【ライブレポート】Base Ball Bear Tour「LIVE BY THE C2」に見た「Base Ball Bearのリスタート」【ネタバレ含】

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見てきました。
言うまでもなく今回のツアーはBase Ball Bearにとってもファンにとっても今までになかったモノになるという確証があった。3月頭に発表されたG.湯浅将平の脱退。その直後から始まったツアー。サポートとして湯浅とも親交が深かった元DOPING PANDAのフルカワユタカ氏が帯同するものの、やはり「今まで通りのBase Ball Bearのライブ」ではないのは見る前から明らかだった。そんな色々な思いや感情が渦巻く中で開催された今回のライブ。勿論、「湯浅の脱退」について触れるシーンやそれを思わせる選曲もあった。バンドの、それも4人だけで音を鳴らしていたバンドから1人抜けるってとてつもなく大きいことだ。そうならざるを得ないと思う。しかし、基本はやはりいつものBase Ball Bearがあの傑作、「C2」の世界観をこれでもかとぶちかましていた。くっそ真っ当に音楽に向き合っていた。正しすぎる程に前を向いているんだなと思わされた。

ここからはネタバレも含みます。



グッズの先行販売列、開場前の列、そして開場した後の会場を見てても年齢層上がったなぁと思った。岡村靖幸のピーチマークがついたパーカーを着てる人もいて、「愛おしゃ」がこのファンの高齢化の一端を担っているのかと納得してしまった。というか全然アリだと思うのね。若い人たちの格好とか見ててもフェスで「ウェーーーーイwwwwwww」ってやってそうな人ほとんどいなかった。Dickies履いてリュックにラババングチャグチャにつけてみたいな。最早ベボベはあそこから脱却したのかと感動すらした。この路線、今は砂漠に水を撒いてる段階かもしれないけど、絶対将来途轍もなく大きな花が咲く確信をした。耳が肥えてる人達がより多く集まってるんだよねきっと。やっぱりBase Ball Bearとんでもないバンドだよ!!とライブ開始前からテンション上がってた。
開演時間を5分ほど過ぎた頃、客電が落ち、いつもの入場SEである、XTCの「Making Plans for Nigel」が流れだし、フルカワ氏、堀之内、小出、関根の順にステージに姿を現す。こいちゃんが結構パンチのある柄物Tシャツ、関根嬢はワンピースにカラータイツという定番の出で立ち、堀くんも黒いTシャツ。フルカワ氏は紺のシャツ。少しの音出しの後、堀くんのカウントと共に1曲目のイントロが流れ出した。
1.「それって、for 誰?」part.1
今回のツアー、「LIVE BY THE C2」は言うまでもなくアルバム「C2」のアルバムツアーだ。そんな「C2」のスタートを飾るこの曲がツアーでも1曲目に配置された。フルカワ氏のギターはCD音源に忠実、という訳では無くそれなりに自分の色を出してる印象。かといってBase Ball Bearの世界観、原曲のイメージを壊さないようなめちゃくちゃ上手い塩梅のギタープレイなんだと感じた。流石ロックスター。イントロの「ジャーン!!ジャンジャンジャーン!!」1発でやられてしまう。今俺はBase Ball Bearの音を浴びてるんだと泣きそうにすらなる。
2.不思議な夜
2曲目でこの曲とは!!アルバム「C2」の中でも1番好きな曲。甘酸っぱくまさにキュンとする歌詞&音像ながらもよく聞くとサウンドは複雑で、Base Ball Bearの新境地といった感覚。美しさすら覚える。ここで既に涙腺がかなりキてた。
3.神々 LOCKS YOU
3thアルバム「(WHAT IS THE)LOVE&POP?」より。意外な選曲!!4月という季節柄にもピッタリな歌詞。「桜が舞うよFOR YOU」「あるがまま生きよう 愛すべきこの三千世界」。
MC①
簡単な挨拶の後、改めて湯浅将平の脱退に関するお話。オフィシャルで発表されていることが全て、という事。嘘偽りは無いと思うけど、それはそれでヤベーなと改めて思ってしまった。「フルカワさんにここのMCは簡単にしてくれ」と話があったとのことで(笑)簡単に済ませたところで次曲へ。
4.文化祭の夜
まさにファンキーな1曲。噛めば噛むほど的なスルメ的楽曲。こいちゃんのマイケル的「ポウ!!」も決まってたな〜。「十字架 You&I」といい、あのシャウトめっちゃ癖になる。
5.美しいのさ
関根嬢がボーカルを取る曲。歌詞が素晴らしい。どんなドラマチックな演出よりも日常の何気ない瞬間こそが「美しいのさ」。この歌詞をこいちゃんじゃなくて関根嬢が歌うのもまたいいんだよな〜。この曲に限らず関根嬢は益々お美しくもあり可愛さも増してた。関根嬢側にいたんだけどもうねキュン死するかと思った。あれで三十路とか嘘でしょ!?全然SHISHAMOとかSilent Sirenあたりにいても割と納得できるぞ!って感じでした。イチイチ表情可愛すぎかよ結婚してください。
