土岐麻子「LIVE 2019-2020 "PASSION BLUE ~冷静寄りの情熱ツアー~ "」@名古屋 CLUB QUATTROを見た!

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見てきました。本年初ライブ。

以前参加した「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2018」でReiとのコラボユニット出演を見たことはあるけど、ワンマンは初だった土岐麻子

今回のツアー前にリリースされたアルバム「PASSION BLUE」は、「PINK」「SAFARI」に続く「シティポップ三部作」の最終作、と、彼女自ら各所で話している。現代におけるシティポップと言えばSuchmosやNulbarichの名前がよく挙がるけど、土岐麻子もシティポップの文脈を汲んだミュージシャン。

とはいえSuchmosやNulbarichがそもそも80年代に流行したシティポップとは一線を画すような、アシッドジャズの風味が強い、Jamiroquai辺りから影響を受けている現代的なアプローチのシティポップだったのに対して、土岐麻子は80年代的、当時のシティポップに寄った作風なんだなと今回ライブを見て改めて感じた。山下達郎とか、竹内まりやに近い。かといってJ-POP的なテイストばかりじゃなくて、メロディに対する言葉の置き方とかは全然ポップスらしくない瞬間も多々あって。「High Line」とかまさに言葉の置き方が面白い曲だと思う。

 

彼女の1番著名な曲は「Gift ~あなたはマドンナ~」だけど、ああいう限界までJ-POP的なアプローチよりも近年のシティポップ的な作風の方が圧倒的に素敵だよなーと個人的には。

「PASSION BLUE」には「孤独」というテーマも内包されていて。

meetia.net

それは現在の東京の感覚とも物凄くリンクするなと僕は感じていて。東京五輪だなんだと騒いでいるけど、結局他人の祭だし、そんな喧噪と目まぐるしい変化の中で孤独を感じる人も多いのではないのだろうか。

印象的だったのが東京の地名、麻布とか、もっと言えば明らかに「東京」を連想させる言葉が歌詞の節々で出てきたこと。ライブ開始が東京の地下鉄と人間の血管を重ね合わせた語りのSEって時点で、かなり意識的に「東京」というモチーフを歌っているのは自明で。その理由は土岐さんが東京生まれということもあるのだろうけど、結果としてその詞が土岐麻子の作る音楽をシティポップたらしめているとも思った。SuchmosやNulbarichよりもハッキリと「東京」が作品の根底にある。
ポップスの無垢さと、ジャズのアダルトさが掛け合って生まれるシティポップの都市感。楽しく、そして気持ち良い2時間弱でした。

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PASSION BLUE(CD+Blu-ray)

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  • アーティスト:土岐麻子
  • 出版社/メーカー: A.S.A.B
  • 発売日: 2019/10/02
  • メディア: CD