絶対に推していきたいBase Ball Bear小出祐介の『アオハル×文學』な歌詞フレーズ10選
Base Ball Bearの永遠のテーマである「青春」。ボーカル小出祐介が自身の「失われた青春」を取り戻すために、彼の作る楽曲には様々な「青春」が、まるで文學のように様々な形で形容されながら散りばめられている。今回は前回の「絶対に推していきたいサザンオールスターズのカップリング名曲10選」に引き続き『絶対に推していきたい10選シリーズ』として「絶対に推していきたいBase Ball Bear小出祐介の『アオハル×文學』な歌詞フレーズ10選」と題し、小出祐介ならではの青春の世界に皆さんを引き込んでみたいと思う。あなたが過ごした青春時代をこの記事で思い出させることができれば嬉しい。
①『でも青春白書はまだ思い出ライブラリーに蔵書されない』
インディーズ時代の傑作、「BOY MEETS GIRL」より。この楽曲が作られた当時彼らはまだ「いわゆる青春時代」の真っただ中に居た。だからこそ「思い出ライブラリーには蔵書されない」と叫んでいるのだろう。
②『13月のボーイ・ミーツ・ガール 少し季節を超えてる2人』
同じくインディーズ時代の傑作「彼氏彼女の関係」より。「13月」ってなんだよ!と思わせて、「少し季節を超えてる2人」でなんか納得してしまったり。いやでもやっぱりよく分かんねぇな、と思わせといて、でも納得してしまう。そんな曖昧なフレーズながらどこか腑に落ちて「しまう」感覚があるのがこの曲の魅力。
③『永遠(とわ)に続きそうで 一瞬のワンサマー』
TVアニメ「おおきく振りかぶって」の主題歌に抜擢された4thシングル。青春とはとても儚い。だから永遠にこれが続けば良いと願ったりするし、本当に続きそうだとも思ってしまったり。そんな「青春」がこのワンフレーズにグッと凝縮されて詰まっているのだ。
④『17才 It's a seventeen 檸檬が弾けるような日々』
2ndアルバムのリード曲にして、Base Ball Bearの青春性を決定づけた欠かせない「17才」より。Base Ball Bearの歌詞には「檸檬」という言葉が繰り返し頻出する。それはまさしく「檸檬」という言葉でしか表せない感覚。17才でしか、青春時代にしか感じ得ない感覚。それが「檸檬」。
⑤「君はこれから何個の単語覚えるんだろうか」
同じく2ndアルバム収録の「SEVENTEEN ROMANCE」より。別れた男女が久々に出会う物語のなかで、「英単語帳」や「単語」という言葉が出てくるだけで一気に青春時代に揺り戻される感覚が素敵。このあたりからいよいよ歌詞に青春文学の趣が出て来る。大人と子供の狭間であるはずの青春時代だけど、その「大人」な部分はなかなかクローズアップされない。そんな「青春時代の大人性」みたいなものがフューチャーされた、他にはない傑作。
⑥「ぶっ壊したいものばかりの世界 心が逆さまになるようで」
先ほどの「大人」の話にも通じることだけど、世間一般で言われている「青春」と実際の「青春」には結構差がある。「キラキラ」「爽やか」な気持ちだけが「青春時代」ではなく、「何もかも嫌い」「ぶっ壊したい」と思うのもまた、ひとつの青春らしさと言えるだろう。そんな感情をも曲にするBase Ball Bearもまた、小手先だけで「青春」というテーマを扱っているのではないことが感じ取れる。
⑦「くちびるを湿らせて待つ25時のプール」
3.5thアルバム「DETECTIVE BOYS」収録、「Transfer Girl」より。その後も彼らの楽曲の節々で出て来るモチーフである「転校生(Transfer Girl)」がはじめて使われた楽曲でもある。「プール」って営業型のものとか屋内型のものとか様々あるにも拘らず、彼らが「プール」と歌うと途端に学校にある屋外型の25mプールを連想して、間違いなくそうだと聞き手である我々は疑わない。彼らの「青春性」が自他共に磐石な認識になっていることが分かる。
⑧「涼しい風が僕らを梳かしていくよ さらり」
本田翼とのMV初コラボにして、今や押しも押されぬ彼らの代表曲となった「short hair」より。「さらり」という擬態語が歌詞世界により丸く優しい感覚を与えている。その後の「恋する感覚 feat,花澤香菜」では「きゅるり」という誰にも思いつかないような「恋に落ちる」擬態語を発明した小出祐介。今後はどんな擬態語が使われるのだろう。
⑨「取り上げられていく全能 普通に」
Base Ball Bear最新作「光源」収録「SHINE」より。青春時代にある「全能感」、「もう俺なんでも出来るんじゃね」みたいなある種の「驕り」が、年を重ねるにつれて確実に失われていく、もっと言えば周りに取り上げられていく。「普通」という曖昧で抽象的な言葉に惑わされる。それが同時に青春時代の終焉にもなってしまう。小出祐介自身、そういう「普通」にさいなまれ続けてきたからこそ、今こういう曲を書けるのだ。
⑩「ああ、心が♯していきます」
同じく「光源」収録「すべては君のせいで」より。音楽的な♯(シャープ)として「心が高揚する」という意味だとか、「sharp」という意味で「心が鮮明になる」だったりとか。「PERFECT BLUE」で曲単位としてダブルミーニングを見事なまでに使い切った小出祐介の作家性を改めて感じさせるフレーズだ。
番外編 「こわくて開けない卒業アルバム ひとりだけ浮いてる」
番外編として(笑)。ミニアルバム「初恋」より、究極の「イケてない青春」を描いた「ぼくらのfrai awei」を。このフレーズに共感してしまう人も多いのではないだろうか。ドラマチックとかキラキラとかは無いけれど、これもまたひとつの青春か。
如何でしたでしょうか。日本語を美しく、時には鋭く使いながら「青春」というテーマを描き続ける小出祐介の「アオハル」な世界観を改めて感じ取って頂ければ嬉しいです!王道なシングル曲から隠れた名曲まで、どれも傑作ばかりです。是非色々ときいて欲しいです。では次回、「絶対に推していきたいPerfumeの胸キュン♥歌詞フレーズ」でお会いしましょう。