6.short hair
そしてそんな「キュン歌詞」な曲が連打!やっぱり1番好きな曲なんだよなぁ。片思いの曲としても、両思いの曲としても受け取れる。そうやって聞き手に併せて世界観が移り変わる曲っていいなぁと思う。「僕は今僕のことだけ 僕が今僕のことだけ 考えられればきっと傷つかないのに 何故だろう君の事だけ 浮かぶのは君の事だけ」。何度聴いたって何度読み返したっていい歌詞。
7.曖してる
キュンキュンしてる間も無く「C2」の中でも随一のアガる曲がこの中盤に配置。めちゃくちゃテンション上がったー!!!各パートのソロもどちゃくそカッコイイ。もう跳ねまくり。お陰で足痛てぇ。
MC②
前曲の熱も冷めぬまま、ベボベ恒例のロングMCへ。ただやはりいつもと違うのは流れとしてフルカワ氏イジリだった点。こいちゃんのフルカワさんに対する最初の印象は「インテリヤクザ」だったとのこと(笑)そして今は「かわいい」という。フルカワさん曰く前者はセーフ、後者はアウトというのもまたwwww。BARKSのコラムを読んだこいちゃんのお父様から「フルカワさんいい人じゃないか」とメールが来た話はめちゃくちゃ笑ったwwww関根嬢が前髪を切りすぎて「SHISHAMOか現役時代のGO!GO!7188にいそう」というトークもしつつ、次曲へ。
ここからはしっとりめな楽曲のコーナーへ。綺麗なギターサウンドに併せた雨音のようなこいちゃんの繊細で透明感のある歌声に引き込まれる。歌詞も「究極の自分語り」な「C2」の中でも異色な楽曲。
9.どうしよう
改めてこの曲聞いたらめちゃくちゃストレートにラブソングだなーと思った。「どうしようもないほど 君のことを好きになってる」「どうしようもないほど 伝えたいこの気持ち」。こんな真っ当な恋愛してる時の気持ちを歌った歌詞もなかなか無いんじゃないかなと思った。「青春が終わって知った 青春は終わらないってこと」って歌詞に連られて気が付かなかったけど、ライブって環境はいつもと違う感じ方をさせてくれる。
10.ホーリーロンリーマウンテン
「Tour 二十九歳+一」以来の披露。あの時はまだ未発表の曲だったけど、改めてCD音源を聴いた上でライブを見るとその重くのしかかるような重厚なサウンドに呼吸すら出来なくなる感覚を覚える。
11.カシカ
一転してアップテンポな楽曲。「C2」の中でもかなり好きな曲なんだけど、思ったほど盛り上がってなかったなぁ。やっぱり前の曲から一転して盛り上がるってお客さんも大変なのかな。俺はめちゃくちゃ跳ねてたけど。
MC③
今後の活動について。アニバーサリーイヤーということもあって本来だったら今年は色んな企画を考えていたそう(こいちゃん曰く、媚びる活動)。でも、その企画は一旦バラしに。今後の活動がどうなるかは全く読めないとのこと。今回はサポートを入れたものの、今後は3人でやっていくのか、新しいことをしていくのか(こいちゃん曰く、次に名古屋に来る時は30人くらいのオーケストラを従えて来るかもしれないとのことww)、それも分からない。とにかく今は作品を作って、それで皆さんにお返ししたい。そういう旨のMCでした。ファンである僕達も彼らを信じてついていきたいと思います。「そんな意味を込めて」という前置きがあって歌われたのは...。
12.changes
本当にこの曲は彼らの節目節目にとって大切な曲になってるなと思った。「生まれ変わる」「Restart」みたいな意思を強く感じた。2番Bメロの始まりでこいちゃんが拳を強く握りしめて天に翳してたの、正直めちゃくちゃベタだけどめちゃくちゃ胸が熱くなったな。
13.真夏の条件
「ワオ!!ワオ!!」と騒ぎまくり。
14.LOVE MATHEMATICS
「1!2!3!4!5!」言いまくり。
もうこのへんで汗でビチャビチャに。
全部が全部騒ぐのは好きじゃないけど、騒ぐ所は騒がないとね〜。
15.HUMAN
本編ラスト。一転して緊張感のある楽曲。「現実」をどこまでも忠実に歌い上げたこの曲はまさに「人間の本質」を表現している。まばたきの一瞬すら惜しい。
曲が終わるとメンバーとフルカワ氏は舞台袖へはけていき、本編終了。数分の間の後、アンコールへ。
Enc1.「それって、for 誰?」part.2
アンコールはメンバー3人での演奏。本来のこの曲は「フェスが中心となってしまった邦楽ロックシーンへの警鐘」という意味合いが強い楽曲だったが、「ワンフレーズだけ 一言だけをどうしても伝えたくて」「それでもまだ何かあるような気がしてる」「それでも歌い続けてく」「地獄を超えていく」「with you」という歌詞には今のBase Ball Bearの姿を重ねずにはいられなかったし、そういう意図もあったのだと思う。その逆境を超えていく姿勢に涙が溢れそうだった。
Enc2.The End
「終わりはそう 終わりじゃない」
「緞帳の奥は暗闇じゃない」
「エンドロールは走馬灯じゃない」
「物語に終わりなんてものはない」
「「めでたしめでたし」じゃない」
「ラストシーンはスタートラインでしかない」
「僕の生活は終わらない」
「僕の生活はつづくつづく」

