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#ベストアルバム2016

2016年も残り僅か。2016年邦楽の総決算として、前回のベストソング2016に引き続き、ベストアルバム2016を発表します。

ベストアルバムは10作品。

⑩「SMAP 25 YEARS」SMAP

今年いっぱいでの解散が決定しているSMAP解散前最後のTV出演も既に終わっているのにも関わらず、未だにSMAP解散するという事実を受け入れ難いというか、本当に解散するの?と疑心暗鬼になってしまう。それくらい彼らは僕たちの生活に当たり前に存在していた。それこそ生まれた時から在ったものだったのだから、そりゃ受け入れ難いのは当然と言えば当然なのだが。彼らの25年を総括したこの作品、流石の3枚組重量級の出来。日本の社会に当然のように根付いていた色んな曲がCD3枚に散りばめられる様はやはり圧巻だが、それ以上に「ファン投票」で収録曲が決定したからこその「レア曲」や「世間には知られてない名曲」が多く収録されているのがこの作品最大のポイントではないだろうか。「STAY」「BEST FRIEND」「FIVE RESPECT」。いずれも曲としての良さもさながら、今回の騒動を経て聞くと益々泣けてしまうのは僕だけではないだろう。

smap25years.com

⑨「君の名は。RADWIMPS

2016年最大のヒット映画「君の名は。」は、劇中で使われる音楽をRADWIMPSが担当。このアルバムはRADWIMPSのアルバムではなくあくまでも映画「君の名は。」のサウンドトラックとしてリリースされた。主題歌4作(「夢灯籠前前前世スパークル、なんでもないや」)もさながら、インストの出来も非常に良い。RADWIMPSとしてではなく、あくまでも「君の名は。」という作品に寄り添うような曲で占められている。ピアノやバイオリン・アコギがフューチャーされたインストは、ロックバンドの作品とは思えないようなものばかりで、映画音楽としてだけではなく、僕たちの生活のなかにもしっかりとマッチしそうな作風な点がとても素敵だなと思う。


「君の名は。」予告

⑧「世界観」クリープハイプ

今までのクリープハイプから抜け出し、新しいことに積極的に挑戦し、またその結果が如実に表れたのがこの「世界観」という作品なのではないだろうか。何故、尾崎世界観は自らの名前をこの作品に込めたのか。それはきっと変わり続けることこそ、進化をし続けることこそが自分であり、それをこの作品を以って体現したからだろう。次の作品が楽しみで仕方がない。

fujimon-sas.hatenadiary.jp


クリープハイプ - 4th ALBUM「世界観」全曲トレーラー映像

⑦「YELLOW DANCER」星野源

ソウルやR&Bなどのブラックミュージックの要素をポップスに昇華したこの作品は、2016年初頭の邦楽界に革命的な衝撃を与えたのは間違いない。「地獄でなぜ悪い」「SUN」などのシングルヒット曲もさながら、「時よ」「Week End」「ミスユー」などのアルバム曲も全部キャッチー。その癖ブラックミュージック的な要素もあって一筋縄ではいかない。現代におけるTOP OF THE POPS桑田佳祐なら、彼こそ未来のポップススターではないだろうか。「恋」のヒットも記憶に新しい。次作は間違いなく傑作になる事だろう。

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⑥「COSMIC EXPLORER」Perfume

前作「LEVEL 3」から早3年。Perfumeがアニバーサリーイヤーを超えてドロップした作品は、途轍もなくコンセプチュアルな、まさに「世界規模」「宇宙クラス」な作品だった。既にリリースされていたシングル曲以上に、披露はしていたモノの音源としては今回初収録となった「STORY」や映画主題歌となった「FLASH」、「Miracle Worker」などのアルバム曲の破壊力たるや。凄まじいことこの上ない。シングル曲もアルバム用にリミックスされたものばかりで、アルバムの世界観がより強固になっている。フィナーレとも呼びたくなる「Hold Your Hand」でのフィニッシュは涙なしでは聞けない。


[MV] Perfume 「FLASH」

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⑤「We love Tank-top」ヤバイTシャツ屋さん

1曲目の「We love Tank-top」の『演出』に大いに笑い、ラス前の「流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い」でホロリとし、「ネコ飼いたい」で圧倒的なエモーショナルに包まれる。まさかヤバTに泣かされるとは思っていなかった。その理由はひとえに構造の巧みさだろう。笑いと感動は紙一重だ。次はどんなアクションを起こしてくれるのか。楽しみで仕方がない。

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④「藍色ミュージック」 indigo la End

indigo la Endは一貫して「恋愛における喪失の切なさ」を歌い続けてきたバンドだった。そこに加えてメジャー1stアルバムの「幸せが溢れたら」以降のindigoはそれに加えて「命の刹那さ」も歌ってきた。今回の「藍色ミュージック」はその要素がより強くなったように感じる。「ココロネ」「インディゴラブストーリー」などはまさに「生命の儚さ」を歌う楽曲だろう。indigo la Endというバンドが持つ切なさと相まって、よりいっそう儚さが増幅される。


indigo la End - 愛の逆流

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 ③「人間開花」 RAWIMPS

ドラマーの休養、「君の名は。」という作品との出会いを経たRADWIMPSが放ったのは圧倒的な明るさを宿した、RAD史上No.1にポジティブなアルバムだ。「前前前世」「スパークル」などの「君の名は。」の楽曲もアルバム仕様になって収録されているが、「光」「ヒトボシ」などのアルバム収録曲も圧倒的な感動を与えてくれる。勿論、明るさだけではなく、RADらしい鬱蒼さは秘めてはいるが、決して表立って出ては来ない。RADWIMPSからこんなポジティブな作品が出てくるとは思ってもみなかった。光に突き進むかのようなアルバム。


人間開花 ダイジェスト

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 ②「幸福」岡村靖幸

岡村靖幸12年ぶりのアルバムは「幸福」。まさにその名の通り、どこまでも幸福を感じさせるアルバムだ。幸せとは何か、幸福とは何か。それを見事にポップスに昇華した見事なアルバムだろう。一切の隙がない。


