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ドラマと漫画と「くるりくるり」と保健室の先生

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fujimon-sas.hatenadiary.jp

この記事で話した僕のちょっとした思い出話の続きを...

上の記事で書いた、音楽に本格的にのめりこむようになる1年位前、年齢としては多分小学4年くらいの頃、自分のクラスに教育実習で大学生が来た。その実習生は保健室志望だったみたいで、ウチのクラスと保健室を往復しているような実習体系だったんじゃないかな。今でこそ大学生なんかまだまだクソガキって感じだけど、当時からしたら立派な大人。それも女性の実習生で、これがまあ可愛かったんですよ。多分。あんまり覚えてないけど。んで、多分クラス中がその実習生の虜になっちゃって。男女問わず。僕もその例外に漏れず、なんとかして仲良くなろうと思ったんでしょうね。保健室に入り浸るようになったんです。多分他のクラスメイトもそれなりに保健室に来てたと思うんだけど。そこで(本当の)保健室の先生とも仲良くなったんですよ。その先生もまだまだ新米の先生で、スゴク人気のあるような感じではなかったけど、でもスゴク愛嬌のある人というか。しばらくしてその実習生は居なくなっちゃって、自然と他のクラスメイトは保健室から足が遠のくようになったんだけど、僕だけはそれからもずっと保健室に入り浸ってたんです。例えば、ウチの小学校の保健室は外でケガしてもすぐに保健室に駆け込めるように外へのドアが特別に作られていたんだけど、友達と鬼ごっことかしてて追いかけられたらそこに逃げ込んだり。休み時間の度に保健室に行っては駄話したり、置いてある本とかめっちゃ読んだり。それこそ「キッカケ」の記事に書いた、リコーダーで「威風堂々」を演奏していた頃は保健室でリコーダーの練習したり。とにかくまあ、先生の気を引きたかったんだろうなぁ。多分。これ、普通の先生ならめっちゃキレると思うですよ。別になんか病気してるでもない、怪我もしてない、不登校でクラスに行けないってこともない、健康そのものみたいな奴が保健室に常時いるんだもん。でも、その先生は全然怒らなかった。いやまあカタチとしては怒られるけど、担任に告げ口したりとか、そういうことはされなかった。保健の先生ならではのことなのか、それ以外の理由があるかはよく分からないけど。

暫くして、音楽聞くようになったころと大体同じくらいの頃、スゴク僕がハマったドラマがあって。「小早川伸木の恋」。

以下、簡単なあらすじ。

唐沢寿明演じる主人公は大学病院に勤務する外科医。妻と幼稚園に通う娘を持ちながら、職場では様々な確執や争いに、家庭では嫉妬深い妻との生活に安息の場を持てずにいた。ある日、友人の経営する盆栽教室で出会った女性に心を魅かれたことがきっかけとなり、新しい人生を模索し始める...。

いわゆる不倫モノなんだけど、あんまり簡単に断定もしたくないというか。伸木の職場における人間関係の確執とか、異常なほどに嫉妬深い妻・妙子にある重い過去とか。ヒューマンドラマなんですよ。人間の内面って綺麗事で済ませれないというか、ドロドロしたものを内包しているからこそ人間らしい、人間の美しさは綺麗事じゃないところから生まれると僕は思っていて。当時小学5年生の僕がそこまで考えていたかはわからないけど。このドラマ、2006年の1月~3月クールに放送されたんですけど、そのクールって香取慎吾版の「西遊記」が大ヒットしてた時期なんですよね。それが理由とは言わないけど、こっちはあんまり話題になってなかった印象で。実際視聴率もそんなに奮わなくて。「西遊記」は最終回で30分近く拡大放送していたのに対して、こっちは通常通りだったのがもう悔しくて悔しくて。小学生でこんなドロドロしたのが好きってほうが世間的にはおかしな話なんだろうけど。

主題歌もめちゃめちゃ好きだったんで、それこそMDに焼いて擦り切れるくらい聞いてた。ナナムジカの「くるりくるり」。

 