4人体制でのBase Ball Bearの活動に別れを告げ(つまり「The End」)、ここが新たなスタートラインなのだと誓う「宣誓」のように聞こえた。Base Ball Bearでの活動を「昔昔」のモノにしない。という彼らの意地みたいなものを感じずにはいられなかった。

どうしたって今回のライブ、「メンバーの脱退」に触れない訳にはいかない。それを踏まえた上でどういうライブを作り出すか。きっと相当考えて考え抜いてこういう構成になったんだと思うし、それは正解だったんじゃないかとも思う。結果としてではあるが、今回のツアーは「新Base Ball Bear」になるための挨拶回りであり、そのための下準備的なもの、そしてファンへの宣誓、といった多くの面を持ち合わせたファンにとってもメンバーにとっても特別なものになったのではないだろうか。
フルカワ氏にはファンのひとりとして感謝をしたい。フルカワ氏は元々湯浅との親交が深かった事もあり、今回のツアーに参加するのは思うことが多々あったのではないだろうか。結果、しっかりと引き受けてくれて、メンバーにも色々な良い影響があったんじゃないかなと思う。本当にフルカワさんにありがとうを言いたいと思う。そしてメンバー。普通ならこの状況でツアーはまずやらない。延期ないし中止にするだろう。しかし彼らは予定通り開催に踏み切った。それどころかメンバーの脱退をも吹き飛ばさんと言うような圧倒的な演奏を魅せ、再スタートの狼煙を歌でぶち上げてくれた。勿論悲しみだってあった。それでも立ち上がる姿に痛く心を打たれてしまったのだ。どこまでタフな人達なんだろうと涙すら出そうだった。1番辛いのは他でもない彼らの筈なのに。本当にメンバーの3人にも感謝を伝えたい。本当に本当にありがとう。ライブでも去り際に叫んだけどどれだけ言ったって言い足りない。

日比谷野外音楽堂でのツアーファイナル、めちゃくちゃ楽しみにしてます。

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