岡村靖幸 w 小出祐介「愛はおしゃれじゃない」

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①「Fantōme」宇多田ヒカル

宇多田ヒカルが復活する。その事実だけで「事件」なのに、配信シングルを出して、アルバムを出して、そのすべてが傑作。こんなことは他にないだろう。母親の死、自らの出産を越え、自分自身が母親になり、その全てを作品に還元することで、誰もが避けて通れない「生」と「死」が音楽になる瞬間。どこまでも内向的なのに、どこまでも壮大。


宇多田ヒカル「花束を君に」(Short Version)


宇多田ヒカル「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」(Short Version)

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以下、アルバムまとめ

①「Fantōme」宇多田ヒカル

②「幸福」岡村靖幸

③「人間開花RADWIMPS

④「藍色ミュージック」indigo la End

⑤「We love Tank-top」ヤバイTシャツ屋さん

⑥「COSMIC EXPLORER」Perfume

⑦「YELLOW DANCER」星野源

⑧「世界観」クリープハイプ

⑨「君の名は。RADWIMPS

⑩「SMAP 25 YEARS」SMAP

 

今年はアルバムも本当に良い作品ばかりでしたが、やはり宇多田ヒカルが圧倒的。素晴らしすぎた。何度でも聞きたくなるアルバムでした。

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#ベストソング2016

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12月も半ばです。早いモノですね。今年もまた沢山の音楽を聴き、感じることが出来ました。毎年恒例のベストソング。今年も僕の独断と偏見で20曲+αをランキングしてみました。良ければお付き合いください。

 

20.「両成敗でいいじゃない」ゲスの極み乙女。

今年は何かと話題に事欠かさなかったゲスの極み乙女。不倫騒動と未成年飲酒騒動のダブルパンチで世間からは袋叩き。挙句12月4日のライブを以っての活動自粛が発表されている彼ら。丁度不倫騒動が表沙汰になった1月頃にこの曲はアルバムのリードトラックとしてリリースされた。その歌詞がやけに不倫騒動を彷彿とさせ、聞いた者の皆をドキッとさせたのではないだろうか。シンセサイザーの浮遊感のあるサウンドからの唸るようなギター。イントロだけでもゾクゾクとさせるような展開だ。既に新曲のMVも発表されていた彼らの活動自粛は残念だが、活動再開とリリースされるはずだったアルバムの再リリースを心待ちにしたい。


ゲスの極み乙女。 - 両成敗でいいじゃない

19.「ハルジオンが咲く頃乃木坂46

乃木坂46が3月にリリースした14枚目のシングル。明るさの中にある切なさは情緒すら感じさせる。「別れ」とは切なさや悲しみという感情を抱かせる瞬間だが、そこにあるのは未来への確かな希望。ハルジオンの花言葉は「追想の愛」。「過ぎた日のことを思い出す」という意味のその言葉はまさしくこの曲に込められたメッセージだろう。「今、話したい誰かがいる」「君の名は希望」といった彼女達の代表曲に勝るとも劣らない曲になっただろう。彼女たちにはこういう曲が似合う。


乃木坂46 『ハルジオンが咲く頃』Short Ver.

18.「さらば涙」ケツメイシ

その名の通り、涙を越えて幸せへと向かう人への応援歌。今までのケツメイシを総括しつつも、確かな未来を感じさせる喜びに溢れた曲だ。Ryojiの歌声は儚くもあり、温かさをも感じさせる。

「いつか泣いた数だけ幸せになる」

「まあ 生きてりゃいろいろあるからさ 上向いていこうか明日からは」

ド直球の応援歌、というのはどうも好きになれない僕だけど、この曲はスッと心に入り込んできた。

ミュージックビデオの鈴木ちなみも可愛い。


ケツメイシ / さらば涙 MV

17.「Feel like」[Alexandros]

 アルバム「EXIST!」からのリードトラック。そうじゃなくても今までだってオシャレさの塊みたいな音楽性とルックスでここまで来た彼らだけど、この楽曲はその最たるものではないだろうか。日本人離れした、つまりは明らか過ぎるほどに海外を見据えたサウンドからは[Alexandros]らしい「スマートさ」を感じさせる。初期はロックバンドらしいサウンド、「starrrrr」なんかはその好例だろうが、そこを越えて「Feel like」や「Girl A」、「NEW WALL」のような曲が作れるようになったのは素晴らしい。そのうちちゃんと聞きたいなと思う。


[Alexandros] - Feel like (MV)

16.「Paradise Has No Border」東京スカパラダイスオーケストラ

東京スカパラダイスオーケストラKen Yokoyamaという異色のコラボレーションとなった「道なき道、反骨の。」のカップリングとして収録された「Paradise Has No Border」。「氷結」CMソングとしてさかなクン志村けんともこの曲でコラボレーションしている。お茶の間でも定着している1曲なのではないだろうか。「スカ」というジャンルは日本にはあまり馴染みのあるものではないが、この曲の圧倒的なキャッチーさ、そして巧みな演奏技術はジャンルという枠を飛び越えて音楽ファン皆が感じることのできる部分だろう。様々な楽器が絡み合う様は他のバンドにはない彼らの持ち味なのではないだろうか。インストながら頭にこびりついて離れない。


東京スカパラダイスオーケストラ 「Paradise Has No Border」(Live Ver.)

15.「できるだけ純情でいたい」岡村靖幸

岡村靖幸12年ぶりのオリジナルアルバムとなった「幸福」の1曲目を飾る「できるだけ純情でいたい」。不穏さのある雷鳴のSEから、ベースやギターが静かに唸る様や、岡村ちゃんの息を吐くような歌声はまさしく「岡村靖幸節」。12年の間に酸いも甘いも全部経験した彼の「復活の狼煙」のような感慨さえ感じさせる1曲だ。ギターソロがまた憎いくらいにエロみを感じさせる。やはり岡村靖幸の音楽はどこまでもセクシーだ。


岡村靖幸 映像作品「幸福2016」予告編

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14.「最後の将軍 feat,森の石松さん」レキシ

レキシの5thアルバム「Vキシ」の最後を飾る、松たか子をゲストボーカルに迎えた1曲。一応、徳川慶喜大政奉還がモチーフになってはいるものの、「将軍」「幕府」という2ワードを無くしてしまえば完全に恋愛ソングじゃねぇか!ってなくらい切ない歌詞が沁みる。