くるりくるり

くるりくるり

くるりくるり 君の瞳は

輝くために空がくれたよ

くるりくるり 君の命は

悲しみ乗り越えて力になる

肉体は地の底で

溶けて水となり僕らを生かし続ける

自分らしい生き方

這いつくばっても貫いて貫き通そう

圧倒される歌詞。「命」や「生き方」を説くような言葉の数々に、それまでの価値観を粉々にされたような、でも悪い気は全然しない、むしろ胸がすくような思いすら。この曲を聴いて、「あなたはあなたらしく生きていいのだ」と教えてもらったような気持ちすら抱いた記憶。

挿入歌も良かったな。ジェイムズ・ブラントの「You're Beautiful」。綺麗な歌声で、スゴク物語にもマッチしていた。ドロドロとか、ギスギスって言葉が似合いそうな話の中で、この曲が流れてくる瞬間が唯一落ち着く瞬間というか。

なんじゃこのMV。

そんなこんなで、「小早川伸木の恋」にすっかりハマった僕は、原作コミックを買って貰ったんです。

作者は「東京ラブストーリー」の柴門ふみ。 ドラマ版と漫画版では物語の結末が違って、僕は漫画の結末のほうが好きだったんですよね。時間を超えて「恋」が繰り返されていくような終わりがスゴク衝撃的だったというか。是非いろんな人に読んでほしい作品の一つ。なんなら生涯ベスト漫画のひとつかなぁ。

こうして、一連の「小早川伸木」コンテンツを全て通ってきた僕は完全にこの作品の虜になってて。もうかれこれ1年以上保健室に入り浸ってた僕は、その話を保健の先生にもしたんでしょうね。話の流れでその先生に原作の漫画を貸すことになったのです。当時、女子、っつーかもう女子でもないか。女性とモノを貸し借りすることなんか無かったし、まして相手は大人の女性だし、っつーか学校に漫画とか持ってくこと自体そもそもどうなのよ、いやでも先生公認だしいいのか?みたいな。モノを貸し借りするだけじゃなくて、2人だけの秘密を共有している感覚がスゴクくすぐったくて。こういうのが誰かを好きになる感覚なのかなぁ。とか。色んなことが頭を巡ったり。漫画版だと女性の裸体がよく描かれてて、そういうものが「恥ずかしいもの」という刷り込みをされていた当時は、先生にそういうものを読んでるって思われたくなかったから「そういうところは飛ばして読んでますから!」って必死に弁解したり。そんなの別にいいのにね。漫画だし。そういうことも含めて、なんかとても初々しいというか、小学6年生らしいというか。

 

そんな中、先生が結婚されることになって。

 

いやぁ…スゲーショックだった覚えあるなぁ。学校も辞めちゃうって言うし。結婚相手がいたこともなんかショックだった。きっかけはあの実習生だったけど、もうそんなことどうでもいいくらい先生に惹かれてたんでしょう。

なんだかんだ言って、先生を支持している生徒は僕以外にもそれなりに居たみたいで、結婚式に生徒が行ってもいい、となったときは学年の半数くらいの人間が来てて。結婚式来てもいいって言っても、余興でダンス踊らされるだけで、あとは集合写真撮って握手だけして帰宅。そのダンスも小学6年生が踊るにしてはあまりにも子供染みていて。で、大人が生暖かい目で見てるのとかもう本当に恥ずかしくて恥ずかしくて。でも、先生のウェディングドレス姿はどうしようもなくキレイだったなぁ。

そんなこんなで、失恋した私はそのまま小学校から中学に進級して、もはや先生との接点も何もなくなってしまって。なんなら中学も卒業して高校生になって、いつしか先生のことも記憶から薄れていった頃、母校に件の先生が来ていた、と、同じ中学に通う妹から話を聞いた。わざわざ妹を探し、僕のことを聞いてくれたそうだ。その話を聞いた時、確かに心が高揚する感覚がしたのでした。

その後、時は経ち、いつも通り本屋で働いていて、レジで立っていたらやけに見覚えの歩きがする人がやって来て。誰だっけなと思いながら領収書を求められて。お名前どうしますか?と聞いてみたら市内の中学校の保健室名義で。書いている時は何の気なしに書いていたんだけど、その人が帰っていった後、よくよく考えたらあの先生だった気がするんですよね。それもなんだかほろ苦い話でね。

というわけでドラマ「小早川伸木の恋」、漫画「小早川伸木の恋」、ナナムジカくるりくるり」。おススメです。是非。

くるりくるり

くるりくるり