濡れる街角!!おお!!と思っていたら「名古屋ver.」と替え歌で。なんでも「ピカイチ」という激辛ラーメン屋が桑田さんはお好みの様子。「朝ケツが痛くなる」とも。さっきの質問の「あとでネタがある」ってのはこれかーと。

そんな昭和歌謡ムードで突入するのは「Yin Yang」。色んな格好のダンサーが出るわ出るわ。赤いドレスに身を包んだ女性、うさぎの着ぐるみ、全身銀タイツ...まさに「エンタメの混沌世界」と化した舞台は何よりも華やか。ドラマ「最高の離婚」のエンディングを更にバージョンアップさせたようなダンスには、同ドラマのファンとしても胸が熱くなりました。曲が終わると、赤いドレスの佐藤郁実に「ヨシ子さんだよね?ねぇ?」と桑田が詰め寄る一面も。

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舞台は暗転。突如始まったVTRに映るのは某怪談話が上手なおじさんに扮した桑田佳祐。「稲川ジェーン(フジオカ)」と名乗る彼は、おもむろに怪談を話し出す。その背後には白塗りの怪しい女性が。

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これは大いなる「ヨシ子さん」への前フリなのか...?と思っていると、アコースティックギターのメロディが。そして入場時に配布された「がらくたライト」が一斉に点りだす。「君への手紙」だ。こういう普遍的な歌詞の楽曲はライブでだからこそ映えるというか。音源で聞くよりも数倍感動してしまった。

そしてMC。内視鏡手術をしたけれど、結果に何の問題も無かったことや61歳を無事に迎えたことを改めて話す桑田さん。「60になってもまだまだ”ひよっこ”です」というと始まったのは「若い広場」。この曲もライブで聴くとより美しさを増すというか。「過去」を羨みながらも、最後には「過去」という恋人を断ち切り、「未来」に向けて歩みだす、希望を感じる歌詞にウルウル。

肩寄せ合い 声合わせて

希望に燃える 恋の歌

というフレーズは場内全員で大合唱。僕は一緒に参加した後輩と肩を組み、MVさながらに、この素晴らしい時間を楽しむ。

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再度舞台は暗転。ピアノの美しい旋律で始まったのは「ほとどぎす [杜鵑草]」。壮大なこの世界の中にある、小さな小さな、だけども何よりも重たい1組の男女の別離の歌。切なさの塊を飲みこんだような感覚が、ナゴヤドームを締め付ける。ここで1度桑田さんは舞台から降りる。

レッド・ツェッペリンMoby Dick」をフューチャーしたサポートミュージシャン達のセッションを挟んで歌われたのは「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」。舞台袖から再び現れた桑田さんは丸メガネにマント、ステッキという何がモチーフになっているのかさっぱり分からない出で立ち(強いて言うならハリポタみたいな)で登場。これの元ネタご存知の方教えてくださいw 「スタンドアリーナ行けるかああああ!!!!!」とブチアゲるような煽りを見せる。場内のボルテージもめちゃめちゃ高まる。

宇宙(そら)の彼方まで

Singin' Pop Pop Pop Pop

やはりこの歌詞、桑田佳祐というミュージシャンを端的に、かつ何よりも明確に説明した、とんでもない1節だなと。

高まったボルテージをそのままに、一気にナゴヤドームをハワイのビーチに変えてしまったのは「オアシスと果樹園」。異国感漂うイントロから青空を自由に飛び回るような歌詞。いよいよライブは終盤戦である。

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「悲しい気持ち(Just a man in love)」のお馴染みのイントロが鳴り響くと場内は最早騒然。銀テープがぶち上がるとナゴヤドームの多幸感は一気にピークへ。念願だったサビの腕振りも叶えて、めちゃめちゃ楽しいのに気を抜くと涙が出そうになってしまう。舞台上の画面には30年間のソロ活動における様々な写真が移り変わる。30年という時間の重さと、桑田佳祐という人の功績を改めて感じずにはいられない演出。

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ピアノの跳ねるようなイントロは波乗りジョニー。一気に夏の様相。お決まりの女性ビキニダンサーが出てきたと思っていると、よく見たら男性。ゴリゴリのマッチョがビキニを来て可愛らしく踊っている。なんじゃこれは!と思っていると女性ビキニダンサーもしっかり登場。盛り上がりの場面でもしっかり小ネタを挟んでくる桑田さんはやはりエンターテイナー。

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そして「シュール・混沌・カオス」という異次元の歌世界を魅せるのは「ヨシ子さん」。舞台上に出現した様々なバルーンも、ダンサーも、全てがカオス。そして舞台の真ん中、桑田さんやメンバーの裏手には小林幸子さながら、10mはゆうにあるような高さにある小さな舞台に佐藤郁実が扮する「ヨシ子さん」が。曲の世界を1mmの差異も無く、完全なビジュアル化に成功したと言ってもいいだろう。こんなポップス、こんな舞台見たことない!エンターテインメントの最果てみたいな時間。みんなで「チキドン!チキドン!」「フンガ!フンガ!」と踊り・歌い・騒ぐ。最高の5分間が終わるとメンバーは舞台袖へ。どうやら本編は終わりらしい。間髪入れずに「ヨシ子さん」がアンコールと手拍子を煽り立てる。

数分のインターバルの後、グッズTシャツに身を包んだメンバーと桑田さんが舞台に現れる。

全く予想のつかない中で始まったアンコールは「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」!!なんとここでKUWATA BAND。ファンクでアダルトな大人の世界。予想だにしなかった選曲に思わずテンションも上がってしまう。