「はなればなれ運命(さだめ)ならば忘れてしまおう」

「こらえていた涙がほら流れてきたの」

なんてせつないのだ。ほんとにレキシかこれ。松たか子の歌声もまたいい味出してる。レキシネーム「我が家の家宝」こと女優、夏帆とレキシが演じるMVも良い。「SHIKIBU」のMVも良かったけど、僕はこのMVの生活感がとても好き。夏帆も可愛い。


レキシ - 「最後の将軍 feat. 森の石松さん」 Music Video+メイキング

13.「だんご三兄弟」バックドロップシンデレラ

NHKおかあさんといっしょ」のオリジナルナンバーとしてあまりにも有名な「だんご三兄弟」を、インディーズロックバンド「バックドロップシンデレラ」がまさかのカバー。その意外っぷりに目をひん剥いた覚えがある。J-ROCKを中心に据えつつも世界中の民族音楽を取り込みながら楽曲を作る彼らと、いわば童謡に近いような「だんご三兄弟」が果たしてどれだけ噛み合うのかと疑いながら音源を聞いてみると、これがまあ見事なコラボレーション。テンポの凄まじい変化、バイオリンとドラムを中心のそれぞれの楽器が複雑に絡み合う巧みな演奏力。まさしく彼らが提唱する「ウンザウンザ」な「だんご三兄弟」。


バックドロップシンデレラ「だんご3兄弟」COVER

12.「majority blues」チャットモンチー

元徳島での主催フェス「チャットモンチーの徳島こなそんフェス2016」を大成功に収めた彼女達。春先から首都医校大阪医専名古屋医専のCMソングとしてオンエアされていた「majority blues」は、ギターとドラムが中心のサウンドと、しめやかながらも力強い橋本絵莉子の歌声が特徴的な楽曲。ここで歌われるのは100%の自分語り。バンドを組み始めた時のこと、上京したての時のこと。それらが鮮明に語られる。

「マママママジョリティー みんなと同じものが欲しいだけど」

「マジョリティ、マイノリティー みんなと違うものもほしい」

「自分とは何なのか」「自分が人と違う所は何なのか」と自分に問い続ける歌詞に僕はひどく共感してしまう。人類の永遠のテーマがここにあると僕は思う。みんな違う人間のはずなのに、なぜか人と合わせて生活してみたり、同じように過ごしてみようとしてしまう。その辛さ。


チャットモンチー 『majority blues』(Short Ver.)

11.「怒りをくれよ」GLIM SPANKY

某還暦バンドのボーカルが絶賛しまくっていたGLIM SPANKY。もうね。そら絶賛するわなってくらいめちゃくちゃカッコいい。ハスキーボイスの頂点みたいな松尾レミの声と、王道ど真ん中をぶち抜くようなロックサウンドがとんでもないくらいに相性抜群。今の邦ロックの主流とは大きく外れた音楽性だけど、これこそが純然たるロックバンド。歌詞もハードボイルド過ぎる。いしわたり淳治との共作とはいえ、25歳そこそこの女の子が書く歌詞じゃない。何にこの子は怒っているんだと不安すら覚える。でもそこがこの曲のカッコよさの大きな要因になっているのではないだろうか。これからどんどん売れていく気がする。ワン○ースの主題歌とかやってる場合じゃない。


GLIM SPANKY-「怒りをくれよ」Music Video(Short.ver)

スポットライト①「Little Bee」里咲りさ

ランクインとはならなかったものの、是非推したい1曲としてスポットライト枠を2つ用意させていただきました。1つ目は里咲りさ「Little Bee」。アイドル上がりだからこその自己プロデュース力の高さが素晴らしい。普通に曲良い。可愛い。文句なしかよ。

「きっと言い慣れているその言葉 一人占めしたくって」

歌詞すらもキュートすぎる。可愛すぎかよ。

いわゆる「女性シンガーソングライター曲」としてとても優秀なのではないだろうか。社長かわいいよ社長。


里咲りさ-Little Bee

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10.「鬼」クリープハイプ

今までのクリープではない、新しいクリープハイプを提示した1曲。電子音っぽさのあるギターサウンドが新鮮。ニューアルバム「世界観」の曲はどの曲も新しいサウンドに挑戦していて、それ故に今までのクリープを想像していると面食らってしまう部分もあるのだけれど、根底にはクリープハイプらしさが残っているのがまた素晴らしい。歌詞は小説「祐介」の執筆によってますます切れ味が増した生活感もさることながら、色んな解釈が出来るある種のミステリアスさの漂う感じも素晴らしい。「自分とはなんなのか」という自己への問いかけ・葛藤の歌と取るか、ホラー的な歌詞と取るか、アイデンティティの歪みと取るか。どう解釈するかは聞き手次第ではないだろうか。


クリープハイプ -「鬼」MUSIC VIDEO (藤原竜也主演ドラマ「そして、誰もいなくなった」主題歌) & 短編映画「ゆーことぴあ」トレーラー映像

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9.「サイレントマジョリティー」欅坂46

欅坂46のデビュー曲「サイレントマジョリティー」。「声を上げない者は賛同している」という「どこかの国の大統領」がいつの日か口にした言葉は、現在の日本の現状にも大きくつながるところがあるだろう。「政治的」な曲だという意見も散見するが、なにもこれは政治に限ったことではない。何事においても「声を上げる」ことに対しては否定的ではなく、肯定的であるべきだが、とりわけ若者が声を上げることに大人たちが否定的なスタンスを取ることは良く見る光景だ。少子高齢化が進む中で、世間において若者は絶対的にマジョリティになってしまう。それでも声を上げよう。自分という殻から抜け出し、つまらない見栄やプライドでベタベタに塗り固められた大人に負けるなと若者、果ては世間を鼓舞する曲であろう。若干14歳にしてセンターを務める平手友梨奈のキレッキレの表情やダンスも見所。ヒトラー衣装問題で騒動になった欅坂だけど、まだまだデビューしたて。これからもその攻め攻めな楽曲や活動スタンスを維持してほしい。アイドルの新しい形をどんどん創り出してほしい。


