里咲りさ「S!NG」が僕の心を惹きつける理由

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里咲りさの新曲「S!NG」。この楽曲が公開されてまだ数時間しか経っていないのに僕の心はこの曲に惹かれっぱなしだ。何故こんなにも惹かれてしまうのだろう。

聴いてもらえばわかっていただけると思うが、様々なジャンルの音楽が所狭しと鳴らされまくるのが「S!NG」の何よりの特徴だ。それはまるで「様々な玩具が入っているおもちゃ箱」のようで、それでいて「組曲」のような圧倒的なパワーすら持っている。元々里咲りさというミュージシャンはアイドル出身の女性SSW兼社長という複雑な経緯を持っているのだが、もはや彼女はいわゆる世間一般で言う「女性シンガーソングライター」という枠に収まっていないことを証明するのがこの「S!NG」という曲なのだ。

「ジャンルも越えて 国境も越えて 性別も越えて」という歌詞が物語るように、「ジャンル」に囚われることなく、音楽をかき鳴らす様は音楽を心から好きで楽しんでいるようにも見えるし、ただただ誰かに届けたいという彼女の想いもものすごく伝わってくる。音楽に造詣が深くなけばこんな曲は作れないだろう。岡崎体育の「MUSIC VIDEO」もそうだったけど、作り手が音楽が好きじゃないとこういう作品は間違いなく作れない。

一つのジャンルを突き詰める、というのはある種正しい姿だと思うし、そうやって上り詰めていったバンドやミュージシャンは何組もいるし、それ自体を僕は否定する気は更々無い。だが、やはり僕はジャンルという誰かが作った枠に囚われずに、常に斬新で革新的な作品を作り続けるミュージシャンが好きだ。逆に同じものの焼き増しでしかなくなってしまったなと感じてしまうミュージシャンからはどうしても離れがちになってしまう。僕は創作は「模倣と裏切り」だと思っている。自分が良いなと思ったものをまずはマネしてみて、自分の色を加えて。そうして作られていくのが作品だと思う。しかし同じものばかりマネしてみても出来上がるのは「似たようななにか」でしかないだろう。聞き手を裏切るのもまた、作品がより良いものになるための大切な要素だろう。そういった意味でこの「S!NG」は、「究極の模倣による裏切り」であり、「ジャンルにとらわれない音楽の究極のカタチ」であることは間違いないだろう。誰にも予想できない、そして誰にもマネ出来ないマネ。そんな「S!NG」を含めた里咲りさのトリプルA面は明日、4月5日発売です。

2017年、流行必死の里咲りさから目を離すな。

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S!NG/410/小年小女

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