Base Ball Bear「Tour バンドBのすべて」に見た「終わらない青春」【ネタバレ無】
青春。
「青春」というワードが持つ一般的な意味合いを調べてみるとこう出る。
生涯において若く元気な時代、主に青年時代を指す言葉
若さとは危うさを持ちながらも、成長を確かに感じさせるモノだろう。しかし、『大人』になったからと言って成長しない訳でもないし、危うさが無いわけでもない。いつだって人は成長できるし、危うさを持ち続けている。
Base Ball Bear。彼らが青春を歌っていたのは小出祐介の(世間一般的な)青春時代が極めて暗いもので、そんな『失われた青春』を取り戻す為だと私は考えている。しかし、上記したように人生とは「一生青春」なのだ。それに気付いた彼らは「二十九歳」「C2」というBase Ball Bear史上でも、そして音楽史の上でも金字塔となりうるような2つの傑作を生み出し、「現在地点」からの視点をそのまま歌に封じ込める事で青春を表現したのだ。
C2の中にこんな歌詞がある。
青春が終わって知った
青春は終わらないってこと
「どうしよう」Base Ball Bear
2016年3月、Base Ball Bearからギタリストが脱退した。
それは彼らにとって、僕達ファンにとって、音楽業界にとっても衝撃的な、思っても見なかったニュースだった。結成15周年、デビュー10周年の年にこんな事が起こるのか。誰もがそう思った。彼らは常に変わり続けたバンドだ。カメレオンの様に手を変え品を変え、だけど1本線の通っている明確な想いや意志、根幹を持つバンドだ。その根幹が揺らいだ瞬間だった。
彼らはそれでもなお変わり続ける事を選んだ。
今回のツアーはリニューアルベスト盤を踏まえた上で「バンドBのすべて」と、今までのキャリアを総括する様なセットリストでありパフォーマンスだった。「ベスト盤を踏まえて」と書いたが、ただのベスト盤ツアーではなく、本当の意味でBase Ball Bearの活動を総括するツアーだ。まだ始まったばかりのツアー、ネタバレを回避する為に具体的なセットリストの明記は避けるが、青春時代から大人への円熟、そして「人生とは青春である」という彼らなりのメッセージ、そして「変わり続ける事」、「あくまでも僕達は先に進む」というバンドのスタンスを再提示したようなライブだった。変わり続ける彼らが愛おしいし、これから先もずっと楽しませてくれる予感に満ち満ちたライブだった。
変わり続ける君を
変わらず見ていたいよ
「short hair」Base Ball Bear
変わり続ける彼らを私は変わらずに見ていたいと思う。ずっとずっと。