16.ヒロイン back number
武道館、そしてアリーナでのライブを経てすっかり中堅バンドの地位に上り詰めたback number。今年は月9主題歌への大抜擢もあり、まさに2015年に大躍進したバンドの1つと言って良いだろう。「ヒロイン」は、「JR SKI SKI」のCMソングに抜擢。今やこのCMソングに使われたら一流、くらいのCMなのだが、ここ数年の「JR SKI SKI」CMソングの中で一番ピンと来た曲だった。実際、今年の各地方のゲレンデでは大体この曲が流れていたらしい(友人情報)。そのくらい、直球ポップでメチャメチャ切なくて耳に残る楽曲だった。歌詞もback numberの十八番、「ちょっと頼りなくて女々しい男の恋」と冬のありきたりな景色を上手く掛け合わせていて素直に上手いと感じる。
雪が綺麗と笑うのは君がいい
でも寒いねって嬉しそうなのも
転びそうになって掴んだ手のその先で
ありがとうって嬉しそうなのも 全部君がいい
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ONE OK ROCK の今年の主な活動はやはり、アルバムの発売とそれに伴うツアー、さらには同アルバム海外盤の発売だろう。ツアーにはすべての公演にゲストアーティストを招き所謂対バン形式で開催するなど、攻め攻めな姿勢を全く崩す気配もない。この楽曲もまた、洋楽のエッセンスが色濃くしたものに仕上がっており、静かに始まりサビで爆発する一番テンションの上がる構成。シンプルにどちゃくそカッコイイ。それに尽きる。
Cry out Will you tell me now
So we say we want change and never be the same and yeah
Cry out Oh I'm burning out Can't you hear the sound?
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映画「心が叫びたがってるんだ」主題歌。
乃木坂46 はここ数年メキメキと頭角を表して、今年は紅白出場も決定している。ここまで売れた理由として挙げられるモノの一つに「アイドルらしからぬ歌詞」があるだろう。比較として
AKB48 を挙げるが、やはり彼女らの楽曲「恋チュン」や「ベビロテ」は底抜けに歌詞はポジティブだし音もポップだ。一方、
乃木坂46 の近年の楽曲は割とネガティブさが楽曲の動力になっているモノが多い。「
君の名は希望 」や今回の「
今、話したい誰かがいる 」はまさにその筆頭な楽曲だろう。「
今、話したい誰かがいる 」はコミュニケーションが上手く取れず、それ故に孤独に慣れてしまった「僕」が「君」となら普通でいられる。それは恋が故に。こんなに重いテーマながら多幸感があるし、幸せなラストを迎えている。それでいて映画のテーマともしっかりとリンクしている。中学校の合唱を彷彿とさせるピアノの旋律に心奪われる。とても素晴らしい作品。僕はアイドルには疎いが、だからこそこういうテーマの作品、他の人と違うことをしているようなモノには強く惹かれる。大体
アイドルソング って割と楽曲も100%幸せな曲ばかりだけど、人類皆100%幸せなんてありえない。少しくらいネガティブな歌があるほうが良い。
1人でいるのが 1番楽だった 誰かと一緒にいると 僕は僕じゃない
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やはり2015年の邦楽トピックとして重要だったものの一つに「
ゲスの極み乙女。 の大ブレイク」が挙げられると思う。「3大アリーナツアー」「しゃべくり007出演」「
コカ・コーラ CM曲の大抜擢」など挙げだしたらキリがないほど、まさに
爆発的なブレイクだった。だが、ゲスのやっていること自体は昨今の邦楽業界の流行りとは真逆だ。
KANA-BOON 、
ONE OK ROCK 、その他最近流行りのバンドって実はめちゃくちゃ分かりやすい音楽で。