欅坂46 『サイレントマジョリティー』

8.「MUSIC VIDEO」岡崎体育

「今年ブレイクしたミュージシャン」は例年より豊作だった。欅坂もそうだし、ピコ太郎やRADIOFISHなどの芸人枠もそうだろう。僕が一番ブレイクしたなぁと思っているのがこの岡崎体育だ。打ち込みのキレキレ楽曲に乗っかるのは「ミュージックビデオあるある」。バカバカしいことこの上ないのだが、それがまた人々の共感に次ぐ共感を呼んだ結果がこの2016年最大のブレイクに繋がった。ハッキリ言って音楽性としては邪道も邪道なのだが、このガラパゴス化が激しい音楽業界にとってこの邪道さは大きな武器になる。Mステでの「Voice of Heart」のパフォーマンスも大好評だった。ポケモンの主題歌にも抜擢された。他のどんなアーティストよりもこの先が楽しみなミュージシャンだ。


岡崎体育 「MUSIC VIDEO」Music Video

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7.「藍色好きさ」indigo la End

今年はSg「心雨」を経て、Al「藍色ミュージック」をリリースしたindigo la End。Drumの佐藤栄太郎の加入によってグルーヴが一層強化されたindigo。フロントマン川谷絵音の歌詞はますます「切なさの境地」へと歩を進め、楽曲から漂う風格は最早大御所バンドのそれだ。この「藍色好きさ」もまた、ドラム先行で始まるイントロから今のindigoのモードを感じさせるし、「君が好きだってこと以外はこの際どうだっていい」という歌詞からはやはり、今の若手の中じゃ川谷絵音だけにしか出来ないような表現の巧みさを感じずにはいられない。ゲス乙女同様、彼らもまた自粛期間に突入した。毎アルバムが傑作の連鎖だっただけに、この空白期間は実に勿体無いとどうしても思ってしまうが、帰ってきた暁にはまた涙してしまうような名曲を僕たちに聞かせてほしい。


indigo la End - 藍色好きさ

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6.「あつまれ!パーティピーポー」ヤバイTシャツ屋さん

「今年一番ブレイクしたミュージシャン」が岡崎体育だとすれば、こちらは「今年一番ハマったバンド」だ。ヤバイTシャツ屋さん。笑いとは常に批評的な視点と深い関係性を持っていて、それを最も巧みに使いこなすバンドが彼らだ。「あつまれ!パーティピーポー」もまた、その批評性の巧みさが面白さに繋がっている1曲だろう。「ショートカットでツーブロックの女は大体ダンス上手い」ホントかよ!?って思いつつも妙に納得してしまうのは僕だけではないだろう。


ヤバイTシャツ屋さん - 「あつまれ!パーティーピーポー」Music Video[メジャー版]

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スポットライト②「祭りのあと(2016 ver)」Base Ball Bear

Base Ball Bearが3人体制になって初めての音源リリースは、彼らの音楽の原点であるNUMBER GIRLのギタリスト田渕ひさ子をギタリストに招き、1stアルバム「C」から「祭りのあと」の再録版となった。この曲は所謂「化け曲」というか、ライブで演奏するたびどんどん進化した楽曲だ。それ故に、ライブ版の音源とCD音源に大きな差(主にテンポ感において)が出来ていた。今回、再録にあたってテンポ感が元の音源とライブアレンジの中間程度にとられていて、元のCD音源と比べると爽快感や疾走感をより感じるアレンジになっている。なにより特筆すべきは田渕ひさ子の演奏だろう。中盤に配置されたギターソロなんかはむき出しの音がかたまりにになって聞いている僕達に襲い掛かってくるような感覚。NUMBER GIRLをはじめとした長い経験を、その姿に憧れて音楽を始めた後輩に還元している様を見ると、まだまだ音楽業界も捨てたもんじゃないなと思わされる。なによりも、ギタリストというバンドの片腕を失い、田渕ひさ子の音楽に当てられた彼らの今後の作品が楽しみで仕方ない。


Base Ball Bear - 360度版「祭りのあと」(2016ver.)

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5.「FLASHPerfume

映画「ちはやふる」の主題歌として、そしてAl「COSMIC EXPORER」のリード曲として配信リリースされた1曲。映画「ちはやふる」の和や協議かるたの世界観をモチーフとしつつも、彼女たちのライブそのものやライブに対する思いやスタンスとも捉えれそうな歌詞が俊逸。アルバムリミックスは正直イマイチだが、配信ver(主題歌ver)は新しいPerfumeメゾットの新機軸という感じで、今後も彼女たちの代表曲として歌われていくだろう。実際のライブでの盛り上がりも圧倒的だった。


[MV] Perfume 「FLASH」

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4.「ヨシ子さん」桑田佳祐

昨年、サザンとして「葡萄」という金字塔を打ち立てた桑田佳祐。2月に還暦を迎えた彼がソロとしてリリースしたのは「前代未聞」とすら言いたくなるような奇抜な1曲だった。「ヨシ子さん」という名を関したこの曲は、打ち込み中心ながらも無国籍さの漂うサウンドに意味があるようでないような歌詞が乗る、それまでの「葡萄」や他に公開されていたソロ新曲とは明らかに趣が異なる楽曲がシングルのA面としてリリースされることの衝撃たるや。桑田ファンに留まらず、すべての音楽ファンの度肝を抜いたこの「ヨシ子さん」。「意味がない」という「意味」を2016年の音楽シーンに打ち立てたこの曲の意義は大きい。


桑田佳祐 - ヨシ子さん

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3.「花束を君に宇多田ヒカル

2010年以降、「人間活動」のために活動を休止していた宇多田ヒカル。春先に突如活動再開を宣言。同時に彼女がNHK朝ドラのために発表したのがこの「花束を君に」だ。それまでの宇多田ヒカル作品とは明らかに趣の違う、宇多田ヒカルの生の感情がそのままドロップされたような歌詞には、彼女に起きた「人間活動」期のすべてが詰まっている。母親の死、そして自らが母親になるということ。この2つを同時期に経験したからこその「花束を君に」、そして「Fantôme」これからの宇多田ヒカルに期待しかない。


宇多田ヒカル「花束を君に」(30s Version)

