【ライブレビュー】indigo la Endワンマンツアー「インディゴミュージック」名古屋公演、見てきました!【ネタバレ含】

f:id:fujimon_sas:20160714221632j:image

 

f:id:fujimon_sas:20160714221638j:image

 

見てきました!indigo la Endのライブははじめて。ゲスの極み乙女。も見たことないので川谷絵音が率いるバンドのライブ自体はじめてということになります。

で、内容なのですが...素晴らしいライブでした!indigo la Endが歌い続けてる「哀しみ」を直にぶち当てられてる感覚。音、つまり聴覚、そして自らの目・視点、つまり視覚の両方から「哀しみ」を体感出来る。そんなライブでした。圧倒的な「藍色」さ加減。盛り上がる曲だろうが、バラード曲だろうが、根底には「青」や「蒼」、そして「藍」みたいな色彩がそこには確かにあった。哀しみから来る青い色調。

以下、ネタバレを含みます。

 

開演予定時刻を少し過ぎた頃、客電が落ち、暗闇の中に川谷絵音を筆頭にメンバーとサポートの計6人が現れる。バンドのライブの立ち位置には珍しく、ギターボーカルとリードギターは真ん中と前面右に立っているのだけれど、ドラムはやや左側裏手、そしてベースはその左側の隣にいて、ベースボーカルギターと並ばない立ち位置になっていたのが珍しいなと思った。これはひとえにリズム隊がより近くで合わせる事が出来るように、ということなのではないだろうか。ドラムの佐藤栄太郎の加入で格段にリズム隊の底力が増した彼ららしさが立ち位置からも伺える。

 

ライブは「藍色ミュージック」収録曲の「愛の逆流」からスタート。ドラムソロ、ベースソロ、そしてその両者が複雑に絡み合い、リードギター、そしてギターボーカルの両者がそこに乗っかる、エモーショナルなセッションを経て「悲しくなる前に」を2曲目から投下。そして「忘れて花束」。序盤から「藍色ミュージック」の収録曲をこれでもかと鳴らしてくれる。

メジャーデビュー作品「あの街レコード」収録曲「アリスは突然に」を挟み、「ココロネ」「藍色好きさ」「心雨」と、「藍色ミュージック」でもハイライトとなるような曲がどんどん披露されていく。ここまでの7曲、MCも無く音が鳴り止むことも無かった。ずっと地続き。スゴイ。

ここでMC。「ツアーずっと回ってきて色々あって...あ、色々ってあのことじゃないからね」と、まさかの「某騒動」を絵音自らネタにしだしたのは面白かったな。下手にタブーになるよりよっぽと健全で良いなと思った。その後も割とグダグダなMC。メリハリは無いけど、ライブのいいアクセントになっていたように思う。

グダグダなMCの余韻をバチッと絶つ、ギターの音色が鳴ったのは「雫に恋して」。本当に雫がこぼれ落ちているようなギターのサウンドと、川谷絵音の切ない歌声がピッタリ。「ダンスが続けば」「心ふたつ」と「2(つ)」が共通テーマな2曲が続いた後、それまでずっとギターを弾きながら歌っていた絵音がギターを下ろす。ハンドマイクで歌われたのは「夏夜のマジック」。エモーショナルで、涙腺がどこまでも刺激されるよう。夏の夜に聞くこの曲が何時までも続けばいいのにと思ってしまった。

2度目のMC。基本的にはやはりここもグダっとしたMC。「ダンスが続けば」を贈った結婚式の話とか髭の話とか。ゲスのライブでもよくあることらしいんだけど、MC長すぎて照明を段々暗くされてたり。

そんなMCを経て歌われたのは「eye」。女性コーラスと絵音の掠れるような裏声、そしてセリフ。「なんで人間ってこんな賢いフリして馬鹿なんだろう」という、心臓を掴まれたみたいな痛々しい本質を突きつけられる。そして「シノブ」。ピアノの旋律に絵音の「命」を歌う歌詞に会場にいるすべての人間が聞き入ってしまっていた。そんな美しい旋律の余韻を残しつつも、「風詠む季節」へ。「離れないでね」という歌詞に涙が溢れそうだ。続いて、「藍色ミュージック」を締める「インディゴミュージック」。イントロのギターのカッティングから、アウトロのカッティングまで、つつけば割れてしまいそうな緊張感に包まれる。

3度目のMC。ここも大体グダグダ。でも、やはり今回のツアーは特に緊迫した雰囲気が強いツアーというか、悲哀とか憂いの強い構成になっていて、だからこそこうしたMCは暖かみを感じて嬉しい。

それまでの張り詰めた雰囲気を一転させて、キラキラとしたロックサウンドが響いたのは「夜明けの街でサヨナラを」。それまでは比較的大人しいプレイが目立ったメンバーも、時にへお客さんと触れ合いながら、笑顔を見せていた。そして「緑の彼女」「名もなきハッピーエンド」と初期のヒットチューンを連発し、フロアが最高潮に達した所で本編は終わった。ここで写真撮影をした後、メンバーはそれぞれ舞台から一度降りた。

 

数分して、絵音1人が舞台へ。アンコールだ。アコースティックギターを抱え、「お題を貰ってその場で即興で曲を作る」とのこと。お題は忘れたけど、最終的にゲスの休日課長をdisる内容だった(笑)

曲が終わり、絵音以外のメンバーも笑顔で(というか爆笑しながら)舞台へ。課長のくだりが舞台袖では大ウケだったらしい。

落ち着いてから披露されたのは「瞳に映らない」。これもまたindigoに欠かせない1曲だろう。虹色みたいな音が飛び交う。

そしてアンコール最後に披露されたのは「素晴らしい世界」。初期のナンバーながら、絵音ひとりで歌うアウトロが印象的な1曲。今回のライブでも、演奏が止まるとメンバーとサポートメンバーは舞台袖へ。絵音は1人で歌い続けている。マイクから少し離れて、100%肉声とまでは行かなくても殆ど生声で「1人で生きていく」「大丈夫そうだ」と、切迫した歌唱をする絵音。歌い終わると深く深くお辞儀。計2回。絵音が舞台から降りると客電が点灯し、終演のアナウンス。アレは彼なりの覚悟なのかな、なんて少し思いながら僕の初めてのindigoライブは幕を下ろした。

 

生で聴くと改めて彼らの剥き出しになった感情をより強く感じさせる。「剥き出し」なんて書くとさぞ激しい感情なのだろうと思うけど、そうじゃなくて、繊細な青い感情が剥き出しになったライブだった。ここまで繊細で、少しでも引っ張ったら壊れてしまいそうな歌詞を書ける川谷絵音の才能には嫉妬しかない。どこまでもエモーショナルで、全編通して涙が溢れそうになるライブなんて他には無いだろう。今一番勢いに乗る彼らの「音」を聞き、「藍」や「蒼」、「青」を耳で感じて欲しい。