菅田将暉「ばかになっちゃったのかな」の歌詞から考える、恋愛における「ばかさ」と「イタさ」について
恋愛してる時の人間ほどばかな人間は他にいなく、また、恋愛が絡めば絡むほど人はイタくなる。というのが僕の持論である。
例えば、僕の男友達Aは恋愛になると極端にストーカーっぽくなってしまうし、僕の女友達Bは振られた後1週間毎日のように夜になると「ツラい」と僕にLINEを送ってきた。正直こっちがノイローゼになるかと思った。でも、普段は2人とも悪いやつじゃない。多分彼らのこの行為は恋愛が絡むからこそ起こることで、極めて人間的だとも思う(だからといってストーカーを認めるだとか、そういうことではないのだけれど)。これらの行為はすべて傍から見たら「ばか」で「イタい」行為に他ならないだろう。これは何も僕の友人に限ったことではなく、人それぞれ起こりうることだろうし、僕だってこういう経験が皆無、という訳ではなく、むしろ間違いなく僕だってアッチ側の人間だろう。恋愛が絡むと、男女の関係となると、人間は極端にばかになるし内に秘めたるイタさが表に出てくる。
俳優の菅田将暉が音楽活動を始める、と聞いて、最初は「ええ...」と思った。人気ある時にやる事やり尽くすつもりなのかな~みたいな印象をどうしても持ってしまった。わざわざ聴くほどのことでもないか、となんとなく聴かないままでいた。そんな折、友人らとBBQに向かう車内で、聞きなれない音楽がかかっていた。
「誰の曲?」
「菅田将暉」
「え、俳優の?」
「そうそう!」
ありふれたラブソングに
感動しちゃってバカみたい
どうかしてしまったのかな
ありふれたラブソングに
感動しちゃってバカじゃない?
って見下していたのにな
僕自身、「ありふれたラブソング」に対して「スゴイ感動する~共感できる~」みたいなことをTwitterなんかで呟いている人を見ると「うへぇ...」って思うタチだった。「そんな歌詞に感動してんの?」みたいな。でも、いざ自分が片思いとかしだすと途端に「えっこの歌詞めっちゃいい...」って思いだす。
君の好きなラブソングを
必死に覚えてバカみたい
何 熱くなってんだか
このまんまの経験、僕もある。っていうか誰にでもこの経験ないかなぁ。めちゃくちゃあるあるだと思うんです。自分の趣味じゃない音楽のジャンルだろうが、自分の好きじゃない飴の味だろうが、自分の好きな人が聞いてたり食べてたりしただけで自分もそれが好きになってしまう感覚。こうやって活字にするとマジ気持ち悪いな。でも、それこそが恋愛における「ばかさ」「イタさ」だし、それをここまで言い当てたこの歌詞に僕は死ぬほど共感してしまうのだ。
らしくないよな これが恋だと思う
情けないけど それでいいとも思う
僕がこの歌に言いたいことはこの2行に全て込められていると言っても過言ではない。これこそが恋愛の美しいカタチ。「ばか」も「イタい」も上等だと。なんぼのもんじゃい。これこそが恋愛なんだと。それこそが人間なのだと。
サウンドは無骨なギターロック。菅田将暉に僕たちが抱く洗練されたイメージとはかけ離れているけれど、むしろそれがこの歌には合っている。情けない感覚がサウンドに反映されているというか。決して彼の歌唱力は高いわけではないけれど、それもこの曲には似合ってるよ。
菅田将暉、正直舐めてました。俳優がポンポン音楽やるんじゃねぇ!!って。でも、この名曲を世に放ってくれた彼に僕は感謝感激なのです。これからも聞き続けたい音楽。「ばかになっちゃったのかな」、シングル「見たこともない景色」に収録されています。是非。