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2.「前前前世RADWIMPS

今年最大の大ヒットを記録した映画「君の名は。」の主題歌こそがこの「前前前世」。映画の世界観とモロに合致した底抜けすぎるほどにポジティブな歌詞。前作までのRADからは到底考えられなかったような歌詞だ。そしてサウンドも又、1周回って王道ギターサウンドに着地した、といった感慨。その2つの要素が重なったときに、2016年の邦楽でも随一のキャッチーさに溢れたこの「前前前世」が完成したのだ。何度聞いてもこのキャッチーさに心を撃ち抜かれてしまう。間違いなく今後のRADWIMPSにとってかけがえのない1曲になると同時に、邦楽ロック、果ては日本音楽界にとっても大切な曲になるのではないだろうか。


前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV

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1.「恋」星野源

今年最大の大ヒット映画が「君の名は。」ならば、今年最大の大ヒットドラマは「逃げるは恥だが役に立つ」であろう。ガッキーの可愛さ、軽快な作品なようでそこに込められた日本に蔓延する社会問題に対する回答、そして星野源の草食系男子の完成形のような演技、そして彼自身が歌う主題歌「恋」。世間では「恋ダンス」ばかりが取りざたされているようで、実際振付師はPerfumeリオ五輪閉会式の振り付けを担当したMIKIKOということで、振り付けそのものも複雑だけど覚えやすくて、曲に込められたものもキチンと振り付けに昇華されていて、なによりポップで素晴らしいのだけれど。僕がこの曲を何故1位にしたのかってそれはこの曲が果てしなくキャッチーだからだ。イントロの中華風のメロディとサウンドにはじまり、星野が得意とするブラックミュージックの要素をちりばめながらも、Aメロ、Bメロ、サビ、大サビに至る全てが果てしなくキャッチー。ポップスとして大優秀で大傑作である。「前前前世」も「恋」も、キャッチーだから売れた、というのが僕の持論。勿論最高のタイアップがついたことも要素としてはあるだろうが、例え良いタイアップが付いたとしても売れないものは売れない。各々の特色はキチンと盛り込みつつも、最終的な帰結が大衆への求心力の高いキャッチーなポップスだったからこそ「前前前世」も「恋」も売れたのだ。


星野 源 - 恋 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

 

改めてランキングはこちら。

1.「恋」星野源

2.「前前前世RADWIMPS

3.「花束を君に宇多田ヒカル

4.「ヨシ子さん」桑田佳祐

5.「FLASHPerfume

6.「あつまれ!パーティーピーポー」ヤバイTシャツ屋さん

7.「藍色好きさ」indigo la End

8.「MUSIC VIDEO」岡崎体育

9.「サイレントマジョリティー」欅坂46

10.「鬼」クリープハイプ

11.「怒りをくれよ」GLIM SPANKY

12.「majority blues」チャットモンチー

13.「だんご三兄弟」バックドロップシンデレラ

14.「最後の将軍 feat.森の石松さん」レキシ

15.「出来るだけ純情でいたい」岡村靖幸

16.「Paradise Has No Border」東京スカパラダイスオーケストラ

17.「Feel,like」[Alexandros]

18.「さらば涙」ケツメイシ

19.「ハルジオンが咲く頃乃木坂46

20.「両成敗でいいじゃない」ゲスの極み乙女。

スポットライト①「Little Bee」里咲りさ

スポットライト②「祭りのあと(2016 ver)」Base Ball Bear

 

今年はやけにミーハーなランキングになってしまった感がある。トップ3はいずれも全て世間的にも大ブレイクしたとされる曲たちだ。だけどそれらは皆キチンと良質な音楽だったと思う。日本の音楽市場は衰退した、なんて去年までなにかと言われていた事だけど、もしそうだったとするならば1周してまた「良いものが売れる」ようになったのかなと思わされた年だった。

来年はどんな年になるのだろう。既に色々なミュージシャンたちが新作を作っている。それらのリリースを心待ちにしたい。来年も良い作品で溢れることを期待している。

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「人間開花」に見たRADWIMPSの「人間という花」

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僕がRADWIMPSというバンドを知ったのは高校の時だった。RADWIMPS自体は08年には既に「オーダーメイド」でオリコン1位を獲得していた。だが、08年当時中学生だった僕は存在感こそ知っていたものの当時はサザンオールスターズポルノグラフィティPerfumemihimaru GTといったいわゆる「J-POP」ど真ん中な曲が好きでよく聞いていた為にRADWIMPSのようなロックバンドには全く興味がなかった。高校に入ると、学年中がRADWIMPSを聞いていた。誇張なしに学年中が聞いていたのだ。僕とRADWIMPSが出会ったのは「単純に周りの人と話が合うように」という極めて音楽と関係の無い部分がキッカケだった。すぐに「マニフェスト」という曲が好きになった。「自分が総理大臣になったら」というテーマでこんなにキラキラとしたラブソングを書けるという所に驚いた。「有心論」に「ふたりごと」、「いいんですか?」、「me me she」、「トレモロ」。全部輝くようなポップロックだった。微塵も偽りを感じさせない、貫くような愛を歌っていた。そういうキラキラしたRADWIMPSに僕はどんどん惹かれた。1番好きだったのは「もしも」だった。うだつの上がらない、酒に酔った勢いで告白しちゃうような主人公に心から共感していた。当時片思いしていた自分にとってこの曲はまるで自分のためにあるのではとすら思っていた。同級生のバンドは高校生活最後の文化祭で「叫べ」を演奏していたし、それを見て僕はライブというものへの歓びを覚えた。RADWIMPSは僕の高校生活に欠かせない1ピースだった事は今振り返っても間違いの無い事実だ。もうあのバンドは活動を止めてしまったし、もう高校時代などとうに過ぎ去った過去だけど、今でもなお野田洋次郎の声を聞くとあの頃の自分なりに輝いてた青春を思い出す。