KANA-BOON なら四つ打ちロックと呼ばれる踊りやすいテンポの曲を
BPM 早めに作る、
ONE OK ROCK なら洋楽なメロディにほとんど英語詞を付けて...みたいな。それ自体は本当に流行りだしそれをしてる人たちや聞いてる人たちが悪なんてことは当然だが毛頭思わないし、実際
KANA-BOON めっちゃライブ楽しいし
ONE OK ROCK めっちゃカッコイイし、寧ろ評価してるくらいなのだが。でも
ゲスの極み乙女。 はそれとは真逆のことやってるにも関わらずここまでブレイクしていて。この曲もJ-POP感0のどちらかと言えばクラシックを彷彿とさせるピアノの旋律、歌詞もイマイチ何を伝えたいのか分からない。要は分かりにくいのだ。でもここまでブレイクしている。要因は沢山あるだろうけどその一つに「技術力の高さ」が挙げられるのではないだろうか。ベースもピアノもドラムもめちゃくちゃ上手いんだよなぁ...疾走感もクセになる。
僕にはありあまる ロマンスがありあまる
少し贅沢をし過ぎたみたいだ
僕にはありあまる ロマンスがありあまるけど
死に物狂いで生き急いでんだ
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今年の主な活動は長期に渡るツアーとシングル2枚。活動の量としては多いんだか少ないんだかイマイチピンとこなかった
クリープハイプ 。最近のインタビューを見る限りボーカルの尾崎はかなり悩んでいるようだけど、この曲はとても良かった。恋愛の痛い部分をここまで鮮明にでも切なく描けるのは
尾崎世界観 唯一無二の強みだと思っているし、これからもどんどんその強みを利用していって欲しいと常常思っている。
頭の中では分かってるんだけど
赤でも待ちきれなくなって 行ってしまうのに
どうして青なら 安心してしまって 大事なことも言えなくなるんだろう
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やはり今年の邦楽業界における最大のトピックは「
サザンオールスターズ 10年振りのオリジナルアルバム発売」だろう。首を長〜〜〜〜〜〜くして待った人が沢山いるに違いない。実際、筆者である私もサザンのアルバムをリアルタイムで購入するのは初めてだった。7、8年の悲願と言っても過言じゃない。
この「バラ色の人生」は端的に言えば「
SNS もいいけど現実もそう悪くないぜ?」というネット漬けの私にはなんとも耳が痛い曲なのだが、特筆すべきはそのメロディ。果てしなくポップ。最初から最後までポップ。やっぱり
桑田佳祐 すげぇな!!流石のキングオブポップ!!と改めて思わされた。
愛の魔法で 君を酔わせて
裸のままの自分を 曝け出したいな
恋の波動で 胸を焦がして
横一線の世間を嗤ってやりたいな 自由でありたいな
10.夏夜のマジック indigo la End
「
ゲスの極み乙女。 」と「
indigo la End 」、決定的に違う部分は上記でも書いた通り「わかりやすさ」だろう。ゲスはめっちゃ分かりにくい。でもindigoは割と、いや相当分かりやすい構造だと思う。歌詞の内容もシンプルに失恋したときの虚無感、バンド編成もギター2にベースとドラム。一番バンドらしい、一番最近の邦楽ロックらしい構成と構図。
特筆すべきはそのメロディのポップさ。
川谷絵音 はゲスでのブレイクを上手くindigoに昇華出来てるんじゃないだろうか。特に「悲しくなる前に」以降の楽曲群は素晴らしい。この「夏夜のマジック」もまたそのうちの1曲。まさに夏の夜に夜風を浴びながら聞きたい曲。
余談だがこの曲、夏頃にメチャメチャ聞きまくってて、冬になってから改めて聞き直すと夏の匂いとか思い出が鮮明に思い出すようになった。今年の夏は
日本武道館 でサザンのライブを見たり、友人と横浜で呑んだり、鎌倉旅行に行ったりと充実した日々を過ごせていた。その思い出に寄り添ってくれたこの曲は、僕にとって理論的には説明出来ない情みたいなものが湧いている気がする。
