おやすみプンプン。

 

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)

  

おやすみプンプン」。

狂気に満ち満ちた...いや、この言葉すらも不似合いだと言わざるを得ない程、筆舌に尽くし難い作品だ。「暗い」「鬱」「狂った」「どうかしてる」。言葉で言うのは簡単だ。客観的に見ればそういう側面の大きい作品だという結論に至るのは至極当然だと思う。でもそれがこの作品の本質ではない。誰かに認められたくて堪らない。誰かに愛されたくて堪らない。誰かと繋がりたくて堪らない。人間誰しもが思うことだと思う。でもそれが報われずに悶々とした波に飲まれ続けてどうしようもなくて死にたくなってでも本当に死ねる訳もなくて何の意味もない日々を過ごし続ける人。報われたとしてもその先の新しい欲望が生まれる人。それこそが究極の人間の本質だ。欲望という名の泥沼に一生もがき続けるのが人の人生だ。これは青春漫画なんてチャチな物じゃない。「プンプン」という1人の青年の半生を器にした「永遠に続く欲望」を表現した究極の1作だ。「愛子ちゃん」と出会って以来、プンプンの人生は吐きそうになるほど報われないモノになる。でもプンプンはいつまでも「愛子ちゃん」という一筋の光を探し続ける。その一筋の光とプンプンの人生が再び交差した時、プンプンはどこまでも闇に堕ちていく。つくづく人生なんてクソの塊なのだ。愛と勇気だけが友達だなんてファンタジーの世界だ。やなせたかしの描いた世界はアンパンマンからカバオくんまで全員脳みそお花畑だから成立してるのだ。「おやすみプンプン」で描かれるストーリーの本質には1mmのファンタジーだってない。どこまでも永遠に続くリアル。現実。大好きな作品。何回読んだってこの漫画を的確に自分の言葉で語ることは出来ない気がする。一生かかっても構わないからこの作品の本質を暴き続けたい。