僕がRADWIMPSを知った頃、RAD自身は「DADA」〜「狭心症」、そして「絶体絶命」というタームに突入していた。「アルコトロニーの定理」以降のRADWIMPSはそれまでのポップロックではなく、哲学的で、残酷で、生命とは何なのか、生きる理由とは何なのかを主に歌っていた。その様は最早「修羅」と形容したくなる程に狂気的だった。「おしゃかしゃま」の神や人類の存在そのものの否定、「DADA」そして「狭心症」の生への否定、そして「五月の蝿」ではあれだけ愛していた筈の「君」すらも「許さない」と断罪し、「死体になった君を見たい」とまで歌い上げ、「いえない」では出だしから「今君が死んでしまっても構わないと思っている」と口ずさんだ。彼らは紛れもない修羅そのものだった。何故彼らは修羅と化し、何もかもを否定し続けたのか。そこには紛れもない愛があったからだ。否定をするという愛情表現。狂気と愛は表裏一体だった。この禄でもない世界を否定して、ぶっ壊したくて、でもそこにしがみつくしかない僕達人間はどうしようもなく「世界を愛して」いる。RADWIMPSは「世界への愛」を強烈なヘイトを以て体現していた。
15年末、RADWIMPSからドラマー山口智史の持病の悪化による無期限活動休止が発表された。バンドメンバーが抜ける、という最大の危機を迎えながらも彼らはサポートドラマーと共に対バンツアーを予定通り開催。クリープハイプゲスの極み乙女。ONE OK ROCKといった同じロックという土俵で戦う好敵手や、スピッツMr.Childrenという大先輩すらをも巻き込んだこのツアーは、RADWIMPSファンじゃなくても大注目のツアーだった。無事にツアーは完走、ドラマーの活動休止という大きなピンチを意地で乗り越えた。そして2016年。映画「君の名は。」の劇中音楽を担当。主題歌の1曲を担った「前前前世」は2016年の音楽シーンにおいてもトップクラスのヒットを叩き出した。そしてRADWIMPSはアルバム「人間開花」をリリースした。
上記した通り、15年末以降の活動はそれまでのRADWIMPSとは一転して、外に向いた活動が目立った。他バンド、それも他業種に近いようなバンドすらも巻き込んでの対バンツアー、そして映画の劇中音楽を担当。ここまで解放的な活動はそれまでのRADWIMPSからは考えられないことだった。その解放感はアルバム「人間開花」の曲からも感じ取れる。このアルバムは「アルコトロニーの定理」から「×と〇と罪と」までの3作にあったある種の閉塞感から見事に脱却し、突き抜けるような「光」を感じさせる作風だ。「Lights go out」も「光」も「前前前世」も「トアルハルノヒ」も「ヒトボシ」も「スパークル」も。真っ直ぐ過ぎる程に輝いている。黯然とした感覚はまるで無い。生きる喜びや希望に満ち満ちている。それも只の希望ではなく、絶望を、そして少数派である自らを理解した上で(「棒人間」なんかはまさにそういう類の歌だろう)、それでもなお世界に満ち満ちている希望を全身全霊を賭けて歌っているのだ。ファーストアルバムから4枚目までの恋愛の熱量から来るポジティヴとはまた違う、「生きることの温かみ」のようなポジティヴさだ。バンドサウンド全開で8ビートが心地よい「光」もあれば、ピアノ主体のメロディアスな「週刊少年ジャンプ」があり、そうかと思えば打ち込みとバンドサウンドが禍々しく組み合わさった「AADAAKOODAA」がある。「アルコトロニー~」以降に培った哲学的なサウンドも、今作ではポジティヴな感情を持って鳴らされる。なんて美しいのだろう。

暗がりがある所には必ず光があるように、RADWIMPSもまた暗がりを乗り越えて光の差す丘に再び登り詰めたのだ。気付けば修羅は1人の人間という花を咲かせた。この花をめいっぱい僕達は愛でたい。

桑田佳祐は「君への手紙」で何を僕達に語りかけたのか

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2016年の桑田佳祐は「ヨシ子さん」という大作シングルをぶち上げることから始まった。春先からボツボツとメディア露出していた大衆受けしそうな楽曲たちを全て捨て置いて彼がA面に据えたのは、多国籍、あるいは無国籍さが漂う奇怪さすら感じさせる「ヨシ子さん」だった。サザンファン、音楽ファンだけでなく他のミュージシャンすらも驚かせた「ヨシ子さん」から半年、2016年秋に桑田がリリースしたのは温かみや人情、歌謡曲やサスペンス、切なさや冬らしさ、面白さといったこれもまた様々な要素の曲がこれでもかと収録された桑田佳祐らしいシングル作品だった。早速収録曲に迫っていきたい。

① 君への手紙
孤独の太陽」を彷彿とさせながらも、当時とは違ってシックな中に明るさを感じさせるようなアコギのストローク音。最初は弾き語りのようで、徐々に「ヨシ子さん」からの流れを彷彿とさせる打ち込みサウンドがまるでギター音を包み込むように流れ出す。アコースティックギターと打ち込みサウンドの組み合わせは違和感を感じそうだが、全くそれを感じさせず、むしろ新鮮味に溢れている。歌詞は僕を含めた彼より若い世代へのメッセージだろう。「人生とはサヨナラと出会いの繰り返し」である。その一瞬一瞬の出会いを大切にすることの尊さを桑田は僕達に語りかけている。

② 悪戯されて
「ヨシ子さん」がリリースされた同時期に、WOWOWで桑田の特別番組が放送された。「偉大なる歌謡曲に感謝 〜東京の唄〜」と題されたこの番組は、桑田佳祐のルーツの一端である「歌謡曲」の名曲たちを桑田がカバーするというものだった。「神田川」「東京砂漠」「東京ドドンパ娘」といった曲たちは、多かれ少なかれ日本人であれば馴染みのあるであろう曲たちだ。日本の言葉を大切にする歌謡曲の文化をぶち壊すようなデビューで一気にスターダムにのし上がった桑田佳祐が「歌謡曲」を歌う、という「意義」は誰しもが感じるところではないだろうか。番組の最後に「未発表の新曲」として歌われたのが「悪戯されて」だった。これまでも「チャコの海岸物語」など「歌謡曲」を感じさせる楽曲は沢山あったし、桑田佳祐の作る曲にはいつだって「歌謡曲」のエッセンスが散りばめられていた。そして今回の「悪戯されて」はその集大成と言わんばかりのモロ歌謡曲だ。「歌謡曲」というジャンルはいつしかJ-POPにすり代わり、最早「歌謡曲」なんてものは死語になってしまった。そんな中で桑田佳祐はきっと、日本人ならではの言葉を大切にする文化や歌謡曲特有の「艶」を日本にまた広めたいと感じたのかもしれない。