今日だけは
夏の夜のマジックで 今夜だけのマジックで
歌わせて 今なら君のことが分かるような気がする
夏の夜の限りのマジックで 今夜限りのマジックで
身を任す 夜明けが流れるまで
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「Relax In The City」と対になるダブルA面シングルの1曲。ゴリッゴリのアッパーチューン。低音が響く響く。
Perfume はデビュー当時、
中田ヤスタカ の
テクノサウンド に慣れずにいたらしい。それは彼女らが所属していた「アクターズスクール」では所謂ディーバ的な歌唱法、つまり「感情を込めて歌う」ことしか教えていなかった。しかし
中田ヤスタカ の作り出す
テクノサウンド に感情は必要なかった。感情を込めずに歌う
テクノサウンド にデビュー当時の
Perfume はかなり苦戦したと聞く。しかし、この「Pick Me Up」では「アレ?感情込めて歌ってね?」みたいな箇所がある。具体的にはBメロ入りの部分なのだが。デビューから10年、そういう歌い方も取り入れることが出来るようになったのかと思うとそれはそれで感慨深い。サビ前の「3・2・1」のとこめっちゃカッコイイからそこだけずっと聞いてたい。
楽しい時間を 造り出して 心が 上を向いたら 笑い合おう
I wanna make my life
輝く星空のような My dream
きっと I wanna make my life bright my life
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このランキング唯一のインディーズバンド。彼らは自らのことを「生活密着型
ラウドロック 」と名乗り、様々な(彼らの)生活に欠かせないモノたちへの愛を叫んできた。例えば「
ラーメン二郎 」、「焼鳥」、「JR
南武線 」、「
ファミリーマート のホットスナック」、「
福沢諭吉 (1万円札)」、「
水曜どうでしょう 」などなどだ。そんな
打首獄門同好会 が次に愛を叫んだ相手というのが「米」だ。日本人の食生活には欠かせない「米」。定食・丼・ライスバーガー...。そのどれにも欠かせない「米」。これぞ究極のラブソングだろう。下手なラブソングよりよっぽどラブソングしてる。そこに溢れるのは「米への愛」のみだ。
日本の米 We want 米 至宝の愛
真っ白に炊きたてご飯が輝く 白米が美味いんじゃない?
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「三ヶ月連続エクストリーム・シングル」と銘打たれたシングル連続発売企画の第一弾。音がどちゃくそカッコイイ。なんじゃこれは。昨年くらいから
Base Ball Bear はベースとドラムの技術が格段にレベルアップした。そりゃあもう音楽ド素人の僕ですらハッキリと感じることの出来るくらいにはレベルアップしている。その結果こういった今までにはなかった音を作り出せるようになったんじゃないだろうか。今まではギターを中心とした音作りだったが、今や「すべての音が中心」と言っても過言じゃないだろう。
歌詞も一昨年の「The Cut」から続く「物申すぜ」的な歌詞。特にこういった比較的
若い人たち が「
SNS 批判」を展開するっていうのは目からウロコというか、上記した「バラ色の人生」とは確実に違った文脈というか。
Base Ball Bear のボーカルギターであり、作詞作曲を手がける
小出祐介 自身も思っきり
Twitter やってるしね。寧ろやってるからこういう曲が書けるのかもしれないけど。批判だけに留まるんじゃなくて「この曲こそfor誰?」としてる、言わばメタ的構造もGood。
で、それって、for 誰?
知らなくていいことばっかりだ
それって、for 誰?
君の言葉も姿も思想もライフスタイルも
それって、for 誰?
矢印は放射状だ
それって、for 誰?