ここでMC。アコースティックギターを手にした桑田さんはおもむろに「ここで僕たちの代表曲を演奏します...ゆずで「栄光の架け橋」」とここでもシャレを。どこまでも「笑顔」に貪欲な人だなと思わされる。そして後輩想い。一節歌った後、「あいつらキーが高すぎる」ど零す桑田さんもお茶目である。

そして「明日へのマーチ」。カントリーで爽やかな、緑の草原に風が吹くような瞬間が訪れる。

そして白い恋人達。国民的大ヒット曲の連打にもう頭がクラクラしてくるが、この曲がヒットしたかどうか以上にこの曲そのものが持つ魅力、せつなさの爆発で今日3度目の涙をここでながしてしまう私。本当に泣けるんだよなぁ... ファルセットも味わい深い。

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「まだまだ行ける~!?」と桑田さん。既に本編25曲、アンコール3曲やっているのにどれほどの体力があるのだと驚かされる。61歳とは思えない。

そんな煽りを経て歌われたのは「祭りのあと」。「情けねえ、女々しい、ダサいどうしようもない男」を描くのが巧みな桑田佳祐だが、その中でも屈指の名曲であり、アンコールの定番ソングである。「嗚呼、もうすぐこのライブも終わってしまう」と悲しくもなるし、この曲にめちゃくちゃ励まされる自分も居るしでスゴク感慨深い瞬間である。なにより一緒に参加した後輩の一番好きな曲がこの「祭りのあと」なのだが、この曲が始まった瞬間後輩は顔を覆って泣いてしまった。「連れて行ってよかったな」「こいつと一緒にライブを見れて良かったな」と、こっちまで泣きそうになってしまった。

「祭りのあと」で終わりかと思っていたら、おもむろに桑田さんはまた歌いだした。

熱い涙や恋の叫びも 輝ける日はどこへ消えたの?

明日もあてなき道を彷徨うなら

これ以上 もとには戻れない

思わず今度は僕が顔を覆って泣いてしまった。明日晴れるかな。僕が桑田佳祐という人を好きになったキッカケのひとつがこの曲だった。今がどれだけ苦しくても、辛くても、明日の空を想うことの尊さ、希望を持つことの素敵さを私はこの曲から教わった。その曲を生で聴いている、というだけでどうしょうもなく涙が止まらなくなった。

曲の最後、会場全員の1本締めで演奏を止めるという桑田佳祐ならではの締め。サポートミュージシャンを改めて紹介し、並んで手を取り合い一礼。そして流れるのは「過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)」という、今の桑田佳祐を象徴する1曲。サポートミュージシャンは舞台袖へ。桑田さんは最後に「明日からもがんばろうな!!!!!!!」と残し、舞台を降りた。「桑田さんにああ言われたんだから、頑張らなくちゃな」と思いながら、3時間にも渡る今回のライブは幕を閉じた。

 

本当にエンターテイメントの真髄を見た、というのが素直な感想です。喜怒哀楽、そしてそのどれとも言えないようなものまで、すべての感情が巻き起こりまくる3時間。エンターテイメントとはまさしく、人間そのものを映し出すことだと教わった気分。その上で「見た人が明日から頑張れる」ショー。なんて素敵なんだと。徹底的に作りこまれたビジュアルも、名曲の応酬も、桑田さんのちょっとしたギャグも。すべてがエンターテイメント性に直結している。言いたいことがないわけではないんですよ。あのがらくたの中でも1番の名曲(個人的見解です)「春まだ遠く」が演奏されなかっただとか、過去曲を言い出せばアレもコレもやって欲しかった!となるし、それはいらない...って思うシーンも無かったとは言わないし。レア曲ももう少しやって欲しかった!とも思うし。でも、そんなことがどうでもよくなるくらい最高のエンターテイメントショーでした。何よりもうね、多分理屈じゃないんですよ。本当に大好きな人だからこその!みたいな。この記事もレビューといいながら自分の話沢山しているし。もっと客観的なレビューが読みたかった皆さん、ごめんね。

嗚呼、1回じゃ足りないな...本当に最高の時間でした...!!!!!!!!

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終演後、配られた三ツ矢サイダーには見覚えのあるシルエット。来年も楽しくなりそう。

 

2017.11.18「桑田佳祐 LIVE TOUR 2017 がらくた」ナゴヤドーム公演 1日目 セットリスト

1.しゃあない節

2.男たちの挽歌(エレジー

3.MY LITTLE HOMETOWN

4.愛のプレリュード

5.愛のささくれ ~ Nobody loves me

6.大河の一滴

7.簪 /かんざし

8.百万本の赤い薔薇

9.あなたの夢を見ています

10.サイテーのワル

11.古の風吹く杜

12.悲しみよこんにちは

13.Dear Boys

14.東京

15.恋人も濡れる街角(名古屋ver.)

16.Yin Yang

17.君への手紙

18.若い広場

19.ほとときす[杜鵑草]

20.Moby Dick

21.過ぎ去りし日々(ゴーイング・ダウン)

22.オアシスと果樹園

23.悲しい気持ち(Just a man in love)

24.波乗りジョニー

25.ヨシ子さん

Enc.

1.スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)

2.明日へのマーチ

3.白い恋人達

4.祭りのあと

5.明日晴れるかな

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