③ あなたの夢を見ています
80年代後半のサザンや桑田ソロを彷彿とさせる(=小林武史イズム)打ち込みサウンドが全面にフューチャーされたポップソング。明るい打ち込みサウンドで失恋を歌うのは「悲しい気持ち ~Just a man in love~」を思い出さない訳にはいかない。桑田ソロはサザンの反動なのか冬の歌が多い。この曲もまた「白い恋人達」「ダーリン」などの冬恋ソングの仲間入りと言ったところだろうか。カップリングだけというのは勿体無いくらいのハイクオリティ。この曲が今回のシングルで一番好き!という人も多いのではないだろうか。

④ メンチカツ・ブルース
今回の問題枠(笑)歌詞はダジャレだらけ、BIG3が謎の出演、突然のウ★コ(オマケにピー音)とまあ歌詞はろくなもんじゃない(笑)のだけれど、曲がカッコイイ!!「〇〇ブルース」は桑田佳祐楽曲史の中でも多用されてきたし、そのどれもがブルースとして優秀なのだが、特にこの曲、レベル高いなぁと思う。サウンドはギター1本だけ、あとはコーラスやSEが入ってくるくらい。この単純な構造に加え曲もメロディは1つだけなのだが、その繰り返しがより「ブルースっぽさ」を感じさせる。「桑田佳祐やさしい夜遊び」で以前歌われていたような即興ソングっぽさを感じる。のにメロディもカッコイイし歌い方も抜群。歌詞が残念なのが非常に惜しい。ま、ポップスターとして今までだってお笑い的な飛び道具はよくやってきたことだから、これもまたアリっちゃアリなのだが。

いずれの曲も、桑田佳祐の思いがギッシリ詰まっているように思う。人生における大事な事を語りかけ、日本語の美しさや艶を歌謡曲を通して表現して、失恋の悲しみを曲に乗せて励まし、ブルースのカッコよさをぶち上げてくれている。いずれも今の若手ミュージシャンからは感じさせないモノばかりだ。人生60年生きてきた桑田佳祐だからこそ歌えること、伝えれることを曲という名の「手紙」として彼がしたためたのがこの「君への手紙」というシングルなのだ。彼の生きざまを音楽という名の「手紙」を通して心に刻み込みたい。

【ライブレビュー】クリープハイプ「熱闘世界観」を見て思ったこと【ネタバレ含】

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クリープハイプは温かみと憎しみで生き続けているバンドである。

前作「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」はクリープハイプの「温かみ」を存分に発揮した作風だった。故に、フェスなどで彼らを支持しているようなファン層=「激しいクリープハイプを求めているファン層」にはイマイチ届かなかったのではないかと思う。

そして今作「世界観」は「温かみ」「憎しみ」の二つが共存する「クリープハイプの根幹」を改めて再定義し、またアップデートした作品であることを現在も開催中のツアー「熱闘世界観」を以って体感することができた。

具体的なセットリストは伏せるが、「HE IS MINE」「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」「社会の窓」「寝癖」などの既存の楽曲は勿論今まで通りの切れ味、今まで通りの温かみを宿している。そこに今作「世界観」の収録曲が入ってくるとより洗練された温かみや憎しみ・激しさを感じることができる。具体的に挙げるとするならば「僕は君の答えになりたいな」「5%」のような暖かい曲たち、そして「テレビサイズ」「けだものだもの」のような激しさを纏った曲たちに明らかな成長を如実に感じることが出来た。

勿論これは「祐介」という小説を執筆した尾崎世界観そのものの成長であると同時に、バンドそのものの態勢の変化の賜物でもあるだろう。今までの彼らはあくまでもバンドのギター2本、ベース、ドラムという形を守ってきた。しかし今回のツアーでは尾崎がギターを置きハンドマイクで歌ったり、カオナシがベースを置きキーボードを演奏したりと多種多様な形態で演奏をしていた。曲に合わせて色々な形態で演奏が出来るということは曲の制作の幅もより広がるだろう。そういったバンドそのものの成長を感じてから聞く「バンド」は途轍もなく心に響く。究極の自分語りをしたこの曲はまさに楽曲版「祐介」そのものだ。

誰かに頭を下げてまで 自分の価値を上げるなよ

バンド」クリープハイプ

言葉は悪いが温かみと憎しみを交互にブチ当ててくる彼らの音楽性にはまるでDV男みたいな感覚がある。泣きたくなるくらい辛くなるような歌も、抱きしめられてるみたいなあたたかい歌も。全部全部彼らの愛の歪さの証左だ。今回のアルバム、そしてライブはその歪な愛がこれからももっと成長し続けるであろう予感に溢れていた。次のアルバムが楽しみで仕方がない。僕たちファンを「あのオレンジの先へ」いつまでも連れて行ってほしい。


クリープハイプ - オレンジ

Base Ball Bear「Tour バンドBのすべて」に見た「終わらない青春」【ネタバレ無】

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青春。

「青春」というワードが持つ一般的な意味合いを調べてみるとこう出る。

生涯において若く元気な時代、主に青年時代を指す言葉

若さとは危うさを持ちながらも、成長を確かに感じさせるモノだろう。しかし、『大人』になったからと言って成長しない訳でもないし、危うさが無いわけでもない。いつだって人は成長できるし、危うさを持ち続けている。

Base Ball Bear。彼らが青春を歌っていたのは小出祐介の(世間一般的な)青春時代が極めて暗いもので、そんな『失われた青春』を取り戻す為だと私は考えている。しかし、上記したように人生とは「一生青春」なのだ。それに気付いた彼らは「二十九歳」「C2」というBase Ball Bear史上でも、そして音楽史の上でも金字塔となりうるような2つの傑作を生み出し、「現在地点」からの視点をそのまま歌に封じ込める事で青春を表現したのだ。

C2の中にこんな歌詞がある。

青春が終わって知った

青春は終わらないってこと

「どうしよう」Base Ball Bear

2016年3月、Base Ball Bearからギタリストが脱退した。

それは彼らにとって、僕達ファンにとって、音楽業界にとっても衝撃的な、思っても見なかったニュースだった。結成15周年、デビュー10周年の年にこんな事が起こるのか。誰もがそう思った。彼らは常に変わり続けたバンドだ。カメレオンの様に手を変え品を変え、だけど1本線の通っている明確な想いや意志、根幹を持つバンドだ。その根幹が揺らいだ瞬間だった。