『こういうこと言っちゃってるこの曲こそ for 誰?』
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「夏夜のマジック」とは打って変わって疾走感溢れる、しかしどこか哀愁の漂う1曲。音も切ないのにカッコイイ。そして歌詞。
indigo la End が一貫して歌う「失恋の喪失感」というのはやはり良い。失恋した後にindigo聞いたら絶対泣くと思う。それくらいどストレートに失恋を歌い上げてる。
悲しくなる前に あなたを忘れちゃわないと
無理なのわかってるの と夜更けに向かって走った
涙が枯れたらさ またあなたを思い出すの
触れるか触れないかで 心臓が揺れるよ 抉るような声で また呼びかけてよ
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ほんとはこの曲去年の12月の曲なんだけど、12月だしまあいいか。とランクイン(おい)。2014年12月3日にリリースされたアルバム「洗脳」の収録曲であるこの楽曲は映画「ワンダフルワールドエンド」の主題歌にもなっている。「ワンダフルワールドエンド」は監督である松居大悟が元々
大森靖子 のMVを撮っていて、映画もその集大成的な作品となっており、いわば「
大森靖子 映画」なのだが、特にこの「呪いは水色」が素晴らしい。切ない歌声にふつふつとこみ上げるような力強さ。歌詞も
大森靖子 にしか作り得ないような世界観が出来上がっている。「私たちはいつか死ぬのよ」という歌詞には人生を悟ったような極地すら感じさせる。
生きている 生きてゆく 生きてきた 愛の隣で
私達はいつか死ぬのよ 夜を越えても
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Perfume 結成15周年に「
Perfume から
Perfume に」捧げる愛の歌。決して楽な道のりではなかった自らの15年を見直し、その上で自らのこれからも「いつだって今がスタートライン」とし、「初心を忘れない」ことをファンに宣言する姿は美しい。
I don't want anything いつだって今が Wow 常にスタートライン
Music is everything 遥かなユニバース Wow 走れSTAR TRAIN
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これぞ
サザンオールスターズ !!!これぞ切ないポップバラード!!!これぞ「頼りない女々しい男」ソングの頂点!!!くらいの勢い。やっぱり
桑田佳祐 にダメ男描かせたら一番だ。それは彼がそういう人だったからこそなのだろうが、そのDNAはback numberあたりに是非継いでいって欲しいものである。
また、この曲が収録された「葡萄」の作風故に深読みがめちゃくちゃ出来るのもこの曲の大きな魅力だが、ここはまあ割愛しよう。とにかくサザンのこういう曲が久々に聞けたのはスゲー嬉しかった。
君の彼氏になりたくて 命に代えたって
空のブルーに 目が眩んで 抱き寄せた 裸のエンジェル
「三ヶ月連続エクストリーム・シングル」の3枚目にして、アルバムC2の先行シングル。この前に発売された「「それって、for 誰?」part.1」そして「文化祭の夜」が、それぞれポップさよりロックさ、カッコよさ、ダークさみたいなものが強い2枚だったから「3枚目、そして次のアルバムはポップなものは期待出来ないなぁ」と思っていたらまさかのどポップでどちゃくそキュンキュンする大人の青春ソングだった。やべぇよこんなデートしてぇよ。これに関しては既に別記事に纏めているのでそちらを見て欲しい。→
Base Ball Bear「不思議な夜」の不思議 - Hello,CULTURE
ただ、この楽曲もポップだけで終わってないというか、やはりそこが
小出祐介 らしいなと思ったりもしたのだが、1番の「築地でお寿司!24時間営業のチェーン店でも市場クオリ
ティー なの」みたいな歌詞をメロにああいう当てはめ方するのはすごいヒップホップ的というか、新しいなぁと感心させられた。
不思議な夜が 僕らをつつんでくよ
子供みたいな 無邪気で無垢で無駄で永遠で
素敵な夜だ 左を見ればほら 君が「ん?」って顔してる
不思議な夜が僕らをつつんでくよ
ドラマみたいな 奇跡めいて何気なく突然で
ビルの隙間静かに月が微笑む
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一位は「雫に恋して」
indigo la End 。まーたindigoかよ!!という声が聞こえてきそうだ。許せ。それくらい今年のindigoは凄かった。もう怒涛だった。すんごかった。
「幸せが溢れたら」→「悲しくなる前に」→「夏夜のマジック」とグイグイポップさと切なさを増していった
indigo la End 。今作ではその集大成とも言えるくらいにポップさと切なさに磨きがかかっている。
止められないの 溢れてしょうがないから
意味もなく声を出すんだ よそいきの服を濡らして夜が明け
泣けてきたって 伝うまま流れるだけ
温度が変わらないままで 落ち着く場所を探して 明日を迎える
もう御託はいいから聞いてみて欲しい。
きっとサザンの切ない湘南ポップとか、
Mr.Children の普遍的なバラードとか。そういう楽曲が好きな人は少なからず気に入ってもらえると思う。
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と、いうわけで改めてランキングを記載しておく。
16.ヒロイン back number