星野源「ドラえもん」感想

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星野源が新曲「ドラえもん」のMVを公開した。

 

 「恋」以降、その一挙手一投足に注目が集まっている星野源が「Family Song」以来リリースする新曲は「映画ドラえもん のび太の宝島」の主題歌。そしてそのタイトルが「ドラえもん」。というのを最初に聞いた時「らしいなぁ~」とは思ったものの、同時に下手すりゃ大コケするんじゃねぇかとも思って。大丈夫かなぁと思ってたんですけど。やはりそこは星野源、日本の次世代ポップスター。流石の名曲。

まずはやっぱり歌詞ですよね。「ドラえもん」とド直球なタイトルの割に、そこまでドラえもんの世界観につっこんだ歌詞には‟表面上”なってなくて、「落ちこぼれた君」(=のび太)「出木杉あの子」(これはそのまま)「すねた君」(=スネ夫)「静かなあの子」(=しずかちゃん)「彼の歌も世界を救う」(=ジャイアン)の、ドラえもん主要キャラを彷彿とさせるのと、サビの「どどどどどどどどどど ドラえもん」あたり。表面的には。深読みすると、ちゃんドラえもんの歌になってるのに、誰もが共感できる歌詞になっていて。

少しだけ不思議な 普段のお話

もう散々各所で解説されていることではあるけれどドラえもんの作者である藤子先生はSFを「少し不思議」の略だと言っていて。それを出だしにもってくるあたりに星野源ドラえもんへの想いを感じる。

映画版はともかくとして、普段のドラえもんのおはなしって基本的に日常の延長線上の話が多いんですよね。ジャイアンにいじめられた、スネ夫に馬鹿にされた、しずかちゃんと遊びたい。あれだけSFの世界の話なのに、あくまでも日常。ドラえもんひみつ道具の現実味を抜きにすれば、僕らの半径5mで起こっていてもおかしくない話で。星野源の歌詞の魅力って、日常描写の巧みさ、僕らの半径5m圏内さだと思っているんだけど、本作もその魅力がいかんなく発揮されているなと思う。

背中ごしの過去と 輝く未来と

赤い血の流れる

今へつなごう 僕ら繋ごう

いつか時が流れて 必ず辿り着くから

君を作るよ

この歌詞ものび太視点の詞(非公式設定か、公式設定か忘れたけど、のび太が将来ドラえもんの開発者になる、なんて話がありましたよね)であると同時に、僕たち聞き手の詞でもあって。過去と未来を繋げるのは紛れもない「今」を生きている(=つまり赤い血の流れる)僕たちで。人はいわば時代と時代を繋ぐ「HUB」の役割を果たしているから、過去を生かすも殺すも、あるいは未来を輝かせるも荒廃させるかもすべては今を生きる僕ら自身であり。この歌詞に平和への祈りすら感じてしまった僕は深読みし過ぎなのだろうか。あと「君を作るよ」は子孫への言葉でもあるのかな、と。

ここにおいでよ 一緒に冒険しよう
何者でもなく でも世界を救おう

やっぱりサビのこのフレーズにもグッと来る。大半の漫画やアニメで世界を救うのはカッコいい親の七光りがあるヒーロー(ワ〇ピースとかN〇RUTOとかさぁ、そうじゃん)だけど、唯一ドラえもんの大長編は「何者でもない」筈ののび太の「やさしさ」や主要キャラの紛れもない無垢な「勇気」で世界は救われていて。だからこそ僕たち観客はドラえもん映画に感動してしまうし、その「誰もが世界を救える」ことを歌ってるこの「ドラえもん」は、それこそドラえもん映画と同じように、本当にどんな人にも大なり小なり心にグッとくるんじゃないかなと。あと僕たち「日常を生きる者」にとって「冒険」は「人生」の比喩で、「一緒に冒険しよう」というのは人生における相方でありバディでありパートナーである存在、つまり結婚を表現している、という考え方もできるなぁと。

あとメロディやアレンジも星野源らしくて良い。「恋」以降の星野源は「YELLOW DANCER」までの彼よりも少しブラックミュージック的な手法から少し距離を置いているイメージだったんだけど、今作はかなり面白いアレンジになっているなと。

イントロからスゴイ素っ頓狂なメロでアレンジですよね。でもこれもドラえもんオマージュなのかなと。ドラえもんって変なBGMがよく流れてるイメージがあって。「テッテケテケテケテッテケテケテケ」みたいなやつ。このイントロはアレに近いなあと。

音も沢山放り込むのではなくて、引き算的なサウンド。この曲の世界観に一致する為に必要な最低限の音数という印象。これより少なくするとスカスカだし、これより増やすと雑多な感じになっちゃいますよね。歌詞もそうだけど、その辺のバランス感覚が本当にこの人は絶妙だなと。熱狂的なファンでなくとも、このあたりは誰しも認めるところではないでしょうか。

後ホントこれは余談に近いんだけど、星野源のアーティスト写真の色遣いがホント好き。

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この派手過ぎないシンプルな一色を基調にしてる感じが本当にいい。どうやって決めてるんだろう。毎回いいなぁって思っちゃう。

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ジャケットもいいよね。この発想は無かったというか。デザイナーの人ホント凄いなと。

唯一、今回の「ドラえもん」で言いたい事があるとすればELEVENPLAYの振り付けかなぁ。スカートが印象的な振り付けなんだけど、中身見えちゃってて。いやそりゃ別に見せていいものなんだろうけど、子供がたくさん見るであろう今作でそれやっちゃうとなぁって。恥ずかしくて見てらんない!ってなっちゃう。少なくとも僕が子供だったらなる。そこだけちょっと。

聴けば聞くほどハマる、言葉通りスルメ曲な星野源の新曲「ドラえもん」、是非聞いてみてください。

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