彼らはそれでもなお変わり続ける事を選んだ。

 

今回のツアーはリニューアルベスト盤を踏まえた上で「バンドBのすべて」と、今までのキャリアを総括する様なセットリストでありパフォーマンスだった。「ベスト盤を踏まえて」と書いたが、ただのベスト盤ツアーではなく、本当の意味でBase Ball Bearの活動を総括するツアーだ。まだ始まったばかりのツアー、ネタバレを回避する為に具体的なセットリストの明記は避けるが、青春時代から大人への円熟、そして「人生とは青春である」という彼らなりのメッセージ、そして「変わり続ける事」、「あくまでも僕達は先に進む」というバンドのスタンスを再提示したようなライブだった。変わり続ける彼らが愛おしいし、これから先もずっと楽しませてくれる予感に満ち満ちたライブだった。

変わり続ける君を

変わらず見ていたいよ

「short hair」Base Ball Bear

変わり続ける彼らを私は変わらずに見ていたいと思う。ずっとずっと。

ヤバイTシャツ屋さんのゆくえ

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ヤバイTシャツ屋さんのメジャーデビューアルバム「We love Tank-top」がリリースされた。思えば彼らの事をTwitterを介して知ったのが去年の今頃だった。年明け3月に名古屋まで1stと2ndシングルを買いに行ったし、タワレコ限定盤は通販で確実に購入した。夏に出た3rdシングルも下北沢に住んでいる後輩に頼み込んでいち早くGetした。車で「ネコ飼いたい」を流していたら母親は1発で覚えた。今年の僕は彼らと共に歩んでいたと言っても過言ではないはずだ。ついにメジャーデビューかと思うとなかなか感慨深いモノがこみ上げる。

彼らの歌詞は極めて内向的で、最早自分語りの極みだ。とは言っても世間でよく言われる「内向的」「自分語り」とは全く違った趣だ。普遍的なエモーショナルさなど皆無で、自らをある種卑下する事によって彼らの半径5m圏内のものをぶった斬り続けるというスタンス。それは自分が何が好きで何が嫌いであるかを明確にし、突き放しまくるいうことで、そういった部分において彼らは極めて内向的であると言える。と同時に、彼ら自身が極めて「普通」であった結果、内向的であったはずの歌詞が結果として人々の共感を呼ぶ歪な普遍的さのある歌詞に仕上がっているのではないかと思う。

彼らの出自は大学の音楽サークル。文化祭でライブをするに当たり、コピバンでの出場が不可とされたからオリジナル曲を制作した。それが「ネコ飼いたい」だったそうだ。つまり初めて作った曲が「ネコ飼いたい」だったということで。1曲目からあの圧倒的な歪なエモーショナルを感じさせる「ネコ飼いたい」を作ったあたりに彼らの凄みを感じる。静と動を巧みに使い分け、歌詞はひたすら「ネコ飼いたい」だけ。メッセージ性なんてものは全くないが、謎の感動をもたらすのがこの「ネコ飼いたい」ではないだろうか。

なにかと(僕含めた)世間は彼らの言動や「あつまれ!パーティピーポー」「喜志駅周辺なんもない」みたいな「分かりやすいネタ」に目がいきがちだし、このアルバムが出るまではそういう「面白さ」が凄まじいバンドだったし、間違いなく彼らの分かりやすい特徴はその「面白さ」だろう。インディーズ時代を総括する側面も持つこのアルバムには今までにリリースされたこういった「ネタ枠」的既存曲たちも沢山収録されている。

しかし、今回のアルバムの一番の聞き所は既存曲ではなく新曲群だ。勿論今までの曲のように笑えるポイントはしっかりと押さえてある。が、今までのように勢いだけで突っ走るような作風は抑え、より音楽的なエモさを追及しているのだ。

今日も結局すき屋

週に10日はすき屋

「週10ですき屋ヤバイTシャツ屋さん

 今まで通りとても歌詞とは思えない歌詞であることは間違いない。が、今までになかったような極めてメロディアスな楽曲にこういう歌詞が乗る。これはインディーズ時代の曲にはなかったような作風だろう。

なにより僕が推していきたいのが「流行りのボーカルの男みんな声高い」だ。タイトルだけ聞くと岡崎体育「MUSIC VIDEO」のような「音楽シーンあるあるネタ」のような曲だと思いがちだが、この曲はヤバTが初めて真っ当な自分語りをした歌詞になっている。

4万円のレスポール

ヤフオクで落としたエフェクター

5万くらいのベースと

3セットで1500円くらいのスティック

楽器歴だけ以上に長い3人が集まった

4万円のレスポールの弦は

今も錆びついている

やる気に反するプライドが

いつも僕らの邪魔をするけど

出来る範囲で行けるとこまで行こうぜ

「流行りのボーカルの男みんな声高い」ヤバイTシャツ屋さん

あくまでも「大学の音楽サークル」の延長みたいなノリで音楽活動を続けてきて、バンドのスタンスを提示するよう歌詞に凄く感動してしまうのは僕だけじゃないはずだ。結果、ユニバーサルからデビューしてオリコン週間7位。スゴイことだと思う。勿論もっともっと有名になってほしいとか、オリコン1位抜いてほしいとか、色々期待もしてしまうけど、彼らはこのスタンスだからこそ成功したと思うし、この先もこういうスタンスで在りつづけてほしいし、またそういう宣言をしたのがこの曲なのではないだろうか。彼らの向かう行方は「出来る範囲で行けるとこまで行く」ことだろう。

今の音楽シーンはどんどん若手を消費して、飽きたらまた別の新しいものに飛びつくような状況だ。彼らのスタンスはまさに消費されて終わってしまいそうな危険をはらんでるけど、「流行りのボーカルの男~」みたいな歌詞が書けたということは大丈夫なんじゃないかなとも思う。音楽シーンに消費されない、長い活動に期待してる。


ヤバイTシャツ屋さん - 「あつまれ!パーティーピーポー」Music Video[メジャー版]

 

We love Tank-top (初回限定盤)(DVD付)

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